こんばんは、セカコンです。
ここで、簡易お知らせですが・・・6/6(土)の午後10:30よりねとらじをやります。
初めてなのですが、頑張るつもりなのでよろしくお願いします。
詳細は明日ぐらいに記事でお伝えします。
さて、そんなコトをやっていたので今日からヒナギク編スタートです!


ヒナギク編のサブタイトルは「vs.ゆきあゆ」ということで・・・。
まだ、今回はそんなバトルチックなモードには入らず、お気楽な回となります。
そうですね、じわじわとハクトの要素が見えてくる回でもあります。
う~ん・・・こういう要素があるのは好きだなぁ。
まあ、一応ヒナギク編ですが、今回は準ヒナギク編といった感じでしょうか。
それでは、ヒナギク編スタートのvol.6をどうぞ!
ここで、簡易お知らせですが・・・6/6(土)の午後10:30よりねとらじをやります。
初めてなのですが、頑張るつもりなのでよろしくお願いします。
詳細は明日ぐらいに記事でお伝えします。
さて、そんなコトをやっていたので今日からヒナギク編スタートです!


ヒナギク編のサブタイトルは「vs.ゆきあゆ」ということで・・・。
まだ、今回はそんなバトルチックなモードには入らず、お気楽な回となります。
そうですね、じわじわとハクトの要素が見えてくる回でもあります。
う~ん・・・こういう要素があるのは好きだなぁ。
まあ、一応ヒナギク編ですが、今回は準ヒナギク編といった感じでしょうか。
それでは、ヒナギク編スタートのvol.6をどうぞ!
~SELL 5 Score~
『なぜ・・・おまえは私の言うことを聞かないんだっ!』
募り募られた・・・その傲慢な態度に乗せられる言葉が、私をどんどんを苦しめて・・・今、あるべき恨みが晴らしたくなる。
『・・・関係ないっ!!』
何かがあるはずだった・・・。でも、ひどかった・・・。だから、私は・・・逃げる、そう・・・そして苦しめる。
たとえ・・・何人もの人間が苦しんでも。
ナギが倒した悪魔が消えた日の翌日、早いことに白皇学院の期末試験のテスト返しは行われるようだ。
教室の中にナギとハクトが入るのだが、ナギは周りをキョロキョロ見ていた。
「どうかしたのですか?ナギさん。」
「・・・本当におまえはのんびりとしたやつだな。おまえが私のそばにいられることを、みんなに知られて良いのか?」
「・・・だから、昨日も言ったように僕は姿を消すことができるんです。」
「まあ、それは知っているのだが・・・。」
それでも心配が解けないナギを見たハクト。思えば、ナギのそばにはハヤテもいる。案の定、ハヤテは“?”の表情でナギを見ていた。
「あの・・・お嬢さま、誰かがいるんですか・・・?」
「あっ、いやぁ・・・何にもない。ははは。何にもない。」
「そう、ですか・・・。」
ハヤテはナギの言葉を聞くと、すっかりと安心しきって自分の席に向かっていった。
「ったく、危うくばれるところだったではないか・・・。」
「まあ、彼の場合なら僕のコトを話しても・・・たぶん、大丈夫だと思うんですけどね。やはり、万が一のことがあると思い・・・ナギさん、良い選択をしてくれました。」
「・・・おまえ、正体がばれたら動物にされるかもしれないだろ!」
「それは、最初に“パー”がつくようなマンのヒーローの肩書きを持つ小学生の少年のことであって、僕の場合はあくまでも悪魔を倒すことです。」
普通にしゃべったはずなのだが、ナギは言葉を出さない。
「・・・?どうかしましたか?」
「・・・おい、おもしろくないぞ。」
「・・・! べ、別に・・・僕はそんなつもりで言った覚えはありません!・・・あっ、ウ、ウケなんて狙ってませんから!」
「へえ・・・?」
「第一に、そんな風になるとは予想もしていなかったもんで・・・って、ナギさん!なんだか、僕の弱みを握ったような目で見ないでください!」
そんな日常茶飯事のような会話をしているとき、ナギの方を後ろから叩く一人の少女。桂ヒナギクがそこには立っていた。
「おはよう、ナギ。それに、ハクトくん。」
ヒナギクは毎朝の生徒会の仕事を終えたばかりであり、その夏服の姿で一見涼しそうな表情をしているが、汗は少しかいているようであった。
「ああ、おはよう・・・。」
「おはようございます、ヒナギクさん。」
「ふふふっ・・・今日はハクトくんがここにいるの?」
「ええ、まあ・・・マリアさんに潜んでいた悪魔は、昨日の夜に・・・2人で倒しましたけどね。」
「ふうん・・・。」
気づけば一歩・・・また気づけば一歩。ヒナギクがハクトに近づいているように思える。ナギはもちろんそれを感じて、
「お、おい!なにをハクトに近づいているのだ!」
ナギはとっさにヒナギクに文句を付ける。まるで、ハヤテがそうされているかのように。
「あ~ら、いいじゃない。ナギの方の悪魔はもう消えちゃったんでしょ?それだったら、今日は私の家に来て。どうせ、悪魔が出なくて暇なんでしょ?」
「・・・でも、女性の家におじゃましては僕としては・・・というか、男としてはここは・・・。」
「あああっ、そういう風にして・・・。ハクトくんの世界ではだめかもしれないけど、こっちの世界では女性が良いって言ったら、素直に“はい”って答えるモノなの。」
「あっ・・・そ、そういうものなんですね。」
(でも、なぜか僕に殺意を込めた視線をすぐそこから感じるんだけど・・・。)
ハクトは目線を横にやった。すると、ナギの眼力が一気にハクトを襲う。
「あ、あの・・・ちょ、ちょっと・・・考えさせてもらいます。」
「ふ~ん・・・。まあ、いいけど。・・・あっ、私がこんな風に言ってあげるのはハヤテくん以外にはハクトくんしか言わないんだからね!」
「・・・あ、ありがとうございます・・・。」
(ったく、ナギさんといいヒナギクさんといい、僕をなんだか・・・その“ハヤテ”くんと同じような扱いになっているらしい。)
なんだかやりにくいな・・・と思っているその頃、泉が走って教室に入ってきた。
「ふわぁぁぁっ・・・疲れたよぉ・・・。」
「あらあら、泉・・・。ごくろうさま。」
「今日がテスト返しなんて知らなかったよぉ・・・。美希ちゃんと理沙ちんのメールで教えてもらわなかったら、今日の朝は二度寝だったよ。」
「・・・その、肝心の美希と理沙は?」
「・・・えっ?」
泉は驚いた表情で後ろを振り向くが、美希と理沙の姿は見えなかった。
「あれ?途中までは一緒だったのに・・・。」
「・・・あっ、もしかしたらあの二人・・・生徒会の朝の仕事に、一応の出席にしようとして途中であっちに行っちゃったんだわ。・・・きっと。」
「えええっ・・・!そっちも教えてよぉ・・・!!」
完全にやられた・・・。泉はドアの墨でちいさく泣いていた。
「まあまあ、明日から終業式までの間・・・一日だけ私の仕事を手伝ってくれれば、今日の欠席は帳消しになるんだから、ね?」
「うううっ・・・それだったらいいけど、2人ともひどいよぉ・・・!」
「うん・・・そうだっ、その時はハクトくんにも手伝ってもらうから。」
「・・・!な、なんで僕まで!!」
ハクトは少し不満になったが、ヒナギクに耳打ちをされた。
「だって、泉だけだって言ったらかわいそうじゃない。それだったら、あなたも一緒の方が・・・。」
「でも、それなら美希さんと理沙さんという方にやらせれば・・・。」
「・・・彼女たち、すばしっこいから。泉と違って。」
「あっ・・・そ、そうなんですか。」
ハクトは少し哀れみの目で未だに泣く泉を見て、
「これは、いじられる感じの女性ですね。」
大して面識のないハクトでも、泉のキャラ性が分かってしまうような状態なのであった。
「ほらっ・・・!みんな、席に着きなさい。」
雪路の声と共にチャイムが鳴り、ナギとヒナギク、泉も自分の席に座る。ハクトは姿が見えないため、教室の後ろの壁に立っていた。
(・・・なるほどな。)
とっさに、ハクトはそんなコトを考えてしまったのであった。
ハクトはただ見ていた。ナギは“これが当然だ”というような表情で、ハクトにちらりと“100”という数字を見せてくれる。
ヒナギクは周りの生徒に毎教科のテストが返ってくるたびに騒がれ・・・もちろん、こちらも“100”の数字を見せてくれた。
千桜も“さすがは書記”といわれるほどの好成績であり、常に“80”か“90”台の数字をハクトにちらりと見せた。
だが泉だけは・・・。“30”や“40”の数字が並び・・・泉は少し悲しげな表情で、ハクトに涙を見せていた。
そして、全てのテストが返り・・・終礼を終えて、教室がほとんど人がいなくなったころ。ハクトはヒナギクと千桜だけが残っているのを見た。
「あれ・・・?ナギさんは?」
久しぶりに発した言葉である。かれこれ3時間以上は、教室の後ろで静かにただ立っていたのである。
「帰っちゃったみたい。なんか、“私にはハヤテがいるからハクトは必要ないのだ!”とか高らかに言ってね。」
「ああ、そうですか・・・。」
「・・・で?これからどうするの?ハクトくんは。」
「・・・さあ、どこかでやり過ごすしかありませんけどね。」
その時のヒナギクの訊き方は、まるでもうその先が決まっているかのような口調であった。
「朝の話・・・覚えてる?」
ヒナギクは両手を合わせて、ハクトに訊く。
「あああっ・・・今日、私の家に来てほしい・・・でしたか。」
「そう、覚えてくれていたのね。」
「実は、僕・・・桂先生が教室に入ってきたとき、わずかなのですが・・・悪魔の気配が感じたのですよ。」
「そう、なの・・・。」
「あの桂先生とヒナギクさんは、姉妹・・・なんですよね。」
「う、うん・・・。」
すると、ハクトはにやりと微笑んで冷静に話を続ける。
「それならば・・・桂先生はヒナギクさんの家に帰ってくる可能性もあるということなのです。ということは・・・どういうコトか分かりますか?」
逆にヒナギクに訊くような形になっていた。しかし、答えたのは・・・。
「ハクトさんが、会長の家にいること・・・ですか?」
ヒナギクでない声、答えは簡単だ。千桜が答えたのである。だが、そこには・・・なぜか少し不満げな表情で。
「そうですよ、千桜さん。」
「・・・ハル子?どうしたの?怒った顔して・・・。」
「・・・いえ、なんでもありません。暑いので・・・ちょっとイライラしていたのでしょう。すみません。」
ハクトはその場は無言であった。さわやかな笑みが絶えることはない。
「そうですか。・・・千桜さんの言うとおり、僕はヒナギクさんの家に行かなければならないようです。いいですかね?ヒナギクさん。」
「・・・うん!」
(ヒナギクさん・・・何故に喜ぶ?それほど、男性には縁がなかったのか?一見すると、彼氏とかはいそうなんだけどなぁ・・・。)
そう、今朝のハクトの曖昧な答えの理由はこれだったのだ。
「すみませんね、ヒナギクさん。おじゃましちゃって・・・。」
「ううん、今日はお義父さんもお義母さんも旅行に行っているから、あさってまで帰ってこないの。」
「そ、そうなんですか・・・。」
(ご両親・・・もうすぐ夏休みなのですから、ヒナギクさんの気持ちも考えてあげてくださいよ。かわいそうじゃないですか。)
それだからか・・・ヒナギクの真意も分かったような気がして、微妙にほっとしていた部分もハクトにはあった。
(ということは・・・ヒナとハクトさんは2人きり!?なんだと・・・このラブコメ展開、私は見逃したくない!)
と、本性“ラノベ好き”の千桜が心の中で暴れていた。だが、そんなコトができるわけでもなく・・・いずれは来てくれるだろう。そう思い、
「それでは、会長・・・ハクトさん。悪魔退治を頑張ってくださいね。」
「ありがとう、ハル子。」
「どうも、さようなら。」
いつにない“ハル”モードの笑顔になって、2人の前から去っていくのであった。
「・・・さっ、行きましょ。」
と、軽くヒナギクは言ってとっさにハクトの手をつかんだ。
「おっと・・・。」
(う~ん、まあ・・・頼られているというコトでいいんですよね?)
ハクトはそう思うしかない。昨日とナギと同様の表情が、一瞬ではあったがハクトには感じていたからだ。
そのまま手を引かれて、白皇学院の正門を出たところで手は離された。周りには生徒の姿は見えなかった。
「昨日のナギ・・・どうだった?」
「ええ、思っていたよりは頑張って・・・普通の女の子でしたよ。・・・はははっ、今日は楽そうで済みそうですよ。」
「えっ?どういうこと?」
微妙に怒ったような口調で、ハクトに答える。
「あっ・・・その、あなたは生徒会長ということもあって、才色兼備という噂を聞いたのですが・・・その。」
「ふふふっ、そうみたいね・・・。」
(ハクトくん・・・どうやら、私は何でもできちゃう完璧な女の子だと思ってるのね。か弱い部分だってあるのに・・・。)
まるで、あの時のようなコトを言っている。現実には、なんでも完璧にできるような能力を持つ女の子なのだが。
「ハクトくん・・・恋人とかいた?昔・・・。」
「・・・」
それを訊かれた瞬間、ハクトは急に悲しみの表情・・・それよりも、苦しい表情を始めた。
「・・・分からない。」
「・・・えっ?」
「僕・・・そんな記憶が一切ないんですよ。すみませんが・・・。」
「えっ・・・?」
「・・・僕、気づいていたら・・・ルルドフ殿下のそばに仕えて、厳しい修行をして・・・女性とまともに付き合った経験がないんですよ。」
微笑んで話しているが、内容はどう思っても悲しいことである。ヒナギクはハクトに疑惑を持つようになる。
「嘘でしょ・・・?だって、話し方とか・・・ちゃんと人のコト考えてくれてるように優しいし、それに・・・見た目はかっこいいし。」
「・・・よく言われます。たまに休みをもらうときがあるのですが、一般の女性の方になぜか僕は人気を得ているようなのですよ。」
(やっぱり、ハクトくんには何かあるのかな・・・?)
そんな疑惑があったのだが、そんなハクトと2人きりでいられるチャンスが出たことには変わりはない。ヒナギクはそう思ってしまっている。
「でも、不思議なんですよ。」
「・・・?なに?」
「ここに来て・・・まだ一日しか経っていないんですけど、すごく・・・なじみやすい感じがするんです。2年間ユメミル界にいたのに・・・。」
「えっ・・・“2年間”?」
「・・・そう、僕は記憶がないんです。さっきも言ったじゃないですか、気づけばルルドフ殿下のそばに仕えていたと。」
「そう、なの・・・。」
それでも笑顔で話しているハクトに、ヒナギクはなんだか悲しく思えた。
『ねえ・・・お父さんとお母さんはどこにいるの?』
自分もそんな経験をしている。ハクトとは違う形だが、本当の両親と離ればなれになってしまっていること。それが、悲しくさせた。
だが、そんなコトじゃだめだ。そう思ったから今がある。・・・そう思って、笑顔にヒナギクはハクトに話しかけた。
「まあ、悪魔が出るまではゆっくりしててね。」
「はい、お言葉に甘えて。」
「あれ・・・?今回は素直に返事をしてくれたじゃない。」
「はははっ、これから少しお世話になるかもしれない人ですよ?素直に受け入れなくてどうするんですか。」
「うふふ・・・。」
そして、ただごとでは済まされないようなヒナギクの一言が・・・すぐそこに迫っていたのである。
ヒナギクの家に着く。ヒナギクの言うとおり家には誰もいなく、そして・・・ハクトはヒナギクの部屋に連れて行かれた。
「綺麗な部屋ですね。」
「・・・ありがと。」
ヒナギクはバッグを机に上に置き・・・エアコンのスイッチを入れ、そのまま数分間は沈黙のままであった。
そして、ゆっくりとヒナギクはハクトの前に立って口を開いた。
「ハクトくん・・・。私、悩みがあるんだけど・・・。」
「・・・?なんですか?」
「そのね、ハクトくんが真面目で優しいって見込んでの質問なんだけど・・・。」
「何でも訊いて良いですよ。」
その優しげな言葉に・・・ヒナギクは訊いた。はっきりと、はっきりと。
「私、こんな胸で・・・いいのかな。」
「・・・胸?それって、どういう意味の・・・?」
もちろん、ハクトがそう答えるのは仕方がない。ヒナギクはもちろん、胸の部分に手をあてる。
「もちろん、ここ。」
「・・・難しい質問ですね。」
だが、一切顔色は変えず・・・少し苦笑いな表情のハクト。このヒナギクの切実な、他の男性には絶対に訊けない悩みをどう解決していくのか。
vol.7~vs.ゆきあゆ(中編1)~に続く。このヒナギクの悩み・・・どう切り抜ける?
そして、もしかしたらかげろうさんのあのイラストが出現するかも・・・!?
☆コラム☆
ついに、ヒナギク編がスタートしました!今回は4部構成の予定。
最後の部分・・・きっと、イラッと来た方もいたかもしれません。
もちろん、ハクトが冷静な美少年で・・・ハヤテのようにニタニタしないキャラであるのが前提なので、18禁モードなんかには絶対になりません。
まあ、あのイラストを使うということは・・・大胆にはなるかもしれませんが。
というか、既に大胆に走っているかw
まあ、次回のお楽しみにということで。
それでは、失礼します。
『なぜ・・・おまえは私の言うことを聞かないんだっ!』
募り募られた・・・その傲慢な態度に乗せられる言葉が、私をどんどんを苦しめて・・・今、あるべき恨みが晴らしたくなる。
『・・・関係ないっ!!』
何かがあるはずだった・・・。でも、ひどかった・・・。だから、私は・・・逃げる、そう・・・そして苦しめる。
たとえ・・・何人もの人間が苦しんでも。
ナギが倒した悪魔が消えた日の翌日、早いことに白皇学院の期末試験のテスト返しは行われるようだ。
教室の中にナギとハクトが入るのだが、ナギは周りをキョロキョロ見ていた。
「どうかしたのですか?ナギさん。」
「・・・本当におまえはのんびりとしたやつだな。おまえが私のそばにいられることを、みんなに知られて良いのか?」
「・・・だから、昨日も言ったように僕は姿を消すことができるんです。」
「まあ、それは知っているのだが・・・。」
それでも心配が解けないナギを見たハクト。思えば、ナギのそばにはハヤテもいる。案の定、ハヤテは“?”の表情でナギを見ていた。
「あの・・・お嬢さま、誰かがいるんですか・・・?」
「あっ、いやぁ・・・何にもない。ははは。何にもない。」
「そう、ですか・・・。」
ハヤテはナギの言葉を聞くと、すっかりと安心しきって自分の席に向かっていった。
「ったく、危うくばれるところだったではないか・・・。」
「まあ、彼の場合なら僕のコトを話しても・・・たぶん、大丈夫だと思うんですけどね。やはり、万が一のことがあると思い・・・ナギさん、良い選択をしてくれました。」
「・・・おまえ、正体がばれたら動物にされるかもしれないだろ!」
「それは、最初に“パー”がつくようなマンのヒーローの肩書きを持つ小学生の少年のことであって、僕の場合はあくまでも悪魔を倒すことです。」
普通にしゃべったはずなのだが、ナギは言葉を出さない。
「・・・?どうかしましたか?」
「・・・おい、おもしろくないぞ。」
「・・・! べ、別に・・・僕はそんなつもりで言った覚えはありません!・・・あっ、ウ、ウケなんて狙ってませんから!」
「へえ・・・?」
「第一に、そんな風になるとは予想もしていなかったもんで・・・って、ナギさん!なんだか、僕の弱みを握ったような目で見ないでください!」
そんな日常茶飯事のような会話をしているとき、ナギの方を後ろから叩く一人の少女。桂ヒナギクがそこには立っていた。
「おはよう、ナギ。それに、ハクトくん。」
ヒナギクは毎朝の生徒会の仕事を終えたばかりであり、その夏服の姿で一見涼しそうな表情をしているが、汗は少しかいているようであった。
「ああ、おはよう・・・。」
「おはようございます、ヒナギクさん。」
「ふふふっ・・・今日はハクトくんがここにいるの?」
「ええ、まあ・・・マリアさんに潜んでいた悪魔は、昨日の夜に・・・2人で倒しましたけどね。」
「ふうん・・・。」
気づけば一歩・・・また気づけば一歩。ヒナギクがハクトに近づいているように思える。ナギはもちろんそれを感じて、
「お、おい!なにをハクトに近づいているのだ!」
ナギはとっさにヒナギクに文句を付ける。まるで、ハヤテがそうされているかのように。
「あ~ら、いいじゃない。ナギの方の悪魔はもう消えちゃったんでしょ?それだったら、今日は私の家に来て。どうせ、悪魔が出なくて暇なんでしょ?」
「・・・でも、女性の家におじゃましては僕としては・・・というか、男としてはここは・・・。」
「あああっ、そういう風にして・・・。ハクトくんの世界ではだめかもしれないけど、こっちの世界では女性が良いって言ったら、素直に“はい”って答えるモノなの。」
「あっ・・・そ、そういうものなんですね。」
(でも、なぜか僕に殺意を込めた視線をすぐそこから感じるんだけど・・・。)
ハクトは目線を横にやった。すると、ナギの眼力が一気にハクトを襲う。
「あ、あの・・・ちょ、ちょっと・・・考えさせてもらいます。」
「ふ~ん・・・。まあ、いいけど。・・・あっ、私がこんな風に言ってあげるのはハヤテくん以外にはハクトくんしか言わないんだからね!」
「・・・あ、ありがとうございます・・・。」
(ったく、ナギさんといいヒナギクさんといい、僕をなんだか・・・その“ハヤテ”くんと同じような扱いになっているらしい。)
なんだかやりにくいな・・・と思っているその頃、泉が走って教室に入ってきた。
「ふわぁぁぁっ・・・疲れたよぉ・・・。」
「あらあら、泉・・・。ごくろうさま。」
「今日がテスト返しなんて知らなかったよぉ・・・。美希ちゃんと理沙ちんのメールで教えてもらわなかったら、今日の朝は二度寝だったよ。」
「・・・その、肝心の美希と理沙は?」
「・・・えっ?」
泉は驚いた表情で後ろを振り向くが、美希と理沙の姿は見えなかった。
「あれ?途中までは一緒だったのに・・・。」
「・・・あっ、もしかしたらあの二人・・・生徒会の朝の仕事に、一応の出席にしようとして途中であっちに行っちゃったんだわ。・・・きっと。」
「えええっ・・・!そっちも教えてよぉ・・・!!」
完全にやられた・・・。泉はドアの墨でちいさく泣いていた。
「まあまあ、明日から終業式までの間・・・一日だけ私の仕事を手伝ってくれれば、今日の欠席は帳消しになるんだから、ね?」
「うううっ・・・それだったらいいけど、2人ともひどいよぉ・・・!」
「うん・・・そうだっ、その時はハクトくんにも手伝ってもらうから。」
「・・・!な、なんで僕まで!!」
ハクトは少し不満になったが、ヒナギクに耳打ちをされた。
「だって、泉だけだって言ったらかわいそうじゃない。それだったら、あなたも一緒の方が・・・。」
「でも、それなら美希さんと理沙さんという方にやらせれば・・・。」
「・・・彼女たち、すばしっこいから。泉と違って。」
「あっ・・・そ、そうなんですか。」
ハクトは少し哀れみの目で未だに泣く泉を見て、
「これは、いじられる感じの女性ですね。」
大して面識のないハクトでも、泉のキャラ性が分かってしまうような状態なのであった。
「ほらっ・・・!みんな、席に着きなさい。」
雪路の声と共にチャイムが鳴り、ナギとヒナギク、泉も自分の席に座る。ハクトは姿が見えないため、教室の後ろの壁に立っていた。
(・・・なるほどな。)
とっさに、ハクトはそんなコトを考えてしまったのであった。
ハクトはただ見ていた。ナギは“これが当然だ”というような表情で、ハクトにちらりと“100”という数字を見せてくれる。
ヒナギクは周りの生徒に毎教科のテストが返ってくるたびに騒がれ・・・もちろん、こちらも“100”の数字を見せてくれた。
千桜も“さすがは書記”といわれるほどの好成績であり、常に“80”か“90”台の数字をハクトにちらりと見せた。
だが泉だけは・・・。“30”や“40”の数字が並び・・・泉は少し悲しげな表情で、ハクトに涙を見せていた。
そして、全てのテストが返り・・・終礼を終えて、教室がほとんど人がいなくなったころ。ハクトはヒナギクと千桜だけが残っているのを見た。
「あれ・・・?ナギさんは?」
久しぶりに発した言葉である。かれこれ3時間以上は、教室の後ろで静かにただ立っていたのである。
「帰っちゃったみたい。なんか、“私にはハヤテがいるからハクトは必要ないのだ!”とか高らかに言ってね。」
「ああ、そうですか・・・。」
「・・・で?これからどうするの?ハクトくんは。」
「・・・さあ、どこかでやり過ごすしかありませんけどね。」
その時のヒナギクの訊き方は、まるでもうその先が決まっているかのような口調であった。
「朝の話・・・覚えてる?」
ヒナギクは両手を合わせて、ハクトに訊く。
「あああっ・・・今日、私の家に来てほしい・・・でしたか。」
「そう、覚えてくれていたのね。」
「実は、僕・・・桂先生が教室に入ってきたとき、わずかなのですが・・・悪魔の気配が感じたのですよ。」
「そう、なの・・・。」
「あの桂先生とヒナギクさんは、姉妹・・・なんですよね。」
「う、うん・・・。」
すると、ハクトはにやりと微笑んで冷静に話を続ける。
「それならば・・・桂先生はヒナギクさんの家に帰ってくる可能性もあるということなのです。ということは・・・どういうコトか分かりますか?」
逆にヒナギクに訊くような形になっていた。しかし、答えたのは・・・。
「ハクトさんが、会長の家にいること・・・ですか?」
ヒナギクでない声、答えは簡単だ。千桜が答えたのである。だが、そこには・・・なぜか少し不満げな表情で。
「そうですよ、千桜さん。」
「・・・ハル子?どうしたの?怒った顔して・・・。」
「・・・いえ、なんでもありません。暑いので・・・ちょっとイライラしていたのでしょう。すみません。」
ハクトはその場は無言であった。さわやかな笑みが絶えることはない。
「そうですか。・・・千桜さんの言うとおり、僕はヒナギクさんの家に行かなければならないようです。いいですかね?ヒナギクさん。」
「・・・うん!」
(ヒナギクさん・・・何故に喜ぶ?それほど、男性には縁がなかったのか?一見すると、彼氏とかはいそうなんだけどなぁ・・・。)
そう、今朝のハクトの曖昧な答えの理由はこれだったのだ。
「すみませんね、ヒナギクさん。おじゃましちゃって・・・。」
「ううん、今日はお義父さんもお義母さんも旅行に行っているから、あさってまで帰ってこないの。」
「そ、そうなんですか・・・。」
(ご両親・・・もうすぐ夏休みなのですから、ヒナギクさんの気持ちも考えてあげてくださいよ。かわいそうじゃないですか。)
それだからか・・・ヒナギクの真意も分かったような気がして、微妙にほっとしていた部分もハクトにはあった。
(ということは・・・ヒナとハクトさんは2人きり!?なんだと・・・このラブコメ展開、私は見逃したくない!)
と、本性“ラノベ好き”の千桜が心の中で暴れていた。だが、そんなコトができるわけでもなく・・・いずれは来てくれるだろう。そう思い、
「それでは、会長・・・ハクトさん。悪魔退治を頑張ってくださいね。」
「ありがとう、ハル子。」
「どうも、さようなら。」
いつにない“ハル”モードの笑顔になって、2人の前から去っていくのであった。
「・・・さっ、行きましょ。」
と、軽くヒナギクは言ってとっさにハクトの手をつかんだ。
「おっと・・・。」
(う~ん、まあ・・・頼られているというコトでいいんですよね?)
ハクトはそう思うしかない。昨日とナギと同様の表情が、一瞬ではあったがハクトには感じていたからだ。
そのまま手を引かれて、白皇学院の正門を出たところで手は離された。周りには生徒の姿は見えなかった。
「昨日のナギ・・・どうだった?」
「ええ、思っていたよりは頑張って・・・普通の女の子でしたよ。・・・はははっ、今日は楽そうで済みそうですよ。」
「えっ?どういうこと?」
微妙に怒ったような口調で、ハクトに答える。
「あっ・・・その、あなたは生徒会長ということもあって、才色兼備という噂を聞いたのですが・・・その。」
「ふふふっ、そうみたいね・・・。」
(ハクトくん・・・どうやら、私は何でもできちゃう完璧な女の子だと思ってるのね。か弱い部分だってあるのに・・・。)
まるで、あの時のようなコトを言っている。現実には、なんでも完璧にできるような能力を持つ女の子なのだが。
「ハクトくん・・・恋人とかいた?昔・・・。」
「・・・」
それを訊かれた瞬間、ハクトは急に悲しみの表情・・・それよりも、苦しい表情を始めた。
「・・・分からない。」
「・・・えっ?」
「僕・・・そんな記憶が一切ないんですよ。すみませんが・・・。」
「えっ・・・?」
「・・・僕、気づいていたら・・・ルルドフ殿下のそばに仕えて、厳しい修行をして・・・女性とまともに付き合った経験がないんですよ。」
微笑んで話しているが、内容はどう思っても悲しいことである。ヒナギクはハクトに疑惑を持つようになる。
「嘘でしょ・・・?だって、話し方とか・・・ちゃんと人のコト考えてくれてるように優しいし、それに・・・見た目はかっこいいし。」
「・・・よく言われます。たまに休みをもらうときがあるのですが、一般の女性の方になぜか僕は人気を得ているようなのですよ。」
(やっぱり、ハクトくんには何かあるのかな・・・?)
そんな疑惑があったのだが、そんなハクトと2人きりでいられるチャンスが出たことには変わりはない。ヒナギクはそう思ってしまっている。
「でも、不思議なんですよ。」
「・・・?なに?」
「ここに来て・・・まだ一日しか経っていないんですけど、すごく・・・なじみやすい感じがするんです。2年間ユメミル界にいたのに・・・。」
「えっ・・・“2年間”?」
「・・・そう、僕は記憶がないんです。さっきも言ったじゃないですか、気づけばルルドフ殿下のそばに仕えていたと。」
「そう、なの・・・。」
それでも笑顔で話しているハクトに、ヒナギクはなんだか悲しく思えた。
『ねえ・・・お父さんとお母さんはどこにいるの?』
自分もそんな経験をしている。ハクトとは違う形だが、本当の両親と離ればなれになってしまっていること。それが、悲しくさせた。
だが、そんなコトじゃだめだ。そう思ったから今がある。・・・そう思って、笑顔にヒナギクはハクトに話しかけた。
「まあ、悪魔が出るまではゆっくりしててね。」
「はい、お言葉に甘えて。」
「あれ・・・?今回は素直に返事をしてくれたじゃない。」
「はははっ、これから少しお世話になるかもしれない人ですよ?素直に受け入れなくてどうするんですか。」
「うふふ・・・。」
そして、ただごとでは済まされないようなヒナギクの一言が・・・すぐそこに迫っていたのである。
ヒナギクの家に着く。ヒナギクの言うとおり家には誰もいなく、そして・・・ハクトはヒナギクの部屋に連れて行かれた。
「綺麗な部屋ですね。」
「・・・ありがと。」
ヒナギクはバッグを机に上に置き・・・エアコンのスイッチを入れ、そのまま数分間は沈黙のままであった。
そして、ゆっくりとヒナギクはハクトの前に立って口を開いた。
「ハクトくん・・・。私、悩みがあるんだけど・・・。」
「・・・?なんですか?」
「そのね、ハクトくんが真面目で優しいって見込んでの質問なんだけど・・・。」
「何でも訊いて良いですよ。」
その優しげな言葉に・・・ヒナギクは訊いた。はっきりと、はっきりと。
「私、こんな胸で・・・いいのかな。」
「・・・胸?それって、どういう意味の・・・?」
もちろん、ハクトがそう答えるのは仕方がない。ヒナギクはもちろん、胸の部分に手をあてる。
「もちろん、ここ。」
「・・・難しい質問ですね。」
だが、一切顔色は変えず・・・少し苦笑いな表情のハクト。このヒナギクの切実な、他の男性には絶対に訊けない悩みをどう解決していくのか。
vol.7~vs.ゆきあゆ(中編1)~に続く。このヒナギクの悩み・・・どう切り抜ける?
そして、もしかしたらかげろうさんのあのイラストが出現するかも・・・!?
☆コラム☆
ついに、ヒナギク編がスタートしました!今回は4部構成の予定。
最後の部分・・・きっと、イラッと来た方もいたかもしれません。
もちろん、ハクトが冷静な美少年で・・・ハヤテのようにニタニタしないキャラであるのが前提なので、18禁モードなんかには絶対になりません。
まあ、あのイラストを使うということは・・・大胆にはなるかもしれませんが。
というか、既に大胆に走っているかw
まあ、次回のお楽しみにということで。
それでは、失礼します。
この記事のトラックバックURL
http://2ndbutlershun.blog60.fc2.com/tb.php/316-01ba4ae1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック