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開設10周年!(2018/10/4)日記と音楽感想、アニメ感想を中心に更新しています。リンク&トラックバックなどはフリーです。

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さて、歩SS『シークレット・ラブ』です。
本日、2月14日はバレンタインデーなので、その企画としてバレンSSをお送りします。
前半というコトで、vol.2と同時公開!

最初は桜の咲く季節ですが・・・歩の回想のような感じで、バレンタインデーの話に突入です。
歩っぽく、普通のありったけな恋愛SSになっています。

今回のテーマ『普通だけど、愛はほろりとある。』

これを踏まえて(?)SSを読んでほしいな・・・と思います。

このSSは、Like the Gale!さんの小説コンテストに投稿しました。

それでは、vol.1をどうぞ!
『シークレット・ラブ』

~PROLOGUE 桜の下で~

 桜咲き誇る木々の下で、一人の少女はぽつんと立っていた。
 その少女は普通の他に言い表せないぐらいの普通で、少女が通う高校も普通であり・・・容姿も普通だった。
 しかし、普通なりの恋もちゃんとしている。
 「あのね、普通普通って言っているけどね・・・私のコトを、そんなにバカにしちゃいけないんだからね。」
 髪は黒で、短めのツインテール。顔は先ほどよりはフォローするが、並みの女子高校生よりは可愛い顔立ちをしている。
 風が少し吹き・・・桜の花びらは待っているが、この少女の髪は揺れない。
 「はあっ、ハヤテくん・・・早く来ないかな。」
 この少女の名前・・・西沢歩は、都立潮見高校に通うもうすぐ2年になろうとしている女子高校生だ。そして、歩の言った“ハヤテ”とは、かつて恋のライバル視をしていた三千院ナギに仕える少年執事、綾崎ハヤテのことである。
 「今日は、ちょっと暖かいかな・・・まあ、ちょうどいい桜日和かな?」
 下はスカートで、上はシャツに少しはおれるような薄着の上着を羽織っている歩。少し走ったら「きゃあん」みたいな感じになる格好だ。
 「ど、どうしてそういう説明の仕方になるのかな。こ、これでもハヤテくんには好感度UPになるように頑張ったんだからね。」
 と、時々一人の若い男性が通り過ぎるが、その何人かは歩のほうをジロジロ見ているほど。歩のファッションは間違っていなかったのだと、自分を見られる嫌な感情より、可愛いと見られるような前向きな感情の方が大きかった。
 「でも、今日は本当に風か気持ちいい・・・空も青いし、空気は綺麗だし。こんな日にハヤテくんと会えるなんて、私も幸せ者なんじゃないのかな。へ、へへへっ・・・」
 と、鼻の下を少し伸ばしながら笑う歩は・・・周りに少し拒絶されるような何かがあったらしい。あえて、目をそらされてしまった。
 「ヒナさんも、私のコトを後押ししてくれているし・・・ナギちゃんも、何かと私に良いことを言ってくれるし。」
 最初は、本当にライバルかと思った。ナギに対して。ハムスター呼ばわりされていたけど、ハヤテのとある一言が・・・歩に勇気をくれた。
 『ハムスターなんて、西沢さんらしくて・・・可愛いじゃないですか。』
 その言葉を聞いてから、ナギにハムスター呼ばわりされたとしても怒ることはいっさいなくなった。かわいいと、好きなハヤテが言ってくれるのだから。
 「ハヤテくん・・・あっ、私に・・・あっ、キ、キスなんて・・・あっ、だ、抱きしめて・・・あっ。・・・な、なんてコトを考えているのかな!?」
 ハヤテとあの時から・・・付き合いだしてから、あんまり・・・進展はないように思えるが、歩にとっては第一に付き合えるというコトが嬉しかったので、あまり気にしていなかった。そう、あの時は。
 しかし、あの時から1ヶ月以上たった今・・・それにも、少し不満のようなモノがあった。もちろん、ハヤテに対してではなく・・・自分に対してである。
 「西沢さん!すみません!遅くなっちゃいました・・・!」
 「ハ、ハヤテくん・・・」
 歩の前に現れた童顔少年。髪の色は青く長髪である。彼の名は綾崎ハヤテ。現在は、実質恋人同士の仲である。と書くが、まだ深く接近したわけではない。
 「いや、お嬢様は最近は西沢さんと会うのは素直に許してくれるのですが・・・今日は、お嬢様を起こすのに一手間かかってしまって。」
 「ううん、いいんだよ・・・私だって、約束の時間よりずっと前に来てたんだから。たしかに、待っていたけど・・・ハヤテくんに会えるって思えば、1時間でも・・・1日でも、1年でも待てるよ。」
 「・・・」
 「あ、あはは・・・な、なんか変なコト言っちゃったよ・・・ど、どうしてるんだろ。あ、ははは・・・」
 やはり、自分の心に・・・なにか足らないパズルがある。その埋め込まれていないピースは、いったいなんだろうか。それは、すぐにそこにあることを・・・歩には何となく分かっていた。
 「西沢さん・・・?どうかしたんですか?」
 「い、いや・・・なんでもないよ。ハヤテくん。」
 自然と、そんなコトを考えていたら・・・ハヤテに不安の表情を見せてしまったのか、ハヤテも歩のコトについて少し心配する。
 「今日は、西沢さん・・・一緒に楽しみましょうね。」
 「うん!そうだね、ハヤテくん!」
 「良かった・・・西沢さん、なんか不安な表情をしていましたから。でも、僕といれば・・・きっと大丈夫ですよね。」
 「あ、当たり前だよ・・・だって、私たち・・・付き合っている仲なんでしょ。もう少し、私のコトを知ってくれたっていいじゃん。」
 「・・・そうですね。」
 ハヤテは少しずつ歩のそばによって・・・左手で、歩の右手をつかむ。
 「ハヤテくん・・・」
 「付き合っている仲でしたら・・・このくらいは常にやっていないと。それに・・・」
 ハヤテはそう言いながら、少し顔を赤くする。
 「あの時から、西沢さんのコト・・・一段とかわいらしくなっていますし。それに、今・・・こうして西沢さんといられるコト。やっぱり・・・あの時ですよね。」
 「・・・うん。」
 ハヤテと歩は、ゆっくりと手を繋ぎながら歩き始めた。歩は手を繋ぐのを歩き始めてからすぐにやめて、腕を絡ませるようになった。
 「西沢さん・・・」
 「今日は私と一緒にいてくれるんでしょ。それに、私と付き合っているんだから、もう少し・・・彼女っぽい対応をして良いんだからね。ハヤテくん・・・いくら、ナギちゃんの執事だからって、私との2人きりの時は・・・もっと大胆にやっていいんだから。」
 「でも、いいんですかね・・・僕、そこまでしてしまって・・・」
 「いいのいいの!」
 と、歩の声は怒りぽかったが・・・表情は明らかに明るく、笑顔のままであった。
 「でも、あの時からだよね・・・私たちがこうして付き合ってられるのは。」
 「・・・そうですね。」
 「うん・・・」
 そう、私とハヤテくんのこうなったきっかけは・・・あの時だった。
 2月14日のバレンタインデー・・・忘れられない、あの一日の出来事の・・・恋の始まりの切ない日。

~SELL 1 手作り~

 2月13日。学校からの帰り道。歩は宗谷たちを一緒に帰っていた。
 「そういや・・・明日はバレンタインデーだなあ・・・?」
 宗谷は女子群に視線を回しながら、そんなコトを言っていた。
 「な、なにかな?宗谷くん・・・どうせ、本命チョコがもらえないからって・・・義理チョコをたくさんもらっちゃおうとか、そんなコトを考えているんじゃないかな。」
 「に、西沢・・・い、痛いところを突くな。と、とかさ・・・そんなコト言いながら、西沢は愛しの王子様に本命チョコをあげるんじゃねえの?」
 と、ここだけを見ると・・・宗谷が歩に好意を抱いており、そして歩はハヤテが好きだからこんなコトを言っていると思われがちだと思うが、実際は宗谷は歩の恋をどうにかハヤテに結びつけようか・・・もしくは、ちょっといじってやろうかのどちらかの思考しかない。
 「って、なんてコトをやってくれてるんだ!このSSの作者は!」
 帰り道・・・女子2人と男子2人の4人で帰っている歩。その中に宗谷が混じっているのはいつも通りだが、気づけば何かそうなっている。とりあえず、歩は宗谷の気に気づいて・・・言った。
 「ふうん・・・じゃあ、宗谷くんにもあげよっか。義理チョコ。」
 「その言葉を待ってました!さすが、愛しの王子様というチョコを上げる人がいると・・・太っ腹だよな!」
 と、その時に歩は宗谷の言葉に怒ってしまったのか、宗谷の顔に一発拳を入れた。
 「な、何を言ってるのかな!?そ、そんなコトを言っていると・・・チョコなんてあげないんだからね!」
 「なんか、ハヤテに告白が失敗してから・・・おまえのパンチの威力が格段に上がった気がするのは、俺だけなのか・・・?」
 宗谷のさりげない言葉に・・・さらに、歩の頭の仲では怒りが芽生える。宗谷の腹部に一発、ケリを入れた。
 「う、うおおおっ!に、西沢・・・き、気を落ち着かせろ・・・!」
 「そ、宗谷くんは恋愛なんてしたことないから、そんなコトを気安く言えるんだよ!お、女の子の気持ちをちゃんと考えられないのかな!?」
 「す、すまん。西沢。でも、ハヤテにふられたのは実際にあったことだろ・・・」
 歩の手は、宗谷を殴るために・・・拳への変化は準備完了になっている。それは、瞬きをする暇もなく。
 「ま、待った!お、俺だってな・・・ハヤテと同じ男なんだ!きっと、男同士にしか分からないコトだって、俺は知っているんだから!」
 「へ、へえ・・・?2ヶ月前に学校を退学したハヤテくんの何が分かるのかな?」
 「た、例えば・・・あっ、そうだ!ハヤテはやっぱり、本命は手作りチョコが良いとかそんなコトを言ってたな!」
 「えっ・・・」
 もちろん、宗谷の発言は即席で考えたことだが・・・これが案外、歩の心を揺さぶったのか、歩の怒りっぽい顔は急に消え去っていった。
 「ハ、ハヤテくんって・・・やっぱり手作りチョコの方が好きなのかな。」
 「お、俺だったら・・・手作りチョコの方が喜ぶと思うけど。」
 「宗谷くんとハヤテくんは違うの。ハヤテくんがそうだなんて・・・まだ、はっきりしていないじゃない。」
 あくまでも、ハヤテの好みを宗谷に決めつけられるのが嫌なのだろうか。しかし、宗谷の言葉にも一理あった。大抵の男子は、本命ならば手作りチョコのほうがいいという思考は大いにある。それは、もちろん歩も知っている。
 「まあ、ハヤテくんも普通の男の子だからね。たしかに、宗谷くんの言うとおり・・・ハヤテくんは手作りチョコのほうがいいかもしれないかも。」
 「な?西沢。絶対にハヤテは手作りチョコのほうがいいと思うぜ!あいつ、貧乏なヤツだからな・・・手作りの方が、感慨深くなるかもしれないけど。」
 と、また歩は宗谷の腹部に拳を一回入れた。
 「うっ・・・ごほっ!に、西沢・・・な、なんか・・・ほ、本当に・・・く、苦しいから殴るのはやめてくれ・・・」
 「宗谷くんがハヤテくんの悪口ばっかり言うのが悪いんでしょ。ハヤテくんは、あの三千院家に仕える執事さんなの。宗谷くんが思っているようなハヤテくんじゃないから。」
 「そ、そうか・・・で、でも・・・今のパンチは、けっこう痛かったが・・・」
 「まあいいけど。今日はこの後・・・ハヤテくんに手作りチョコを作るって決めてあったんだからね。」
 「な、なんだよ・・・だったら殴らなくたっていいじゃねえかよ。」
 そんなコトを言うが、本当は宗谷の一言もあって・・・歩は手作りチョコを作ろうと決意した。
 歩はハヤテとデートをしたコトがあった。その時に、ハヤテは歩のために手作りクッキーを作ってきてくれた。そのクッキーはとても美味しかったらしく・・・歩にとっては、手作りを上げるのが似合う人間らしいのだ。
 「ハヤテくんには、あの時のお礼もしなくちゃいけないから。私は、ハヤテくんに手作りチョコを作ってみるよ。」
 「おっ、じゃあ・・・俺にもついでに作ってきてくれよ。俺、チョコとか嫌いじゃねえから。」
 「宗谷くんには、どこかの100円チョコでも買ってきてあげるから。」
 「なんだよ。俺は、100円の価値かよ。ハヤテの好みだって教えてやったのに・・・」
 「もう一回、お腹にパンチがほしいのかな?宗谷くん・・・?」
 口で言うと同時に、歩の手は拳に変化。その一瞬の速さに宗谷は足をガクガクと震えさせていた。
 「わわわ、分かったから・・・ととと、とにかく・・・ぱぱぱ、パンチだけは・・・ややや、やめてくれ。」
 「別に、殴るつもりはないんだけどね。」
 「えっ、さっきの拳には俺に対する殺気がこもってたぞ!なんか、3,4回殴られたときと同じような殺気が!」
 「まあまあ・・・気にしない気にしない。」
 と、歩はにこっと微笑んでいた。宗谷はなぜか不機嫌さが増しているようだが、何かを言っては歩のパンチが腹部にけっこう効くことを分かっているので、何も言うことはなかった。
 「まあ、西沢・・・頑張れ。ハヤテには・・・入学当初から好きだった相手なんだろ?男の俺が言うのはなんだが・・・初めてのバレンタインデーだからな。ハヤテには、一番近づけるチャンスじゃないのか?」
 「おっ、宗谷くん・・・良いこと言うね。・・・たまには。」
 「たまにはは余計だ。たまにはは。」
 「でも、そうだよね・・・」
 ハヤテと出会ってから・・・そして、退学するまでの約9ヶ月間。長かったと思えば、案外短かった気がした。楽しい時間という時は短い。そして、今という時間は何となく長い。かの、アインシュタインの相対性理論の考えがこんな形で理解できそうな、歩の脳内だった。
 「ハヤテくんに出会ってからは、初めてのバレンタインなんだよね。じゃあ、頑張らなくちゃいけないんだね。」
 「ああ。愛しの王子様を・・・自分の手にするチャンスなんだからな。それ相応の結果が残せねえと、今まで見守ってきた俺たちの甲斐がないから・・・それだけ、西沢には頑張ってほしいと思ってる。な?」
 宗谷は、周りの男子と女子に同意を求め・・・その2人も、頭を縦に頷いていた。宗谷は少し誇らしい表情を見せて、
 「な。これだけおまえの片思いはずっと見守られてきたってコトなんだから、手作りチョコを作るなら、とっとと材料でも買って行けよ。」
 「宗谷くん・・・」
 「まあ、ハヤテがいいヤツだって・・・俺は分かってるから、なんかあいつ・・・白皇学院だっけ。そこの女に告白とかされるかもしれねえかもよ?」
 「いや、たしかに・・・宗谷くんの言葉には、一理・・・いや、五理・・・いや、十理あるよ!」
 「一理で十分だ・・・とにかく、頑張れ。」
 宗谷のいつにない優しい言葉に後押しされ・・・歩は今にでも走り出そうとしていた。
 「西沢・・・頑張れ。」
 「まあ、材料はもう買ってあるから!」
 「そ、そうか。そういうトコロは、準備が早いんだな・・・西沢って。」
 「へへへっ。じゃあ、今日はここらへんで私は退散するよ!」
 歩は勢いよく走っていった。しかし、歩の向かっている場所は家ではなかった。もう一人の知り合いの男子のトコロに。走り出していったのだった。

~SELL 2 固まる想い~

 歩の向かった場所。レンタルビデオタチバナ。そこに、主兼店長の橘ワタルがいる。歩はこの店の常連で、ワタルとも気軽にしゃべっている。また、弟の一樹もここに通っているので、何かと相談に乗ったり乗られたりする仲である。
 「おっ、一樹のねーちゃんじゃねーか。いらっしゃい。」
 「ワタルくん!やっぱり、君だったら暇だって思ってたよ!」
 と、歩のいきなりの来店・・・そして、いきなりの第一声が・・・店の繁盛の具合を表してしまう言葉で、しかもその状況が最悪なものである意味を表す言葉を、歩は言ったため、ワタルは少しキレた。
 「て、てめえええっ!!い、いきなり入ってきてその言葉はなんなんだ!たしかにな、大抵は暇・・・ゆっくり店をやっているけどな、マニアの間では“かゆいところに手が届くラインナップ”として、人気を集めているんだからその言葉を却下しろ!」
 「ご、ごめんね。なんか、いつもひ・・・いや、ゆっくり仕事をしているなって思ったから。つい、ぽろりと出ちゃった。ごめん。」
 「サキを見ろ!あいつが返却されたビデオやDVDを元に戻しているんだから、そのくらいのことが情状酌量だろうが!!」
 歩の言うとおり・・・店内には、客は一人もいなく・・・また、ワタルの言うとおり・・・返却されたビデオやDVDを元の場所に戻す、ワタルのメイドである貴嶋サキがいた。ワタルは想像通り、カウンターで事務をしていた。
 「で、今日も何か借りていくのか・・・?」
 「えっ、そういう意味できたんじゃないんだけど・・・でも、ちょっと訊いていい?」
 「な、何を?」
 歩は顔をワタルに近づけて話してきたので、ワタルは小さい声で返事をした。
 「ここに、バレンタインデーがらみの恋愛映画とかドラマとかはないかなって・・・」
 「ばれんたいんでー・・・?そういえば、明日はバレンタインデーだったな。」
 そう言いながら、ワタルはサキの方をちらりと見た。サキはその言葉はどうやら聞こえておらず、普段通り返却されたモノを元の場所に戻している。
 「で、あるかな?そんなビデオやDVDは・・・」
 「ああ、検索しても出てこねえよ。そんなに、ベーシックで・・・しかも、ロマンティックなモノなんてうちにはねえから。」
 「やっぱり・・・だから、こんなに・・・」
 「あああっ、うるせえんだよ!だから言ってるだろ!かゆいところに手ノドとクラインナップが揃っている、レンタルビデオタチバナなんだって!」
 「あ、あははっ・・・」
 ワタルは完全に怒っている。そんなワタルだったが、歩のそんな質問をすることに・・・疑問を抱いていた。
 「でも・・・どうしていきなりそんなコトを訊くんだ?」
 「えっ、明日がバレンタインデーだからだよ。それで、好きな人に手作りチョコをあげたほうがいいのかなって。自分の中で葛藤を繰り広げていたわけ。」
 「ふうん・・・」
 しかし、ワタルの瞳には輝きがなぜかあった。
 「好きな人に・・・渡すんだよな。明日、チョコを・・・」
 「そ、そうだけど・・・ど、どうかしたのかな?そんなに慎重に・・・」
 ワタルはカウンターをバシン!と勢いよく叩いた。
 「うわっ!」
 「絶対に手作りチョコを上げろ!もちろん、好きなヤツだったらなおさらのコトだ!俺は、幾多の恋愛映画を見て・・・それを知ったんだ!そうだ、絶対に好きなヤツには手作りチョコが良いんだ!」
 「そ、そうなんだ。私も手作りのチョコが良いかもって思ってたんだ。よかった・・・ワタルくんが、そこまで手作りチョコに賛同してくれて。」
 「当たり前だろ!女の子が好きな人のために、愛情込めて作ったチョコレートはな・・・金箔が入っている100万円のチョコレートより、ずっと上手いって!なあ、サキもそう思うだろ!」
 サキは、その言葉に3秒ほど時間がかかったが、その言葉の内容を遠くで理解したせいか、駆け足でワタルの元に戻る。
 「そ、そうですわね。若。女の子は、そういうのに憧れたりしますよね。」
 「サキもそういう経験はあるんだろ?やっぱり、20歳だから。」
 と、その時・・・サキの口は止まった。
 (こ、これって・・・サキさんは、そんな経験はないんじゃないかな?この反応だと・・・それに、ワタルくん・・・サキさんから、手作りチョコでももらいたいんじゃないのかな。あからさまに、サキさんめがけてさっきの言葉を言ってたから・・・)
 歩は、その危険そうな雰囲気を察知した。しかし、何も言うことはできない。ワタルはそれを不思議そうに・・・
 「サ、サキ・・・?どうかしたのか?」
 「・・・ありませんよ。若。」
 「そ、そっか・・・ないんだ。」
 「でも、若。若に・・・明日、手作りチョコをあげますから。楽しみにしていてください。」
 「サキ・・・」
 サキは、さっきのワタルの質問を・・・重く受け止めるコトはなかった。
 「若、初めてで・・・上手くできるかは分かりませんが、頑張って作ってみます。なので、明日は楽しみにしていてくださいね。」
 「お、おう・・・ありがとう。」
 「うふふ・・・そういえば、去年もおととしも作っていませんでしたね。なので、今年こそは作ろうと思っていたのですが、西沢さんのおかげで作る決心ができました。ありがとうございます。」
 「い、いえいえ・・・そんな大したコトは言ってませんよ。」
 歩は照れながら、小さく手を横に振った。
 「ふふふ。それで、西沢さんは・・・若にそんなコトを訊きますが、誰か手作りチョコをあげたい人でもいるんですか?」
 「えっ・・・いや、いると言えば・・・いるし、いないと言えばいない・・・」
 「正直に言って良いのですよ。本当は、上げたい相手がいるのでしょう?」
 「え、ええ・・・いますけど。」
 「うふふ。同じような者同士。お互いに頑張りましょうね。」
 サキは歩とは違う意味だろうが、歩にエールを送るような感じで・・・歩に微笑みをかけた。
 「はい!」
 「うふふ。さて、若・・・私は仕事に戻ります。」
 「ああ。分かった。」
 サキはさっきよりも笑顔で、仕事に戻っていった。
 「まあ、そんなわけだから・・・頑張れよ。一樹のねーちゃん。」
 「うん。」
 ワタルは少し顔が赤かったが・・・そんな顔が少し可愛いなと思った歩。ハヤテに手作りチョコを上げたら、こんな風に可愛い顔をしてくれるのだろうか・・・そんな妄想、いや想像をしながら歩は、夕日に染まる道をゆっくりと歩き・・・自分の家へと戻っていったのであった。

vol.2に続く。バレンタインデーの前の夜。歩はハヤテにどんなコトを想って、チョコを作るのか。
そして、歩はハヤテと自然に付き合えるような関係になるために・・・?

vol.2をお楽しみに。

☆バレンで思ったコト~vol.1~☆
なんか、今日は暖かったな・・・。最高気温は22度ぐらいだった(2009年)。
普段寒いから、一段と暖かく感じた・・・。
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土曜日あたりから少しずつ書いていたのですが、遅くなってしまいました。 それでは、SS捕捉第18回です。どうぞ!
2009/02/18(水) 23:52:02 | ~碧に架かる贈り物~