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こんばんは、セカコンです。
ねとらじの方、中止にしてしまい申し訳ありませんでした。

喉の調子と、実はお腹の調子も微妙に悪かったりして、
ちょっと話すのにはきつかったです。

あと、より多くのリスナーの方に聴いてもらいたいと思い、
また後日、時期の良いときにねとらじはやりたいと思います。


合同誌のみでのSSでしたが、ブログでも発表しようと思います。


『Beautiful days』。6月にあった執とら6で販売された、
ハヤテSNSの合同誌に入っている話です。

まあ、半年以上時間も経ったと言うことで、
ブログでそろそろ載せても良いかなと思い今日解禁します。

解禁っていうほどの量でもないですけど、
大体4000字くらいの短編SSです。一話完結です。


午前二時に天体観測をするハヤテとナギ。
星空を眺めながら思い出すハヤテの記憶とは?


それでは、本編をどうぞ。


『Beautiful days』


 ――――あの星のようにずっと私はハヤテの隣にいますわ。


 星空を観ながら僕はふとそんな言葉を思い出した。


 僕は今、ナギお嬢さまと天体観測をしている。お嬢さまには珍しく、某ロックバンドの『天体観測』という曲を聴いたそうで、その歌詞に感動したかららしい。
 お嬢さまは変なこだわりを持っていて、「天体観測をするなら午前二時だっ!」と言い、きちんと午前二時に望遠鏡を用意して眺めの良いバルコニーで天体観測をしていた。
 「綺麗だな……星空」
 「はい、今の時間ですと周りの灯りもほとんど消えていますし、天体観測にはもってこいのコンディションですね」
 「望遠鏡で観るとけっこう綺麗に見える物だな」
 「でも、望遠鏡でなくても今夜はとても綺麗ですよ」
 お嬢さまは望遠鏡自体に興味を引かれたようで、僕の言葉をまともに聞いていないようだ。珍しく飽きていないのがすごいと思った。
 「面白いように見えるぞ、ハヤテ」
 「それは何よりです」
 「でもさ、こうして観ることができる星って近いんだろうけど……もっともっと遠い星も無限にあるんだよな」
 「ええ、たぶん。今も宇宙は広がり続けていますからね」
 「じゃあハヤテと同じ空を観られることってすごいことなんだな」
 「……きっと、すごいことです」
 僕がそう答えると、さらにお嬢さまは興味を持ったようで。僕に声をかけて、天の川の方に指さした。
 「じゃあ、アルタイルとベガはけっこう近いから、宇宙規模で見れば一瞬の速さで会えるってわけだ」
 「光の速さなら一瞬だと思いますね。2人ともそのくらいのスペックがある気がするんですが」
 「一日しか会えないからな。まあ、ハヤテだったらいつでも声をかければ光の速さで私の所に来てくれる……よな?」
 「光に準じる速さで僕はお嬢さまの所に行きますよ」
 「そうか、約束だぞ」
 お嬢さまと接していると、たまに彼女と似ている部分がある。僕は今の会話で10年前のあの日のことを思い出し始めた。


 あの日、彼女はすごく怒っていた。


 「ごめんっ、ごめんっ……!」
 僕は必死に謝っていた。彼女、アーたんと僕が呼んでいる女の子は僕の言葉に聞き耳を立てようとしなかった。
 「ねえねえ、アーたん。もうあの部屋に入らないから、だからもう許してよ」
 「うるさいですわ! ハヤテのばかっ!」
 「そんなあっ……」
 僕は一度、アーたんにダメだと言われた部屋に入っていた。その部屋には「天球の鏡」と呼ばれる不思議な鏡が置かれていたんだ。
 「ねえ、少しぐらい僕の話聞いてくれたっていいじゃない」
 「あなたの話なんて聞いたところで意味がありませんわ!」
 「どうしてなんだよぉ……僕、そこがよく分かんないんだよ」
 そんな僕の答え方が酷かったのか、アーたんの歩くスピードが速くなっていく。もっと怒らせてしまったことだけは僕にも分かった。
 夜になると、この広いロイヤル・ガーデンを一人で歩くのは怖い。だから、どうしてもアーたんと離れたくなかった。僕は必死についていく。
 「待って、待って……!」
 「私の気持ちも知らないで、よくも平然とそんなことが言えるわね」
 「分かってるよ。入っちゃダメだって言われたところ……入っちゃったから、アーたん、怒っているんでしょ……?」
 「だから何で泣くの! それに私が怒っているところはそこではありません!」
 「えっ……どんなところ?」
 「自分の胸に手を当ててみなさい!」
 「こ……こう?」
 僕は泣きながら胸に手を当てた。分かるわけない。アーたんは呆れた顔をして、寝室に入っていった。僕もすぐ後に入る。
 「ハヤテには失望させられたわ」
 「もう、許してくれてもいいじゃないか……アーたん」
 ベッドに入ってしまったアーたん。いつもなら手を握ってくれるのに、今日は握ってくれない。僕は寂しくてアーたんを抱きしめた。
 「抱きしめたって、許しませんわよ」
 「……もしかして、僕があの鏡で見た女の子のことで怒ってるの?」
 「……ふんっ!」
 「ごめんね、アーたん。もうあの子のことは忘れるから……」
 「そんな言葉、信用できませんわね。ハヤテはまったく……浮気性なんだから。口なんて利きたくないですわ」
 「そんな……ひどいよアーたん」
 「それに、もう些細なことで泣かないって言ったはずなのに、泣いているんじゃありませんっ!」
 必死に涙をぬぐった。でも、アーたんにこんなことを言われているんだから泣いたっていいんじゃないかなって思ったりもしていた。でも、アーたんに相手にされなくことを恐れた僕は必死に泣かない努力をする。
 「泣か、ない……」
 「男子たる者、泣いていてばかりでは女性を守ることは出来ませんわよ」
 「う、うん……」
 「それにそんなことでは誰が私を守ってくれるというの?」
 「……僕、なんだよね」
 「それが分かっているのなら、手を繋いで寝てあげてもいいわよ」
 手を繋ぐということは間近でアーたんの顔を見ることになる。やっぱりアーたんの顔はかわいい。僕はそれを見ることができてすっかりと安心して寝てしまった。


 「さようなら、ハヤテ。」
 僕にそう言って静かに去っていくアーたんの後ろ姿を見た。


 「アーたん!!」
 見えたのはすごく高い天井だった。夢だったのか……あれは。寝汗までかいてしまっていた。僕は横を向く。
 「あれっ、アーたん?」
 横を向いてもアーたんの姿が見えない。トイレなのかな、5分ぐらい待っても戻ってこない。僕は急に心配になった。
 「もしかしてあの夢は正夢なのかな……」
 僕はアーたんを怒らせちゃったし、僕に愛想尽きてどこかに行っちゃったかもしれない。一心不乱に僕は部屋を出て屋敷中を走り回った。
 「アーたん! アーたん!」
 暗くてあまりよく見えない。でも、運が良くて今夜はよく晴れていて月明かりが廊下を照らしてくれていることだ。徐々に視界がはっきりしてきた。
 しばらく走っていると開いているドアを見つけた。そこは外に出られるようになっていた。僕はそこから外に出る。
 「……アーたんだ」
 パジャマ姿でぽつんと立っていて、アーたんは遠くの方を眺めていた。僕はアーたんのすぐ側まで歩いて声をかけた。
 「何してるの? アーたん」
 「……ハヤテ、起きてしまったの?」
 「うん。悪い夢を見ちゃって」
 「どんな夢?」
 「アーたんがいなくなっちゃう夢」
 「そう……なの」
 力なくそう答えたアーたん。するとアーたんはかわいいくしゃみをした。僕は思わず笑ってしまった。
 「ちょっと寒いからなのかしら、くしゃみが……。くしゅん!」
 「ねえ、大丈夫なの?」
 「……ええ、そうですわね……そ、その……私を温めるためにそ、その……私の側にいなさい」
 「うん、分かった」
 側にいなさいって言葉がとても嬉しくて。僕はアーたんを温める方法を必死に考えて、後ろからアーたんをそっと抱きしめた。
 「これすればあったかいよね!」
 「そ、そうね。あなたって意外と大胆なのね」
 「そうかな……普通に考えたらこれがいいのかなって思っただけなんだけど」
 「だ、だったらそれでいいですわ」
 アーたんを抱いていると、とても良い香りがした。とても上品でふんわりとした髪に良く合っていると思った。
 「ずっと星空を観ていましたの」
 「そういえば今日は綺麗だよね」
 「ええ、遠くまで観ても……星ばかり。それで……ふと思ったの」
 「何を?」
 「ハヤテはあの女の子が好きなの?」
 「えっ、いや……それは、その……」
 あの女の子とは、名前は忘れてしまったけど凶暴な犬から助けてあげた女の子のことだった。昨日鏡で見たのはその女の子のことだ。
 「ごめん、どっちとも言えない。昨日見ていたのは、その……彼女が犬にいじめられずにいるのかなって心配だっただけで」
 「えっ、たったそれだけ……?」
 「うん、それだけだよ」
 「そうなの、じゃあ……私が誤解していたのね。ごめんなさい」
 「僕もごめん。色々と誤解させちゃって」
 僕はきちんとアーたんに謝った。ただ、あの子のことが心配になっただけだという気持ちを込めて。
 「私はただ……いつかは、ハヤテもどこか遠くに行ってしまうんじゃないかと思って。好きな人と一緒に」
 「そんな、僕はどこにも行かないよ! アーたんだけだもん」
 「嬉しいけど、それでも成長すればいつかはどこかへ去ってしまうものなの」
 「アーたん……」
 「でもね、ハヤテ。これだけは言えますわ」
 「なに?」
 アーたんは空高く指さしてこう言った。


 「私たちはいつも同じ空の下にいること。そして、あの星のようにすぐそばにいること」


 その言葉を言うアーたんは少し微笑んでいるように見えた。後ろからだったけど僕はそう思った。
 「どの星?」
 するとアーたんは少し怒りながらも星空に指さした。
 「……あれと、あれ……ですわ!」
 「多すぎてよく分からないよ」
 「とにかく、私たちは離れていても……空は繋がっている。そう思えば寂しくないって……」
 「そう思う必要なんてないよ、アーたん」
 「ハヤテ……」
 「僕たちはずっと一緒だよ。僕が絶対にアーたんを守るって決めたんだ」
 「……そうでしたわね」
 「でも、本当に綺麗だよね。今日の星空」
 「ええ、今まで見た中で一番綺麗だと思いますわ」
 アーたんと見る星空だからかもしれない。……なんてことは何だか恥ずかしくて言えなかった。この日の星空は決して忘れなかった。


 でも、あれから色々とあって10年間僕とアーたんは会うことはなかった。だけど今年のGW、アテネで偶然にも再会できた。しかし、その時アーたんは日本に帰ってこないと言ったかのでこれから会うことはまずないと思う。
 でも、アーたんもきっと今……僕とお嬢さまが見ている星空を観ているんだよね。星空は繋がっているんだよね。会いたいと思えばきっと会えるんだよね。
 「ハヤテ、おまえも望遠鏡で観てみるか?」
 「……はい」
 僕は望遠鏡を覗くと、あの時アーたんが指さした星を探し始めた。


『Beautiful days』 Fin
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