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こんにちは、セカコンです。
さて・・・私は四国に旅行に行っているので、今日から3日間はSS『コウトウアイ~Heart sans Wall~』の最終3部を一気に公開します。


今後、何やってるんだろうなぁ・・・。
父親曰く、香川県の琴平山の800段階段を登っているとか・・・。

・・・これはしんどそうだな!

さて、SSのお話。

今回の部分・・・ついに私のお得意分野。裏側編、そして過去編です。
・・・アテネと歩が出会い、一枚の写真を見せる・・・。

ついに、このSSの重要なポイントが出てくるこの回。
歩のココロ・・・そして、アテネのココロが・・・思わぬ形で明らかになる。


それでは、vol.8をどうぞ。

~SELL 13 思惑~


 「ついに・・・完成した。」

 歩の手には、とあるカプセル薬があった。その後ろには・・・もちろん、彼女の相方の咲夜がそこに立っていた。
 「おめでとうございます!歩ちゃん!」
 「ええ、なんとか・・・完成できた。2年間かけて・・・完成できたよ。」
 「これは・・・世紀の大発見じゃないんですか!?」
 「まあ、21世紀に入ってからはそうかもしれないけど・・・私のしたことなんて、大したことなんてないよ。」
 でも、歩にとっては・・・誇らしいことであった。咲夜はそれに精一杯の賞賛を送っている。

 「弟さんも・・・天国から喜んでいますよ。」
 「・・・そうね。」

 歩は目を潤ませながら、引き出しの中の写真を見た。
 「お姉ちゃん、ここまで頑張ったよ。」
 「・・・歩ちゃん、でも・・・この薬を2人に使用するんですよね?」
 「そうなのよ・・・問題はここから。」
 もちろん、新開発した薬をむやみに使ったりしたら警察沙汰になる可能性も否定できない。歩はもちろんそこは考えていた。
 「あの医院長なら・・・何かあっても大丈夫。だから、私は・・・医院長に掛け合ってみるわ。」
 「大丈夫なんですか・・・?」
 「たぶん、難しいと思う・・・でも、彼女だって一人の女性。話せば、きっと・・・分かってくれる。」
 「どうも、私には絶対に曲げない信念がありそうで・・・。」
 医院長である天王州アテネは、どうも近づきがたい存在らしい。だが、先ほども話したとおり歩は前から幾多に渡って話し合ってきた仲なのである。

 「まあ、大丈夫だから。」

 この絶対に自信は何なのだろうか・・・咲夜はそれさえも分からなくなっていた。今にとって、歩はかなり大きな存在に見える。
 「歩ちゃん・・・私、信じてますから。」
 「・・・ありがとう。咲夜。」
 天才なのかもしれない・・・でも、それは本物だ。義理じゃなくて、人として2人を救おうとしている・・・咲夜はそう思って、笑顔で見送った。

 (頑張れ・・・。)

 咲夜はそうして、彼女の仕事に戻っていくのであった。



 院長室は高いビルの上に・・・その階全フロアを、医院長フロアと名付け・・・実質、医院長である天王州アテネが所有している。
 「相変わらず・・・豪華ね。ここだけ。」
 歩はエレベーターに乗り一人でやってきて、今はそのフロアに立っている。周りにほとんど人はいない。
 「誰もいない・・・か。」
 エレベーターフロアから出ると、もうそこは誰かの豪華な屋敷のような作りになっており、とても病院とは思えない。

 「・・・いるかな。アーたん・・・。」

 まさかとは思ったが・・・歩はアテネのことをアーたんと呼んでいる。いつしか前、どこかでその名前を他の女性が言ったとき、ネーミングセンスが悪いと言われたようだ。

 『コンコン・・・』

 医院長室の前でノックをする。すると、中の方から綺麗な声で「はい、どうぞ。」と女性の声が返ってきた。
 (いた、か・・・。)
 普段はいないことの方が多いらしいのだが・・・この日はいた。歩はゆっくりとドアを開けて、

 「失礼します。」

 部屋の中に入っていく。そこには、高級そうなソファーにくつろいでゆっくりと紅茶を楽しんでいるアテネの姿があった。
 「あら、歩・・・お久しぶりね。」
 「いえ、医者になったばっかり・・・つい、1ヶ月ぐらい前に会いましたよ。」
 「あら、そうだったかしら。」
 もっと、他の人に対しては厳しいらしいのだが・・・歩に対してはマイペースな口調で接している。これも、親しみあってのことなのか。
 「そうだ、歩・・・紅茶でも飲む?」
 「いいんですか?」
 「ええ、構わないわ。さっ、そちらのソファーに座って。」
 これが、少し悪い噂の立っている・・・天王州アテネなのだろうか?自分にはこういう接し方しか知らない歩にとって、それこそが疑問に思っていた。

 「どう?医者になって・・・最初の患者さんを持っているんでしょ?」

 何とも、友人のような訊き方・・・。歩は冷静に答えた。
 「ええ、でも・・・あなたのおかげです。私が今・・・白皇病院でちゃんとした医者をやれているのは。」
 「何よ、急にかしこまっちゃって・・・。」
 「いや、大学時代から・・・その、医院長とはお付き合いさせてもらっていますけど・・・やはり、あなたほどになると・・・。」
 「いいのよ、こうして2人きりの時は・・・私と歩は友達同士。」
 「そうですか、ご厚意に・・・甘えさせていただきます。」
 歩はアテネの入れてくれた紅茶を一口飲むと、まったりとした笑顔を見せた。
 「どう?おいしい?」
 「ええ、とても・・・その、私にとっては・・・その、高級感あふれる・・・上品な味ですね。」
 「もう、歩ったら・・・それは嘘でしょ?」
 「いいえ、本当です。」
 歩はもう一口、紅茶を飲んでしんみりとした表情となる。すぐさまに、アテネはそれに気づいた。

 「どうかしたの?歩・・・。」

 歩は涙を流し始めた・・・。
 「えっ、えっ・・・?」
 「いえ、すみません・・・でも、私・・・弟のおかげで医者になる決意ができたので。」
 「弟・・・さん?」
 「ええ、私・・・弟がいたんです。AF筋肉硬化症候群にかかっている・・・。」
 「へえ、そうなの・・・。」
 「でも、2年前に亡くなったんです。それまでにかかっていた治療代がけっこう多額で、だから・・・勉強して、奨学金で大学に通っていたんです。」
 「・・・たしかに、大学でのあなたは・・・医者になるためだったら、なんでもやる・・・そんな感じに見えたわね。」
 歩は他の学生とは、全く違う雰囲気があった。たしかに、メガネをかけているときもあればかけていないときもあって、そんな面ではかわいいと評判だったのだが、医学部の特待生でもあったため、近づく存在でもなかった。

 つまり、少し今のアテネに重なり合っている。

 「当時の私、けっこう・・・勉強に頭がいっぱいでしたよ。」
 「でも、あなた・・・積極的にイベントにも参加していたじゃない。」
 「まあ、学生という雰囲気も少しは味わいたかったので・・・文化祭ぐらいは味わいましたよ、それなりに。」
 「・・・私、どうして・・・あなたを白皇病院に誘ったか分かる?」
 「分かりませんね、一番の・・・優秀であると噂だったからですか?」
 当時の歩は本当に優秀、かつ人に対しては優しさもそれなりにはあった。しかし、どこか狙っているものがあったという。
 「まあ、そんな感じね・・・。」
 「でも、その時は・・・ありがとうございます。」
 「あなただけが・・・何となく、気軽に話せそうな人だったから。」
 「えっ・・・?」
 「当時の私は、恋人を失った・・・悲しき一人の女性だったの。」
 「アーたん・・・が?」
 「アーたん?」
 少し怒った表情になったが、話はそのまま続けた。
 「す、すみません。」
 「いえ、いいのよ・・・でも、その呼び名だと少し・・・昔の嫌な記憶が蘇るだけだから。」
 「すみません・・・。」
 「だけど、歩・・・今、あなたは難病患者を2人担当しているのよね。」
 「ええ、そうですけど・・・。」
 歩は本題を切り出した。歩は白衣のポケットから、先ほどできあがったカプセル薬の入っているケースをテーブルに置いた。

 「これは・・・?」

 「この薬は、私が開発した・・・AF筋肉硬化症候群の特効薬になると推測される薬です。」

 アテネは一瞬、目を見開いた。
 「えっ・・・難しいと言われていた、あの病気の・・・?」
 「ええ、今回入院した2人を治療し・・・いろいろと研究した結果、細胞の内側からの活性的な刺激を与えていく。そして、外部から酸素を取り込めば、この病気は・・・躍進的に回復できるでしょう。」
 「・・・で、その薬をどうしたいって言うの・・・?」
 アテネの表情が次第と険しくなってゆく、歩が言うことが分かっており・・・そして、歩も言ったところで結果はどうなるかは予測できている。
 「この薬を、今治療している2人に・・・服用させたいのです。」
 その瞬間、アテネはテーブルを力強く叩いた。

 「だめっ!!そんなこと・・・私は許さない!」

 歩の予想通りだった・・・だから、歩はそこからあきらめることをしなかった。
 「でも、治療している2人には・・・既に許可を得ています!」
 「そんなの・・・私の許す場においてのことなのよ!そんな勝手なこと、私が・・・許すわけないじゃない!」
 「・・・でも、この病気の解明をすぐにするには・・・2人の力を借りたいんです!」
 「そんなの、それで・・・死んでしまったりしたらどうするの!」
 「・・・その時は、私が責任を取ります。」
 歩の決意に秘めた・・・その言葉に、アテネの言葉が止まった。

 「私は弟の命を奪った病気を、絶対に見逃したくないんです。」

 あの時・・・ハヤテを見たときに思ったこと。それは、ある懐かしさから・・・始まったのであった。
 「そんなの・・・私の知ったコトじゃない!」
 「・・・あなただって関係あるはずです。」
 「・・・!」
 そして、歩は再び・・・白衣のポケットからとあるものを出した。
 「これを見てください。」
 「・・・!こ、これは・・・。」
 アテネが見て絶句したもの・・・それは、これだった。

 「私の弟・・・あなたの恋人だったんですよね?」

 それは、歩の弟の写真であった。それは、アテネの恋人であり・・・2年前に亡くなってしまった。
 「な、なんで・・・この写真を!」
 「分からないけど、弟が亡くなる直前・・・この写真を渡しました。『これは、僕の彼女が撮った最高の写真』と。その彼女、考えてみたらあなたしかいないんですよ。」
 「そ、それは・・・?」
 歩は弟の手の部分を指さした。
 「この指輪・・・今、アーたんの右手の薬指にされているのと同じですよね。そう、アーたんと私の弟は、それだけ愛し合っていたんじゃないんですか?」
 「・・・」
 「そして、私も・・・持っています。弟が死んで、その人に返そうと思って。心当たりは、あなたしかいなかった。弟が死んでから2週間後に、医学界では有名すぎるあなたが、急に私のところに来たんだから。」
 「そ、それは・・・。」
 2年前からの・・・違和感。そして、ハヤテと出会ってからの・・・懐かしさ。全ての答えはこの写真にあった。

 「今、治療している・・・男性。それは、弟同じ・・・ハヤテくんなんです。」

 「・・・!」

 歩の弟の名前・・・奇しくも、ハヤテと同じハヤテ。そして、更に驚きなのは・・・。
 「そう、この姿・・・そのままなんですよ。」
 「えっ・・・!」
 「・・・だからかもしれませんけど、私は・・・彼と彼女を絶対に治してあげたいんです!それに、弟みたいに・・・優しい方です。」
 「・・・う、嘘でしょ・・・!」
 嘘ではない、それが真実なんだ。歩はまたまた再び白衣のポケットから、とあるものを出した。

 「これ、お返ししておきます。」

 歩はその弟のハヤテが付けていた指輪を、アテネに返した。
 「弟もあなたと同じ、右手の薬指に・・・付けていました。やはり、それだけ・・・あなたのことが好きだったんでしょう。」
 「・・・だからって、私は・・・許したくない・・・!」
 「えっ・・・?」
 「私だって、あなたが大学生の時・・・あなたと同じコトをしたのよ!そしたら、ハヤテは・・・死んで、死んで・・・!」
 実は、歩には・・・死んだ原因は、AF筋肉硬化症候群による・・・急激な進行により死亡ということしか知らない。

 「あなたの弟を殺したのは、実質・・・私だったのよ!」

 お返しされるように・・・今度は歩が絶句した。額には冷や汗をかき始めている。対するアテネは、涙を流しながらの告白だった。
 「そ、それって・・・どういうこと?」
 「私は、ハヤテを・・・あなたの弟を守りたかった。だから、研究させて・・・それを、密かにハヤテに服用させてた。そしたら、急に悪くなって・・・。」
 「・・・!も、もしかして・・・急変した理由って、その・・・アーたんが作った薬のせいなの?」
 「本当に、ごめんなさい・・・!」
 アテネは泣きながら謝っている。こんなコトは、他の人には考えつかないワンシーンだろう。そして、原作のアテネでも。

 「だから、せめての罪滅ぼしに・・・あなたを、私が経営するこの病院に・・・招待したの。」

 歩は泣くアテネに、ピンク色のハンカチを手渡した。
 「・・・涙を拭いてください。」
 「あ、ありがとう。」
 時々、その涙が露出している胸の谷間に溜まっていくから・・・えろっちいなと、歩はそんな思いも感じていた。
 「私は、金の力で・・・このことをねじ伏せた。というよりも、そこまで大きくもならなかったんだけどね。」
 「・・・まあ、2年前も若い人は進行が早いという噂はありましたからね。」
 「でも、本当に・・・ごめんなさい。」
 「分かってます。」
 アテネは今一度、歩の手を握った。
 「だから、私は・・・それを許可したくない。いや・・・許可させない。」
 歩は・・・どんなコトを言われても、決断はしていた。

 「アーたん。」

 ゆっくりと立ち上がって、アテネの手を放した。
 「・・・それでも、私はやりたいと思います。」
 「えっ・・・!」
 「私は、彼たちを・・・信じたいと思います。私を信じてくれた・・・綾崎くんと瀬川さんと同じように。」
 「歩・・・こんなコトは言いたくないけど、それをしたら・・・歩を解雇するわよ。」
 苦渋の言葉・・・なのは分かっている。それでも、解雇・・・それは、歩の心に響いていた。でも、歩はそれでも信念は曲げなかった。
 「私は・・・それでも、綾崎ハヤテくんと瀬川泉さんを・・・信じてますから。それに、綾崎ハヤテくんは・・・人を守る執事。彼たちは、絶対に・・・死なせない。」
 「・・・歩、本当にする気なの・・・?苦しむのは、あなたじゃない・・・その2人なのよ!」
 「・・・いえ、それは私も同じ苦しみを味わうと思います。」
 「・・・!」
 「アテネだって・・・弟を亡くしたとき、とても悲しんだでしょう?それと同じですよ、私だって・・・苦しむときはあの2人と同じ。」
 「・・・」
 アテネは思い出した。歩の弟が死ぬとき・・・それは、誰もいなくて・・・ただ、自分が泣きじゃくっていたときの、あの瞬間・・・。

 「だから、何と言われても・・・私はあの人たちを治す。それだけの覚悟は・・・2人と出会ったときから決まってる。」

 そして、新薬の入ったケースと写真をしまうと・・・部屋を去ろうとした。
 「待って、歩!」
 「・・・なんですか?」
 「・・・だったら、一つだけ・・・条件を与えるわ。」
 「・・・?」
 「私とあなた・・・どちらが、綾崎ハヤテを笑顔に戻すことができるか・・・それが、あなただったら・・・絶対に解雇はさせないから。」
 「・・・相変わらず、むちゃくちゃな勝負ですね。アテネ・・・さん。」
 歩は凛々しく微笑んで、部屋から出て行くのであった。


 「・・・さっそく、綾崎くんと瀬川さんに・・・。」


 そうして、歩は・・・病気の切り札を握って、ハヤテと泉の入院している特別室へと向かっていくのである・・・。


vol.9に続く。歩のココロの正体は、ハヤテとよく似た同名の弟を亡くした悲しみ。
次回、それが綾崎ハヤテに伝えられる・・・。そして、ヒナギクは・・・?


☆コラム☆

・・・あと2部だぞ!

・・・原作であったように、アテネが理事長、そして医院長という設定を。
・・・ちょっと面白くなってきたかな。

次回はそうですね・・・ほのぼのかもしれないし、シリアスかもしれない。
まあ、そんな回なので明日の正午・・・楽しみにしていてください。


それでは、失礼します。
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