こんばんは、セカコンです。
最近はボクシングの方でも、コスプレの波は押し寄せているようです。
今日行われた、ボクシングの何かの日本代表決定戦。
そこに「自演乙」と入っている名前の選手が出てきました。
彼は色々とアニメのコスプレをしているようで、
ネット上では色々と写真があって、インデックスなどいろいろ・・・。
でも、実力はかなりあるようで、
何と日本代表になってしまったそうです(たしか)。・・・あぁ。
さて、SSのお話。
お待たせしました。
ハヤテのごとく!の完全新作SSのスタートです!
カテゴリ限定で見ると、ハヤテSSの完全新作の連載開始は・・・。
何と今年初だそうで、去年末の文ちゃん誕生日SS以来だとなのです。
3ヶ月ぶりの純粋なハヤテ完全新作というわけで。
・・・色々とリアルに大変だったし、サボったという実感が生まれますw
このSSの主人公はヒナギクでありまして。
一応、ハヤテとのフラグが立ってから・・・が本編と言うコトになります。
今回はそのフラグが立つところまでのお話。
それでは、vol.1をどうぞ。
最近はボクシングの方でも、コスプレの波は押し寄せているようです。
今日行われた、ボクシングの何かの日本代表決定戦。
そこに「自演乙」と入っている名前の選手が出てきました。
彼は色々とアニメのコスプレをしているようで、
ネット上では色々と写真があって、インデックスなどいろいろ・・・。
でも、実力はかなりあるようで、
何と日本代表になってしまったそうです(たしか)。・・・あぁ。
さて、SSのお話。
お待たせしました。
ハヤテのごとく!の完全新作SSのスタートです!
カテゴリ限定で見ると、ハヤテSSの完全新作の連載開始は・・・。
何と今年初だそうで、去年末の文ちゃん誕生日SS以来だとなのです。
3ヶ月ぶりの純粋なハヤテ完全新作というわけで。
・・・色々とリアルに大変だったし、サボったという実感が生まれますw
このSSの主人公はヒナギクでありまして。
一応、ハヤテとのフラグが立ってから・・・が本編と言うコトになります。
今回はそのフラグが立つところまでのお話。
それでは、vol.1をどうぞ。
『虹』
~PROLOGUE 紫~
―――勇気を出して初めて告白をしてみたの。
(The Hinagiku Side)
1年前のあの時から、ずっと好きで……言い出そうと思っても言えなかった。思い返してみるとたくさんあった。
デートしたりして……私の思いは強くなった。GWのあの時……ハヤテくんに告白しようと思ったら、理事長のことが好きだって言われて。泣きそうになった。でも、ハヤテくんは変わらずに私に今も接してくれている。
「ヒ~ナちゃん! 17歳の誕生日おめでとう!」
そんな風に時間だけが過ぎていって、ハヤテくんを好きになってから1年が経った……今日は17歳の誕生日。
「ありがとう、泉。」
「にはは……ささやかな私たち三人からのプレゼントなのだ。」
ささやかなプレゼント……たしかに、可愛い小包という時点で泉たちなりのさわやかかもしれないわね。
「へえ……何かな。」
「開けてみてもいいのだよ。」
泉の天真爛漫な笑顔の下で発する言葉に、私は何の疑いもなく小包を開ける。中には……クッキーが入ってた。
「クッキー……ありがとう。」
「にはは~、3人で頑張って作ってみたのだ。さあさあ、食べて食べて。」
「でも、今お昼ご飯食べたばっかりだから……。」
「一口だけでも食べてよ……ちゃんと出来ているかどうか心配なんだ。味見してないから。」
「あ、味の保証はないのね。」
よくありがちなこと。下手の横好きと言えるような人がよく創作料理を作って、ろくに味見もしない。泉がそんな人じゃないと信じたい。
本当にお昼ご飯の後だから食べたくないのは本音だけど、ここで食べておかないと泉に泣かれてしまう。それは嫌だった。少しためらう手を強引に口まで持っていく。
「……はむっ。」
少しだけかじってみた。ちょっと失敗の味がした、苦い。勢いで一枚全部食べてみる。失敗の味はしなかった。
「おいしいわね。」
「やった!」
「ちょっと苦いかなって思ったんだけど、気のせいだったかもね。」
「いやいや……ここまでできるのに3,4回失敗したからね。全部黒こげになっちゃって……ハヤ太くんに教えてもらったんだよ。」
「ハヤテくんに?」
「うん、レシピとかくれて。ハヤ太くんが作ってるの見たことあるけど、本当に男の子じゃもったいない上手さだよね。」
「そうね。」
たしかに、味わってみれば一年前にもらったクッキーの味と似ていた。少し甘さ控えめなハヤテくんらしい感じの味。
「泉が作りたいって言ったの? ハヤテくんに。」
「うん、そうだよ。誕生日プレゼント何にしようかな……って、ハヤ太くんに頼んだら勧めてくれたんだ。」
「……そうなんだ。」
泉が嬉しそうに話してくれて……小包を大切にバッグの中にしまった。昼休みのこの時間、ハヤテくんはナギと一緒に外に行っている。きっと人気の少ないところで優雅な昼の時間を過ごしていると思う。
対して私はと言うと……今日は生徒会の仕事はなくて、教室でゆっくりとお弁当を食べて……食べ終わったら、泉が来て今に至ってる。
(今日、私の誕生日……覚えてくれているのかな。)
去年のように日付変更ギリギリに来てもらっても、今年は許さないつもり。好きだって感じると、何だか許せない気持ちが増えていく。
それに……今の泉の話を聞いて、その……治まらないんだもん。その……き、期待かな?
「どうしたの? ニヤニヤしちゃって。」
「な、な、何でもないわよ。」
「怪しいぞぉ……何かとびっきりのプレゼントでも用意してくれている人でもいるのかな?」
「い、いるわけないでしょ!?」
まさにそんなこと考えてたんですけど……! 泉ってたまに的を射る発言をするから怖いわね、まさにその通り……。
「ナギちゃんだね、いいものもらえるんじゃない?」
「……えっ?」
私のさっきの返事で、クラスメイトが私の方を振り向いていた。「ハヤ太くん」という単語が出たらどうしようかって、どきまきしてた。
でも、さすがは泉。良い言葉を言ってくれたわね。
「……そ、そうなの。ナギ……去年、すごく高い腕時計くれて。だから、今年は何がもらえるのかが楽しみでしょうがないの。」
「やっぱりそっか。いや……ナギちゃんはいいものくれるよね。そっかそっか、ヒナちゃんもブランド物に興味があったんだね。」
「……何よ、お下がりで十分な感じに見えていましたか?」
「う~ん、桂ちゃんの妹だからね。」
「こんな時だけお姉ちゃんと一緒……悪いけど、少しイヤ。」
第一に、お姉ちゃんと私の年の差は10歳以上も違うんだし……お下がりなんてほとんど記憶にないわよ。最低限、服装では……。
「桂ちゃんの株は下がりっぱなしだね。」
「……お姉ちゃんはもう少しお酒を控えめにしてほしいわ。っていうか、お姉ちゃんは私の誕生日のこと、覚えているのかしら?」
「お、覚えてるよ! ええと……桂ちゃんだって人間なんだから!」
泉に必死にかばわれているお姉ちゃんって……何だか、泣けてくる。と、同時に……お姉ちゃんでも期待しても良いかなと思い始めた。……人間だし。
「まあ、家に帰ったらいるかもしれないし。」
お姉ちゃんは宿直室に住んでるの。……たまには家に帰ってきて、隣同士に寝るときもあって……って、何言ってるんだろ。私。
「そうだよ!」
「……うん、楽しみにしておくわ。」
「でも、桂ちゃんなら肩たたき券とかありそうだよね。」
「子供かっ!」
と、私は泉に突っ込んでいる横で……ガクガクと脚を震わせて立っている一人の女性。そう……噂をすればやってくるってこういうことを言うのね。
「お姉ちゃん……。」
何か、チケットみたいな紙切れをお姉ちゃんは持っていた。顔は引きつってて、何だか私に怒られるのが怖い感じに思われている気がしてならない。
「何なの?」
「えっ、そ、その……誕生日プレゼント、渡しに来たんだけど……。」
声が震えている。あからさまに。これは……私の想像通りの展開になるかもしれないわね。
「……へえ、何なの? プレゼント。」
「……ご、ごめん! これで今年も勘弁してもらえないかしら!」
お姉ちゃんから渡された物……それは、まさしく『肩たたき券』だった。やけに綺麗な肩たたき券なので、少しだけ感動したのは内緒ね。
「……去年も肩たたき券だったわね。」
「で、でも……この1年間でかなり腕が上達したと思うわ!」
「ふうん……肩こりしてないんだけど。」
「……べ、別にすぐにやらなくてもいいのよ。期限は1年後まで……ヒナの18歳の誕生日までだから!」
必死に何をお願いしているんだか……まあ、何もないよりは全然良いんだけどね。それはよく分かってるわ。
「分かったわよ、疲れているときにはこき使わせてもらいます。」
「うんうん! それでもいい!」
「……まったく、お姉ちゃんは毎年変わらないんだから。」
同時に微笑ましくなる。お姉ちゃんの思いは……紙切れ一つだけど、それは確かに詰まっているように思えたから。毎年、結局許してあげてる。
これも妹だからなのかな……と、最近になって思ってみたりする。と、お姉ちゃんの誕生日プレゼントは二の次。本当に楽しみにしているのは……。
―――好きですよ、ヒナギクさん。
そんな一言。……なんて高望みをしているんだろうって思っているけど、好きになってしまってはこんなプレゼントがあったら最高だなって思ってしまう。
「なになに!? 私のプレゼントがそんなに嬉しかったの!?」
「……来年からは少しぐらいまともなのをよこしなさい。」
「喜んでないんだぁ……。」
「お姉ちゃんのプレゼントは、大人からとは思えないようなプレゼントなのよ。あきれて物が言えないわ。」
「だってこれが一番コスト削減になるじゃん。」
「それはお姉ちゃんのお財布の中のことでしょ! 昔くれた飴一粒の方がまだ嬉しいわよ!」
「……じゃあ、職員室にのど飴あるから今から行こうか。」
「……もういいわよ、お姉ちゃん。」
まだまだ誕生日はこれから……ナギとハヤテくんのプレゼント。歩もあったっけ。まだ希望はたくさんあるわ。
小声でありがとうとお姉ちゃんに言うと、お姉ちゃんは嬉しそうに教室を後にしていった。実際にお礼は言おうと思ってたんだからね。
「ヒナギクさん、桂先生が喜んで出て行かれましたが……。」
「えっ!?」
振り向いた。……ハヤテくんが立っていた。……驚いた、何だか……大げさに。
「ハヤテくん!?」
「はい、そうですけど……。」
「……お、驚かせないでほしいわね。」
「驚かせるつもりは全くありませんよ。……でも、さっき桂先生が喜んで出ていきましたけど、一体何ででしょうか。」
「……さあ、なんでだろ?」
言えるわけ、ない。プレゼントをもらったからなんて言ったら、ハヤテくんに気を使わすだけじゃない。
「桂先生は気分屋という印象がありますからね。」
「気分屋……ああ、たしかにお酒は気分次第でたくさん飲むわね。」
「ヒナギクさんとは大違いですね、同じ姉妹なのに。」
「……うるさいわね、今の一言……何だか私まで悪く言われたように聞こえたんだけど。」
「ご、ごめんなさい……。あ、あの……ちょっと耳を貸してもらえませんか?」
「えっ、どうして?」
と、ハヤテくんの返事をもらう前に私の右耳にハヤテくんの顔が近づく。吐息が耳にかかって何だか気分が落ち着かない。というより、優しくて……もっと、こう……。
と、思っている側からハヤテくんはそっとつぶやいた。
「放課後、ちょっとお話があるんですけど良いですか?」
思いがけない言葉。でも、予想はできた……今日は私の誕生日だから。きっと去年みたいに2人きりになって渡したいんだと思ってた。
「いいわよ。」
もちろん喜んだ口調で答えると、ハヤテくんもほっとした表情になった。希望はやっぱりある、ハヤテくんは何かプレゼントをくれるんだ。
そんな期待を持ちつつ、私は午後の授業を受けた。時間の流れは速く感じて……あっという間に放課後という時間になった。
ナギはSPの人と一緒に帰っていって、ハヤテくんとすんなりと2人きりになることができた。お互いに寒さの中歩いている。ただし、まだ学院内だけど。
「……やっぱり晴れていると良いですよね。」
「ええ、そうね。」
たしかに、今日は晴れていて風が強くなければ最高の日だったかもしれない。人の全くいないような場所で、ハヤテくんは脚をふと止まらせる。
「ヒナギクさん、その……お誕生日おめでとうございます。」
「……ありがとう。」
「僕からのプレゼントなんですけど……去年とあまり変わらずですみません。」
泉と同じように小さなかわいらしい小包。中身を開けると、変わらずのクッキー。正直、これでも嬉しくてたまらなかった。
「また食べたかったんだ。このクッキー。」
「そうでしたか、それは良かったです。作った甲斐がありました。」
「……ありがとう、大切に食べる。」
「……瀬川さんたちと同じになってしまいましたが、申し訳ありませんでした。あと……僕、こういうプレゼントをみんなの前で渡すの、あまり得意じゃなくて……その、ここまで来てもらってすみませんでした。」
謝ってばかりいるハヤテくん。でも、私の嬉しさに変わりはない。……好きだって気持ちが更に強くなった気がする。だから、嫌だって気持ちなんて全然生まれない。
「17歳の誕生日、改めておめでとうございます。」
「……あのね、ハヤテくん。」
「……なんですか?」
「……あのね、その……。」
その時、私の頭の中で葛藤が始まった。ハヤテくんに……好きだって気持ちを伝えるべきか、伝えぬべきか……。2人きりという最高の舞台はここにある。
でも、理事長のような好きな人がいたらどうしよう。そう思うと……怖くて立ちすくんでしまう。ハヤテくんは異変に気づいたのか、私の肩に手を置く。
「大丈夫ですか? 小刻みに震えて……。」
「……あのね、ハヤテくん……私、私……。」
告白して「好きな人がいるんです」なんて言われたら、本末転倒じゃない! でも、どうすれば良いんだろう……分からなくて、涙まで出てくる。
でも本能の動くままにみたいな言葉もある……私の口には、好きだという言葉がもうそこにあった。そして、
「私……ハヤテくんのことが、ずっと好きだったの。」
言ってしまった。……もう、頬が熱くなっているのだって自分で分かるし、呼吸も荒くなっているのも分かった。こんなの恥ずかしい、見られるの。
「……いつかは言おうと思っていたんですけどね。」
「えっ?」
「本当にそうなのか分からなくて……言えずにいたんですけどね、ヒナギクさんのおかげでようやく分かりました。」
「……どういうこと?」
頭が動転しちゃって、よく分からなかった。でも、ハヤテくんは私をそっと抱きしめた。暖かい温もりは肩から全身に移り変わってゆく。
「僕もずっと……好きでした。」
「えっ、えええっ……。」
そんな声しかあげることができない。でも、嬉しくて……涙が出てくる。ハヤテくんの顔を見る、涙で見えないよ。
「……していいわよ。……してよ。」
きっとハヤテくんだって……。視界は暗くなって、同時に唇に温かい感触が伝わってくる。柔らかい感触が私を包み込む。
「私と付き合ってください。」
「……僕の方こそ、お願いします。」
「……ありがとう。」
17歳の誕生日に……最高の誕生日プレゼントをもらった。ハヤテくんと一緒にいられるだけで、それだけで嬉しかった。
でも、人生は甘くないと言うことを……1週間後に目の当たりにする。信じられない話しと共に、それは突然私に襲いかかる……。
vol.2に続く。ヒナギクの目の当たりにする信じられない話とは?
それは、遠い昔にあった悲しい出来事に関係していた。
☆コラム☆
お久しぶりです、セカコンです。
純粋なハヤテSSでは3ヶ月ぶりとなります。長らくお待たせしました。
ちょくちょくと1ヶ月半ぐらい前からはブログに書いたのですが、
なかなかリアルに忙しい部分があったり、SSの書かない日々が続いたり・・・。
そんなこんなで、気づけば3月の終わりまで来てしまいました。
何もないままで2009年度を終えるのもまずい。
また、2010年度を良いスタートで切れるようにという位置づけで春休みから執筆開始しました。
今回は各回ごとに目線となるキャラが変わってきます。
初めての試みなのですが、今のところ・・・何とかできていることです。
SSのタイトルは虹・・・ということで、七色+タイトル名で全8部ですw
SELL名には虹の七色が登場します(ちゃんと順番通りですよ)
春休み中はSS『虹』を集中連載しようと思います。お楽しみに。
それでは、失礼します。
~PROLOGUE 紫~
―――勇気を出して初めて告白をしてみたの。
(The Hinagiku Side)
1年前のあの時から、ずっと好きで……言い出そうと思っても言えなかった。思い返してみるとたくさんあった。
デートしたりして……私の思いは強くなった。GWのあの時……ハヤテくんに告白しようと思ったら、理事長のことが好きだって言われて。泣きそうになった。でも、ハヤテくんは変わらずに私に今も接してくれている。
「ヒ~ナちゃん! 17歳の誕生日おめでとう!」
そんな風に時間だけが過ぎていって、ハヤテくんを好きになってから1年が経った……今日は17歳の誕生日。
「ありがとう、泉。」
「にはは……ささやかな私たち三人からのプレゼントなのだ。」
ささやかなプレゼント……たしかに、可愛い小包という時点で泉たちなりのさわやかかもしれないわね。
「へえ……何かな。」
「開けてみてもいいのだよ。」
泉の天真爛漫な笑顔の下で発する言葉に、私は何の疑いもなく小包を開ける。中には……クッキーが入ってた。
「クッキー……ありがとう。」
「にはは~、3人で頑張って作ってみたのだ。さあさあ、食べて食べて。」
「でも、今お昼ご飯食べたばっかりだから……。」
「一口だけでも食べてよ……ちゃんと出来ているかどうか心配なんだ。味見してないから。」
「あ、味の保証はないのね。」
よくありがちなこと。下手の横好きと言えるような人がよく創作料理を作って、ろくに味見もしない。泉がそんな人じゃないと信じたい。
本当にお昼ご飯の後だから食べたくないのは本音だけど、ここで食べておかないと泉に泣かれてしまう。それは嫌だった。少しためらう手を強引に口まで持っていく。
「……はむっ。」
少しだけかじってみた。ちょっと失敗の味がした、苦い。勢いで一枚全部食べてみる。失敗の味はしなかった。
「おいしいわね。」
「やった!」
「ちょっと苦いかなって思ったんだけど、気のせいだったかもね。」
「いやいや……ここまでできるのに3,4回失敗したからね。全部黒こげになっちゃって……ハヤ太くんに教えてもらったんだよ。」
「ハヤテくんに?」
「うん、レシピとかくれて。ハヤ太くんが作ってるの見たことあるけど、本当に男の子じゃもったいない上手さだよね。」
「そうね。」
たしかに、味わってみれば一年前にもらったクッキーの味と似ていた。少し甘さ控えめなハヤテくんらしい感じの味。
「泉が作りたいって言ったの? ハヤテくんに。」
「うん、そうだよ。誕生日プレゼント何にしようかな……って、ハヤ太くんに頼んだら勧めてくれたんだ。」
「……そうなんだ。」
泉が嬉しそうに話してくれて……小包を大切にバッグの中にしまった。昼休みのこの時間、ハヤテくんはナギと一緒に外に行っている。きっと人気の少ないところで優雅な昼の時間を過ごしていると思う。
対して私はと言うと……今日は生徒会の仕事はなくて、教室でゆっくりとお弁当を食べて……食べ終わったら、泉が来て今に至ってる。
(今日、私の誕生日……覚えてくれているのかな。)
去年のように日付変更ギリギリに来てもらっても、今年は許さないつもり。好きだって感じると、何だか許せない気持ちが増えていく。
それに……今の泉の話を聞いて、その……治まらないんだもん。その……き、期待かな?
「どうしたの? ニヤニヤしちゃって。」
「な、な、何でもないわよ。」
「怪しいぞぉ……何かとびっきりのプレゼントでも用意してくれている人でもいるのかな?」
「い、いるわけないでしょ!?」
まさにそんなこと考えてたんですけど……! 泉ってたまに的を射る発言をするから怖いわね、まさにその通り……。
「ナギちゃんだね、いいものもらえるんじゃない?」
「……えっ?」
私のさっきの返事で、クラスメイトが私の方を振り向いていた。「ハヤ太くん」という単語が出たらどうしようかって、どきまきしてた。
でも、さすがは泉。良い言葉を言ってくれたわね。
「……そ、そうなの。ナギ……去年、すごく高い腕時計くれて。だから、今年は何がもらえるのかが楽しみでしょうがないの。」
「やっぱりそっか。いや……ナギちゃんはいいものくれるよね。そっかそっか、ヒナちゃんもブランド物に興味があったんだね。」
「……何よ、お下がりで十分な感じに見えていましたか?」
「う~ん、桂ちゃんの妹だからね。」
「こんな時だけお姉ちゃんと一緒……悪いけど、少しイヤ。」
第一に、お姉ちゃんと私の年の差は10歳以上も違うんだし……お下がりなんてほとんど記憶にないわよ。最低限、服装では……。
「桂ちゃんの株は下がりっぱなしだね。」
「……お姉ちゃんはもう少しお酒を控えめにしてほしいわ。っていうか、お姉ちゃんは私の誕生日のこと、覚えているのかしら?」
「お、覚えてるよ! ええと……桂ちゃんだって人間なんだから!」
泉に必死にかばわれているお姉ちゃんって……何だか、泣けてくる。と、同時に……お姉ちゃんでも期待しても良いかなと思い始めた。……人間だし。
「まあ、家に帰ったらいるかもしれないし。」
お姉ちゃんは宿直室に住んでるの。……たまには家に帰ってきて、隣同士に寝るときもあって……って、何言ってるんだろ。私。
「そうだよ!」
「……うん、楽しみにしておくわ。」
「でも、桂ちゃんなら肩たたき券とかありそうだよね。」
「子供かっ!」
と、私は泉に突っ込んでいる横で……ガクガクと脚を震わせて立っている一人の女性。そう……噂をすればやってくるってこういうことを言うのね。
「お姉ちゃん……。」
何か、チケットみたいな紙切れをお姉ちゃんは持っていた。顔は引きつってて、何だか私に怒られるのが怖い感じに思われている気がしてならない。
「何なの?」
「えっ、そ、その……誕生日プレゼント、渡しに来たんだけど……。」
声が震えている。あからさまに。これは……私の想像通りの展開になるかもしれないわね。
「……へえ、何なの? プレゼント。」
「……ご、ごめん! これで今年も勘弁してもらえないかしら!」
お姉ちゃんから渡された物……それは、まさしく『肩たたき券』だった。やけに綺麗な肩たたき券なので、少しだけ感動したのは内緒ね。
「……去年も肩たたき券だったわね。」
「で、でも……この1年間でかなり腕が上達したと思うわ!」
「ふうん……肩こりしてないんだけど。」
「……べ、別にすぐにやらなくてもいいのよ。期限は1年後まで……ヒナの18歳の誕生日までだから!」
必死に何をお願いしているんだか……まあ、何もないよりは全然良いんだけどね。それはよく分かってるわ。
「分かったわよ、疲れているときにはこき使わせてもらいます。」
「うんうん! それでもいい!」
「……まったく、お姉ちゃんは毎年変わらないんだから。」
同時に微笑ましくなる。お姉ちゃんの思いは……紙切れ一つだけど、それは確かに詰まっているように思えたから。毎年、結局許してあげてる。
これも妹だからなのかな……と、最近になって思ってみたりする。と、お姉ちゃんの誕生日プレゼントは二の次。本当に楽しみにしているのは……。
―――好きですよ、ヒナギクさん。
そんな一言。……なんて高望みをしているんだろうって思っているけど、好きになってしまってはこんなプレゼントがあったら最高だなって思ってしまう。
「なになに!? 私のプレゼントがそんなに嬉しかったの!?」
「……来年からは少しぐらいまともなのをよこしなさい。」
「喜んでないんだぁ……。」
「お姉ちゃんのプレゼントは、大人からとは思えないようなプレゼントなのよ。あきれて物が言えないわ。」
「だってこれが一番コスト削減になるじゃん。」
「それはお姉ちゃんのお財布の中のことでしょ! 昔くれた飴一粒の方がまだ嬉しいわよ!」
「……じゃあ、職員室にのど飴あるから今から行こうか。」
「……もういいわよ、お姉ちゃん。」
まだまだ誕生日はこれから……ナギとハヤテくんのプレゼント。歩もあったっけ。まだ希望はたくさんあるわ。
小声でありがとうとお姉ちゃんに言うと、お姉ちゃんは嬉しそうに教室を後にしていった。実際にお礼は言おうと思ってたんだからね。
「ヒナギクさん、桂先生が喜んで出て行かれましたが……。」
「えっ!?」
振り向いた。……ハヤテくんが立っていた。……驚いた、何だか……大げさに。
「ハヤテくん!?」
「はい、そうですけど……。」
「……お、驚かせないでほしいわね。」
「驚かせるつもりは全くありませんよ。……でも、さっき桂先生が喜んで出ていきましたけど、一体何ででしょうか。」
「……さあ、なんでだろ?」
言えるわけ、ない。プレゼントをもらったからなんて言ったら、ハヤテくんに気を使わすだけじゃない。
「桂先生は気分屋という印象がありますからね。」
「気分屋……ああ、たしかにお酒は気分次第でたくさん飲むわね。」
「ヒナギクさんとは大違いですね、同じ姉妹なのに。」
「……うるさいわね、今の一言……何だか私まで悪く言われたように聞こえたんだけど。」
「ご、ごめんなさい……。あ、あの……ちょっと耳を貸してもらえませんか?」
「えっ、どうして?」
と、ハヤテくんの返事をもらう前に私の右耳にハヤテくんの顔が近づく。吐息が耳にかかって何だか気分が落ち着かない。というより、優しくて……もっと、こう……。
と、思っている側からハヤテくんはそっとつぶやいた。
「放課後、ちょっとお話があるんですけど良いですか?」
思いがけない言葉。でも、予想はできた……今日は私の誕生日だから。きっと去年みたいに2人きりになって渡したいんだと思ってた。
「いいわよ。」
もちろん喜んだ口調で答えると、ハヤテくんもほっとした表情になった。希望はやっぱりある、ハヤテくんは何かプレゼントをくれるんだ。
そんな期待を持ちつつ、私は午後の授業を受けた。時間の流れは速く感じて……あっという間に放課後という時間になった。
ナギはSPの人と一緒に帰っていって、ハヤテくんとすんなりと2人きりになることができた。お互いに寒さの中歩いている。ただし、まだ学院内だけど。
「……やっぱり晴れていると良いですよね。」
「ええ、そうね。」
たしかに、今日は晴れていて風が強くなければ最高の日だったかもしれない。人の全くいないような場所で、ハヤテくんは脚をふと止まらせる。
「ヒナギクさん、その……お誕生日おめでとうございます。」
「……ありがとう。」
「僕からのプレゼントなんですけど……去年とあまり変わらずですみません。」
泉と同じように小さなかわいらしい小包。中身を開けると、変わらずのクッキー。正直、これでも嬉しくてたまらなかった。
「また食べたかったんだ。このクッキー。」
「そうでしたか、それは良かったです。作った甲斐がありました。」
「……ありがとう、大切に食べる。」
「……瀬川さんたちと同じになってしまいましたが、申し訳ありませんでした。あと……僕、こういうプレゼントをみんなの前で渡すの、あまり得意じゃなくて……その、ここまで来てもらってすみませんでした。」
謝ってばかりいるハヤテくん。でも、私の嬉しさに変わりはない。……好きだって気持ちが更に強くなった気がする。だから、嫌だって気持ちなんて全然生まれない。
「17歳の誕生日、改めておめでとうございます。」
「……あのね、ハヤテくん。」
「……なんですか?」
「……あのね、その……。」
その時、私の頭の中で葛藤が始まった。ハヤテくんに……好きだって気持ちを伝えるべきか、伝えぬべきか……。2人きりという最高の舞台はここにある。
でも、理事長のような好きな人がいたらどうしよう。そう思うと……怖くて立ちすくんでしまう。ハヤテくんは異変に気づいたのか、私の肩に手を置く。
「大丈夫ですか? 小刻みに震えて……。」
「……あのね、ハヤテくん……私、私……。」
告白して「好きな人がいるんです」なんて言われたら、本末転倒じゃない! でも、どうすれば良いんだろう……分からなくて、涙まで出てくる。
でも本能の動くままにみたいな言葉もある……私の口には、好きだという言葉がもうそこにあった。そして、
「私……ハヤテくんのことが、ずっと好きだったの。」
言ってしまった。……もう、頬が熱くなっているのだって自分で分かるし、呼吸も荒くなっているのも分かった。こんなの恥ずかしい、見られるの。
「……いつかは言おうと思っていたんですけどね。」
「えっ?」
「本当にそうなのか分からなくて……言えずにいたんですけどね、ヒナギクさんのおかげでようやく分かりました。」
「……どういうこと?」
頭が動転しちゃって、よく分からなかった。でも、ハヤテくんは私をそっと抱きしめた。暖かい温もりは肩から全身に移り変わってゆく。
「僕もずっと……好きでした。」
「えっ、えええっ……。」
そんな声しかあげることができない。でも、嬉しくて……涙が出てくる。ハヤテくんの顔を見る、涙で見えないよ。
「……していいわよ。……してよ。」
きっとハヤテくんだって……。視界は暗くなって、同時に唇に温かい感触が伝わってくる。柔らかい感触が私を包み込む。
「私と付き合ってください。」
「……僕の方こそ、お願いします。」
「……ありがとう。」
17歳の誕生日に……最高の誕生日プレゼントをもらった。ハヤテくんと一緒にいられるだけで、それだけで嬉しかった。
でも、人生は甘くないと言うことを……1週間後に目の当たりにする。信じられない話しと共に、それは突然私に襲いかかる……。
vol.2に続く。ヒナギクの目の当たりにする信じられない話とは?
それは、遠い昔にあった悲しい出来事に関係していた。
☆コラム☆
お久しぶりです、セカコンです。
純粋なハヤテSSでは3ヶ月ぶりとなります。長らくお待たせしました。
ちょくちょくと1ヶ月半ぐらい前からはブログに書いたのですが、
なかなかリアルに忙しい部分があったり、SSの書かない日々が続いたり・・・。
そんなこんなで、気づけば3月の終わりまで来てしまいました。
何もないままで2009年度を終えるのもまずい。
また、2010年度を良いスタートで切れるようにという位置づけで春休みから執筆開始しました。
今回は各回ごとに目線となるキャラが変わってきます。
初めての試みなのですが、今のところ・・・何とかできていることです。
SSのタイトルは虹・・・ということで、七色+タイトル名で全8部ですw
SELL名には虹の七色が登場します(ちゃんと順番通りですよ)
春休み中はSS『虹』を集中連載しようと思います。お楽しみに。
それでは、失礼します。
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