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SS『Secret Heart~君が見たもの~』
『Secret Heart~君が見たもの~』


――それは昼休みに起こった。


「会長、失礼します」
 私は生徒会長に挨拶をすると、会長はこくんと頷いた。
「ほな、失礼しますわ~」
 同じように隣で千歳が会長に挨拶をすると、今度は少しだけ手を振った。何か言うことができないのかしら、あの人は。
 生徒会室を出ると廊下が女子の話し声で賑わっていた。
 まあ、昼休みだし当然かもしれないわね。
「綾乃ちゃん。教室に戻ってお昼ご飯でも食べよ?」
「そうね、もう私お腹空いちゃって……」
 そういうことを言ったせいなのか、お腹が「ぐぅ」と鳴ってしまう。うう、女の子として今のはちょっと恥ずかしいかも。
 横目で千歳の方を見ると、くすりと笑っていた。
「かわいいなぁ~。綾乃ちゃんは」
「わ、笑わないでよ! べ、別に私が鳴らしたくて鳴らしたわけじゃないんだから!」
「別にかわいい分にはええやない」
 くぅっ……何を恥ずかしがっているの、私は。
 こんな所を歳納京子にでも見られたら……。
「あれ、歳納さんやない?」
「えっ!?」
 不覚にも飛び上がってしまった。
 も、もしかして今の千歳の会話も私のお腹の音も、歳納京子に聞かれた? ああ、そうだったら穴に入りたいわ。
 しかし、千歳はある方向を指さしていた。
「ほな、教室から出てきてるで」
「本当ね」
 遠くに歳納京子の姿が見える。だからか、ほっと胸をなで下ろした。
「船見さんも一緒みたいやな」
「あの二人、いつも一緒だもんね」
「そうやな。あと、赤座さんと吉川さんとも一緒にいるな。やっぱり、昼休みも茶道部室で部活動やってるのかなぁ?」
「部活……」
 そう、茶道部室で活動している部活、娯楽部。
 茶道部の部員がゼロになって、茶道室が空いたのをきっかけに……歳納京子が作り上げた部。生徒会側では認可していない部。
「でも、あそこの部活に入れば歳納さんと気軽に話せるんやで」
「べ、別に私は同じクラスだし、別に部活に入ってまでも歳納京子と一緒に話してみたいとか、そんな気は全くないんだから!」
「またまた、本当は歳納さんと話したいんやろ?」
「……そんなわけない、わけじゃないけど……」
「ほな、行ってくればええやん。船見さんもいるし、今なら話しかけやすいと思うで?」
 そう言うと、千歳は私の背中を「ぽんっ」と押す。
 別に、話したくないわけじゃないけれど……。
「早くせえへんと、二人の姿を見失ってしまうで?」
「分かったわよ。行けばいいんでしょ!? 行けば!?」
「もぅ、まったく歳納さんのことになると素直になれへんやから。まあ、うちはそんな綾乃ちゃんが好きやで」
「廊下でそういう恥ずかしいことを言わないで!」
「そういう風に叫ばれる方がよっぽど恥ずかしいと思うけどなぁ」
 と、言葉に似合わない穏やかな笑みで千歳は言う。
 確かに周りを見てみると、視線が私たちの方に集まってる……。その中には顔を赤くして、私たちの方を見ながら何かこそこそと喋っているし。
「うううっ、行ってくるわよ!」
「ほな、いってらっしゃい~」
 何で千歳はあんなに落ち着いていられるのよ!
 そう思いながら、私は歳納京子と船見さんの後を追ったの。この空気から少し逃げるように早足で。


 茶道室は校舎を出て少し歩いたところにある。
 私は校舎を出たところで、ようやく歳納京子と船見さんの姿が見えた。頑張って二人に声を掛けようとした時だった。
「ちょっと待って、結衣」
「なんだよ」
 何故なのか、私は咄嗟に近くの木の陰に隠れてしまった。
 何やってるのかしら、私……。
「ちょっとそのままでいて」
 とにかく、ここから二人の様子を見ることにしようかしら。
 歳納京子が船見さんは互いに向かい合って立っている。船見さんの表情が見えて、生憎、歳納京子は後ろ姿しか見えない。
「お前、何する気だよ……」
「いいから、ちょっと目を瞑ってくれ」
「……こ、こうか?」
「うん、ちょっとそのままで立ってて」
 船見さんが目を瞑って、そのままでいてって……ま、まさか?
 歳納京子はそう言うと、ゆっくりと船見さんに近寄って……。
――あっ。
 二人の顔が凄く近い。
 歳納京子の後ろから見ていても、それは分かる。それに、
「あ、ありがとう」
 船見さんが頬を赤くしながらそう言ったの。
「でも、何だか恥ずかしいな」
「別に、私たちだけしかいないし大丈夫だって。他に誰もいないと思うから」
「まあ……そうみたいだな。でも、気づいてくれて嬉しいよ。ありがとう」
 船見さんは嬉しそうに微笑んでいる。頬を赤くしたまま。
「結衣のことを思ってだよ」
 そのまま船見さんはこくんと頷いた。
「さあ、あかりとちなつちゃんが待ってると思うから、早く行こう」
「そうだな」
 二人は再び歩き始めた。
 でも、何だか普段よりも寄り添っているように見えた。歳納京子が笑顔でいるのは不思議じゃないけれど、船見さんが微笑み続けているのは珍しい。
 理由も分かってる。
 今の一部始終を見ていれば、明らか。
――歳納京子が船見さんに口づけをしたから。
 そうだって確信した瞬間、私は急に力が抜けて……膝がかくっと地面につく。身体が倒れないように両手を地面につける。
「私、いけないところを見てしまったのかしら……」
 力なく呟く言葉とともに、目から何かが溢れ出している。
 きっと、これが私の本当の呟きなのね。
 でも、その呟きは土に当たると……あたかもなかったかのように消えてしまう。誰の耳にも届かずに、届いたとしてもすぐに抜けて行ってしまうように。
「歳納……京子……」
 不意に想っている人の名前を呟いてしまう。
 でも、この声も届かないのかしら。
 歳納京子。あなたは船見さんのことを真剣に見ているのだから。


 その後、私は何をしたのか覚えていない。
 午後の授業も、放課後も、家に帰ってからも、寝るまでも。
 ずっと、歳納京子と船見さんのことばかり考えていた。二人に顔を合わせると、何か変なことを言ってしまいそうだから、教室からは逃げるようにして出て行った。
 二人のいない家は何だかほっとできた。怒っても、泣いても、誰も気づいてくれなくて済むから。
 そして、寝る前。
 電気を消してベッドに入ったときだった。
「はあっ」
 ため息をついて天井を見上げると、目を瞑ってもないのにあの時の二人の姿が浮かんでしまう。
 歳納京子が船見さんに口づけを、した。
 つまり、歳納京子は船見さんが好きで……あの様子だと、実は船見さんも歳納京子のことが好きだったってことになるのよ、ね?
 女の子が女の子を好きになるって事が、あるのね……。
 でも、それは私も同じじゃない。
――どうして、あの時私は泣いたの?
 そう考えれば、一目瞭然なのは分かっている。
 私は歳納京子のことが好き。
 でも、それが口で誰かに素直に言うことができない。もしかして、あの時の出来事は私がそんな性格じゃなかったら、無かったことなのかもしれない。
 そう思うと、凄く悔しい。
 悔しいと思うならどうすればいい?


――明日、二人に確かめてみよう。



 そして、翌日。
 私は昨日寝る前に決めたことを心がけているけれど、結局昼休みまでもつれ込んでしまっていた。
 でも、今日は生徒会の仕事はない。だから、歳納京子と船見さんに話しかけることができる時間はたっぷりある。
「綾乃ちゃん、ちょっと千鶴に用があるから先に昼ご飯食べててな」
「あっ、うん……」
 千歳は私に笑顔で手を振って教室を出て行く。
 私も歳納京子にそうできればいいのだけれど。
「結衣、私、娯楽部の方に行ってるから」
「ああ、分かったよ」
 歳納京子は全速力で教室を出て行った。船見さんは昼食を一人で食べている。
 こ、これは船見さんに話しを聞くチャンスじゃないかしら?
 私はそう決めると、お弁当を持って船見さんの前の席の椅子に座る。
「綾乃」
「船見さん、一緒にお昼ご飯食べない? 千歳はちょっと用があって私、一人になっちゃったし」
「うん、いいよ」
 席を船見さんの方に向ける。船見さんの机の上にお弁当を広げていく。
「お弁当、美味しそうだね」
「あ、ありがとう」
「私も一人暮らししてるとさ、料理のレパートリーがあまり増えなくって。誰か作ってあげたい人がいれば自然と増えるんじゃないかなって思うんだけど」
「そ、そうね」
 その作ってあげたい人が歳納京子ってことなのかしら。
 確かに、二人は幼なじみだし。自然と好きになるのは当然なのかな。
「綾乃、何だか、昨日からおかしいよ」
「えっ?」
 船見さんは自分の作ったお弁当のおかずを食べながら、言う。
「昨日の午前中までは元気だったのに、午後になってからは人が変わったように元気なくしてたから」
「どうして分かるの?」
「だって、友達……じゃん。気にかけないわけないよ」
 船見さんはちらっと私の方を見ると、優しく微笑んでくれる。
 私って、なんて馬鹿な人なんだろう。
 自分さえ気にしなければ、相手も気にしないと思っていたのに。友達だったら、そんな私がおかしいってことに気づくのは当然なのに。
 船見さんの顔が揺らいで見える。
「あ、綾乃? 本当にどうしたんだ?」
「う、ううん。なんでもない」
「だったらいいけど。でも、話したいことがあれば私はいつでも話を聞くよ」
「船見、さん……」
 船見さん、ごめんなさい。
 いつの間にか船見さんのことを悪い人のように見えていた。でも、友達なのよね……だったら、はっきりと訊いてみよう。
「昨日の昼休みのことなんだけど」
「うん」
「あの時、船見さん……と、歳納京子と茶道室に向かう間の所で、ふ、二人で何か……し、していなかった?」
「えっ?」
 すると、急に船見さんの顔が赤くなる。何だか恥ずかしそうに、私の方をじろじろと見てきている。
「もしかして、見てたのか?」
「……見てたわよ」
「そ、そっか……てっきり京子との二人きりだと思ったけど、そうか、綾乃が見ていたのか。そうなると、途端に恥ずかしくなるな」
 そうよ、ね。
 女の子同士で口づけをするなんて、誰かに見られたら恥ずかしいものね。船見さんが恥ずかしがるのはよく分かるわ。
「いきなり京子が私に言ってくるから、気づいた瞬間、凄く恥ずかしくなっちゃって」
「そう……」
「でも、何だか嬉しかったな。あのままだったら、きっと……私、何か傷つきそうだったから」
 きっと、歳納京子が船見さんのことが好きだっていう気持ちをなかなか伝えなかったことね。船見さんもけっこう繊細なところがあるのね。
「でも、そんな言い方はさすがに大げさだね」
「そ、そんなことないわよ。誰にだって、その……気づいて欲しいことってあると思うし」
「そっか。綾乃がそう言ってくれるなんて、嬉しいよ」
 船見さんはきっと今日一番の笑顔で私に言ったと思う。でも、昨日のあの時に比べれば輝いていないような気がする。
 船見さんは昨日のことがあって、凄く幸せなんだ。
 それは私にも嬉しいことなのだろうけれど……。
 でも、私は諦めきれない! それが誰かから見れば凄く醜いことだとしても……。だからこそ、歳納京子の所に行こう。
「船見さん、ありがとう」
「えっ?」
「ちょっと、私……歳納京子の所に行ってくるわ」
「それだったら私も……」
「千歳が教室に戻ってきた時に誰もいなかったら寂しがるでしょ。それに、歳納京子と二人きりで話したいことがあるから」
 その後の船見さんの返事は覚えていない。ていうか、聞いていない。
 もう、その時には私は走り始めていたのだから。


「はあっ、はあっ……」
 娯楽部までの道のりは意外と長い。
 校舎の外にあるから当然かもしれないけれど、走ってみると意外とこの距離はけっこうきついわね。走ったせいか汗までかき始めている。
「もう少しで娯楽部だけど……」
 一度立ち止まったけど、もう一度走り出す。
 茶道室のあるはなれが見えると、ちょうど歳納京子が中に入ろうとしていたときだった。私は必死に、
「待ちなさい! 歳納京子!」
「……へっ?」
 私の声とは正反対の気の抜けたような声で歳納京子が返事をしてくる。
 そして、私の気持ちなんて知らずにただ驚きながら、私の方を振り返る。そんな歳納京子の目の前まで私は歩み寄る。
「ど、どうかしたの? 綾乃」
「はあっ、はあっ……ちょっとあなたに訊きたいことがあって」
「私に訊きたいことだって?」
「ええ……」
「まあ、呼吸を整えてからしゃべれば」
「べ、別にそんな気遣いなんて必要ないわよ!」
 すぐに無邪気な笑顔に戻った歳納京子は私にそんな言葉を掛けてくれるけれど、もう、どうして私は素直になれないのかしら。
 でも、せめても歳納京子の言葉を受け止めるという意味で、息をちゃんと整えてから私は話し始める。
 まあ、歳納京子は待ちくたびれているのか欠伸をしているけど。
「で、何なんだよ。私が何か綾乃にしたか?」
「昨日、船見さんにここで何かしたわよね」
「ああ、昨日の昼休みな。結衣がやけに顔を赤くしてるから今もよく覚えてるよ」
「私も良く覚えてるわ」
「えっ、まさか綾乃……見てたのか?」
 やっぱり、船見さんと口づけをするなんて歳納京子でも多少は恥ずかしいのね。少し照れ笑いしてるじゃない。
「ええ、見ていたけれど。船見さん、凄く顔を赤くしていたわよね」
「ああ、そうだよな」
 でも、なぜか歳納京子が平然と話していることに引っかかった。本当は口づけなんて人前でもできる人なのかしら。だけど、船見さんが二人きりがいいと思ったからあそこでしただけで、その……。
 私がそんなことを想像していると、歳納京子がぽろりと、


「口元に付いてたご飯粒、あそこまでずっと気づかなかったからな」


――えっ?
 ご、ご飯粒ってどういうことかしら?
「それで、気づいた私はあそこで取ってあげたわけ。私と結衣の二人きりだから、他の人に聞かれないと思って。でも、綾乃が聞いてたとはな~」
「で、でも……船見さんはすごく恥ずかしがってたじゃない!」
「あれは、今まで気づかなかった自分にだってさ。あと、校舎を出るまでに他の誰かに見られたかと思うと恥ずかしくなったんだって」
「へ、へえ……」
 途端に身体に溜まっていた今までの力が抜け落ちてしまう。危うく倒れそうになった。
 つまり、口づけだと思っていたのはただ、船見さんの口元に付いていたご飯粒を歳納京子が取ってあげただけ?
 そして、今まで悩んでいたことは私の取り越し苦労だったってわけ?
 とりあえず、何だか安心したわ。
「意外と結衣もそういうことで恥ずかしがるんだな」
「たしかに、今日話したら少し顔が赤くなってたし……」
「最近には他にないほど、昨日は結衣に感謝された気がする」
「普段から船見さんはあなたのことでけっこう苦労しているように見えるから……あ、あなたの方が船見さんにお礼を言った方が、そ、その……いいんじゃないかしら?」
 まあ、私の言葉なんて受け流すかと思いきや、
「分かったよ。放課後にでも言っておくか」
 やけに素直に私の言ったことに頷いてくれた。
 これにて、一件落着……だと思いきや、
「そういえば、どうして私にそこまで切羽詰まった感じで話しかけてきたんだ? 別に大したことでもないのにさ」
「えっ?」
 歳納京子が一歩、私の方に近づいてくる。
「……本当は私と結衣が何をしたと思ったの?」
「そ、それは……そ、その……」
「だって、こんなことを見ただけで綾乃が焦って私に話しかけるわけないもん。それに、結衣が昨日言ってたぞ。綾乃の様子がおかしいって」
「ひえっ!? それは、その……」
 あなたはどうだったのよ、だなんてツッコミが返せない。
 でも、きっと……船見さんと一緒にいれば、歳納京子だって昨日の午後の私がおかしいだなんてすぐに分かっちゃうだろうし。
「正直に話した方がいいと思うぞ?」
「……く、口づけ……」
「えっ?」
「歳納京子が船見さんと口づけ……キスをしたって思ったの!」
 ついに、言ってしまった。
 きっと、私の気持ちも歳納京子に感づかれちゃったと思う。そう思うと急に恥ずかしくなってきた。
 穴があったら入りたい。この場から逃げられるなら一刻も早く逃げたい。
 歳納京子の顔をちらっと見ると、そこには穏やかな笑顔があった。
「何だよ、そんなことか……」
「そんなことって、私、凄く思い悩んでたんだから……」
「あははっ、綾乃ってけっこう馬鹿なところがあるよな」
「な、何よ! あなたなんてテストで悪い点ばっかりの時があったじゃない!」
「そういうことじゃないよ」
「……えっ?」
 歳納京子が私の両手をぎゅっと握ってくる。
 温かい。ほんのりとだけど……私の欲しかった優しい温もりに思える。
「悩む必要のないことで悩んでるってことだよ」
「それって、どういうこと?」
 普段の歳納京子じゃないように見えて、何が何なのかよく分からなくなってきた。確かなのは、微笑んでいるあなたがそこにいることだけ。


「私とキスをする相手は、綾乃だけだって決めてるんだよ」


――えっ?
 いつにもない真剣な表情でそう告げると、歳納京子は再び穏やかな笑みに戻って……そして、私の両手を握っていた手は私を抱くように、腰、背中……首に回る。
「と、歳納京子……!」
「あと、私の名前、フルネームで呼ぶのやめてくれない? 私は綾乃のことを綾乃って呼んでるから、私のことは京子って呼んで」
「ふえっ!? わ、私が!?」
「他に誰がいるっていうんだよ」
「そ、そうだけど……」
 こんなに顔が近いっていうのに。
 誰もいない二人きりの時間だっていうのに。
 そんなに物欲しそうな顔をしてみられたら、逆に恥ずかしくて……言いにくいじゃない。でも、言わないと私のこと、嫌いになっちゃうかもしれないし。
 私は頑張って、勇気を付けて、
「きょ、きょう……こ……」
「はい、よくできました」
 こんなに近くで微笑まれたら、私、どういう顔をすれば分からなくなるじゃない。京子の甘い吐息を感じられるほど近いと、私……。
「じゃあ、ご褒美あげるね」
「ご、ご褒美……?」
「うん。今からちゅってしてあげるから。でも、ごめんな。さっき、綾乃の大切なラムレーズン食べちゃったんだ。すごく甘いかもしれない」
「別にきょ、京子が食べたんだったら……私、怒らないから」
 そして、京子の顔は段々と私に近づいていく。
 本当だ、ラムレーズンの甘い香りが私にもはっきりと伝わってくるわ。
「綾乃、好きだよ」
「……わ、私も、好き……」
 そして、気づいたときには、
 京子と同じ甘さを嫌になるほどに感じていた。


 でも、いつまでも包まれていたい優しい雰囲気に私たちは暫く、虜になった。



『Secret Heart~君が見たもの~』 Fin



最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント欄などで、感想を気軽に送って下さい。
コメント
この記事へのコメント
こんばんは。けんむろです。

今回のSSもとても楽しむことができました。
セカコンさんのSSで百合というのはあまりなかったのではないでしょうか?

結衣らしさ、京子らしさ、そして綾乃らしさがすごく出てたと思います。
次回作も期待しております。

それでは失礼致します。
2011/11/19(土) 23:03 | URL | けんむろ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
>>けんむろさん

感想ありがとうございます。
初めての『ゆるゆり』のSSでした。

そうですね、今までの中でも「百合」をテーマに扱った作品は1作のみです。
そういう意味でも新鮮な気持ちで書けましたね。

ゆるゆりはキャラの個性もちゃんとあるので、
次回作も書ければ書きたいと思います。


どうしても、結衣か京子か綾乃を中心にしたくなってしまうんですよね・・・。


それでは、失礼します。
2011/11/20(日) 22:07 | URL | セカコン / 桜庭かなめ #-[ 編集]
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