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さて、SS『Love Ling』のvol.5です。
ついに、物語は佳境に入ります。はあっ、よく書けた・・・。

今回はなんと言えばいいのか・・・歩が案外活躍します。それだけです。
ボリュームは前回と同じぐらいです。

それでは、動くvol.5をどうぞ!
~SELL 6 胸~

 翌朝。ナギとマリアが寝ている部屋に日光が降り注ぎ、ナギはそのせいで目が覚めてしまった。
 「う、ううん・・・」
 眼を腕で隠そうとするが、それでも光が入り込んでくる。ゆっくりとナギは体を起こさせた。
 「ふわあっ・・・なんか、久しぶりによく寝た気がする・・・」
 目をこすりながら部屋の中を見る。
 「マリア・・・マリア・・・」
 そういえば、一緒のベッドで寝ていたんだった・・・それを思いだして、ナギは横にいるマリアを確認した。
 「起きろ・・・起きろ・・・」
 マリアは熟睡している。ナギはマリアの体をゆすったが、マリアは到底起きそうになさそうな雰囲気だった。ナギは、少し顔をがぷっと膨らませる。
 「・・・マリア、ここがシュンの家だからって・・・ゆっくりしやがって・・・!」
 マリアはどうやら、臨機応変に生活リズムを変えることができるらしい。なので、他人の家に来て自分がゆっくりできるときは、こうしてゆっくり寝ているのだ。
 逆に、なぜ・・・ナギはきちんとした時刻に起きたのか。
 「私なんてな、ハヤテのコトが気になって・・・あんまり寝むれなかったのだからな。それに、シュンも・・・」
 どうやら、ナギは俊のコトも気になっているらしいが・・・まあ、久しぶりに出会った美青年。ナギが少し気になってしまうのはしょうがないだろう。
 「まあ、いい・・・とりあえず、洋服に着替えよう・・・」
 ナギはベッドから降りて、部屋のカギを閉めて・・・ゆっくりと寝間着を脱いでいった。
 「・・・」
 寝間着を脱いで、下着姿。俊の家は全館空調がなされているので、この姿でも全然大丈夫な温度だった。
 「・・・これのせいなのかな。」
 ナギは下着姿で、自分の胸を見る。たしかに、アテネはいわゆる胸の大きい方。しかし、ナギは対称的に胸があまりない。ナギの知識の中では、よく男の人は胸の大きい人の方が好くというのだが・・・それのせいなのか。
 「・・・まあ、ハヤテはそんなの関係ない・・・」
 と言いながらも、マリアの方をじっと見ている。いわゆる、胸の大きい人の部類に入る。ナギはマリアの方を見るとなんだか殺気がこもり始めた。
 「ハヤテ・・・そういえば、マリアにデレデレしていたし・・・それに、何かと見てみればマリアとハヤテはイチャイチャしていたような・・・」
 タイミングが悪いと言えばいいのか、間が悪いと言えばいいのか・・・三千院家ないという空間の中では、ハヤテとマリアが接近している場面を見ている機会が多く見られた。というよりも、ナギの常にそばについているマリアしか、ハヤテも接する機会がなかったからだ。
 「第一な、ハヤテは見た目に惑わされすぎなのだ!あんな・・・アテネに・・・」
 アテネの姿を思い出すたびに・・・その言葉の威力がなくなってくる。あの、いわゆる胸の大きいうらやましい体。自分もああなってみたい・・・そう思っているほどだった。まあ、同じような感じの女性で毎日牛乳を飲んでいるのがいるが。
 「あああっ、見ているとうんざりする。とっと着替えて、マリアを起こしちゃお。」
 このように、朝から何かと見慣れている気分の悪いナギに戻っていった。
 「お~い・・・マリア。起きろ・・・」
 ナギは甘えるかのごとく、マリアの体を激しくゆすった。
 「う、ううん・・・な、なんですか・・・ふわあっ。」
 「や、やっと起きてくれた・・・」
 「・・・え、えええっ!!」
 「ど、どうかしたのか!」
 マリアが目覚め、そして第一に見たもの。それは、洋服に着替えているナギの姿であった。
 「ナ、ナギ・・・あ、あなた・・・どうかしたんですか?そ、そんな・・・洋服に着替えてから、わ、私を起こしてくれるなんて・・・」
 「別に?何にも問題ないぞ・・・?」
 「いえ・・・ナギが、私より先に起きて・・・しかも、起こしてくれるとは・・・夢にも思いませんでしたわ。」
 「いや、これ・・・現実だから。」
 マリアの反応に少し気に入らないナギは、少しそっぽ向いた。
 「でも、よく眠れましたね。ナギに起こされてしまうぐらいですから。」
 「う、うるさい!そこだけ強調するな!」
 「うふふ。すみません。」
 そんな反応をかわいらしく思っているマリア。マリアもベッドを降りて、ナギの横で着替え始めた。
 「・・・」
 「・・・な、なんですか?そ、そんなに私を見つめて・・・」
 もちろん、さっきナギの考えたことが原因である。もちろん、ナギはとある一点だけを集中的に見ていた。
 「な、なんですか・・・?なんか、わいせつな匂いがしますが・・・」
 「・・・大きい。」
 「・・・はあ?」
 「ハヤテはやっぱり・・・マリアみたいな胸の大きい女性が好みなのだろうか!な、どう思う?」
 「・・・はい?」
 「だぁかぁらぁ・・・マリアは胸が大きいんだ!私と違って・・・しかも、ハヤテとイチャイチャしていたときもあったからな。ハヤテも案外、そう言うのが好みなんじゃないのかって思い始めたのだ。」
 ナギは必死で言うと、マリアはくすくす笑った。
 「それって・・・もしかして、ナギがこんな感じだからですか?」
 マリアはそう言って、右手の人差し指で・・・ナギの体に触れる。そして、ゆっくりと縦方向にすっと・・・一本の線を各様に動かした。
 「ふ、ふええっ!ひゃ、ひゃあああん!な、何をするのだ!」
 「ナギがこのようであったとしても、ハヤテくんは関係ないと思いますよ。」
 「マリア・・・」
 「・・・でも。」
 マリアの手は一気に拳へと変化した。
 「そんなコトをむやみに言わない・・・!!」
 「ひええっ!!ご、ごめんなさああい!!」
 マリアは怒り・・・しかも、下着姿で・・・ナギを追いかけ回すのであった。

~SELL 7 宣言~

 ナギとマリアは部屋を出る。
 「あっ、ナギさんにマリアさん。おはようございます。」
 「あ、ああ・・・おはよう。シュン。」
 「なんか騒がしかったのですが・・・何かあったのですか?」
 「い、いや・・・何にもないぞ。」
 その微妙な表情の変化を、瞬時に読みとったのか。そして、その優しい性格なのか。
 「そうですか。とにかく、起きたんですね。」
 あえて、そのことについては触れるコトはなかった。
 「で、シュン・・・どうしたのだ?」
 「ええ・・・今日の早朝、俺が目を覚めて・・・玄関のポストの様子を見たんです。そしたら、小包が入っていたんですよ。」
 「こづつみ・・・?」
 「そうです。しかも・・・差出人が天王州アテネなんですよ。」
 「・・・えええっ!!ど、どういうことだ!」
 ナギの表情は急に焦りに変わった。それは、マリアも同じだった。
 「俺は、今から・・・そのコトを伝えに行こうと思ったんですよ。そしたら、今こういう風に出会って・・・伊澄さんと咲夜さんと泉さんは既に部屋にいるのですが、まだ・・・ヒナギクさんと歩さんはまだなんですよ。」
 「なるほどな・・・じゃあ、早くヒナギクとハムスターを連れて行って・・・見なければならないな。」
 「ええ。手紙にも書いてありました・・・『とにかく早く見ること!』って。」
 「じゃあ、より一層早くなければならないではならないか!」
 しかし、
 「いえいえ。そんなに急がなくても。その小包にはDVDが入っていて・・・中身は見ていないのですが、今回のコトについてかなり重要なコトじゃないかと思っているんです。」
 「ああ。それは私にだって想像がつく。」
 「しかし、そこまで急がなくても大丈夫ですよ。アテネは不意に何かをしようとする人ではありません。しかも、DVDをわざわざ俺の家まで送ってくる・・・それには、なにか俺たちに言っておきたいことがあるんでしょう。それを、俺たちが認識するまでは、アテネは実行しないと思います。」
 「そ、そうか・・・だったらいいのだが・・・」
 「ええ。でも、内容にもよりますが・・・ね。」
 しかし、俊にはだいたいの想像はついていた。アテネの話を聞いているコトを総合して考えると・・・
 「しかし、よく眠ったよな・・・マリア。」
 「えっ?」
 「マリア・・・やっぱり、普段から仕事ばかりさせていたから・・・疲れが出てしまったんだな。」
 「ど、どうしたのですか?」
 「なんか、ハヤテがいないって・・・なんかな。新たな何かが感じるモノなんだよ。」
 「・・・そうですか。」
 ナギはハヤテがいないコトに・・・何か、特別な思いを抱いていた。そして、マリアにも・・・普段は感じなかった何かが。
 「ナギさん。」
 「な、なんだ?」
 「とにかく、ヒナギクさんと歩さんを連れて・・・俺の部屋に行きますよ。早くしないと、もしかしたら・・・」
 それが何であるのか・・・俊にはすぐに分かった。
 「えっ?」
 「とにかく、ヒナギクさんと歩さんを。」
 俊は走って・・・ヒナギクと歩の部屋に行く。三千院家ほど広くないので、ナギとマリアが走ってもあまり疲れなかった。
 「ヒナギクさん!歩さん!」
 「な、なに?朝早くから・・・慌ただしそうだけど。」
 「ええ。」
 「おはよう。」
 「おはようございます・・・って、それどころじゃないんですよ!今、天王州アテネから・・・小包が届いたんですよ。」
 「え、えええっ!!」
 ヒナギクは部屋のドアのところで叫んだため、歩もとっさにヒナギクのそばに駆け寄った。
 「ど、どうかしたんですか!ヒナさん!」
 「あのアテネっていう人から・・・シュンくん宛てに何かが届いたらしいんだって。」
 「そ、それって・・・どういうコトなんですか!」
 「いや、小包の中はDVDでした。その中身は・・・これから、俺の部屋で見ようと思うのですが。」
 慌ただしい雰囲気を、いち早く元に戻そうとする俊。しかし、俊の言葉にさらにヒートアップするヒナギクと歩。
 「ぜ、絶対に挑発なんじゃないかな!?DVDとか送ってきて・・・ハヤテくんと一緒に映っている姿を見せつけるんですよ!ね、ヒナさんもそう思うでしょ!」
 「そうね・・・私も、歩の言葉に賛成だわ!」
 「そうよ!これは、まさに・・・『目覚めの悪夢大作戦』なんだよ!きっと!」
 「ど、どうしてそんな思考回路に回ってしまうんですか・・・お二方。」
 やれやれと、頭を悩ませる俊。
 「と、とにかく・・・俺の部屋でDVDを見るので・・・なので、落ち着いてください。目覚めなのに悪夢なんてありませんよ。歩さん。」
 「で、でも・・・!送ってくるタイミングというモノがありますよ!朝からDVDは、普通人の私にとっては、とおってもきついコトなんですから!」
 「別に・・・そこまで長くないと思いますよ。長くて・・・5分ぐらいじゃないんですか?きっと。」
 「ど、どうしてそういう風に言い切れるのかな!?」
 「・・・どうしてでしょうか。」
 完全に歩に押し切られている俊は・・・とにかく、部屋に出てもらおうと、歩とヒナギクの体を自分の方に寄せた。
 「えっ・・・」
 「早くしてください。とにかく、まずは・・・そのDVDを見るほかはありません。」
 それにぽっとなったヒナハムは・・・俊をただ見つめるだけであった。
 俊には何かは・・・何度も言っているが想像はできた。そして、それは・・・すごくナギたちにショックを与えることも。
 ただ、それを心に閉まっておいて・・・俊は、ナギを連れて自分の部屋に招き入れた。
 「遅いねん!黒髪さん!」
 「すみません。遅れてしまいました。」
 「まあまあ、咲夜ちゃん・・・そこまで怒らなくても。」
 部屋の中では、伊澄と咲夜、泉の三人がじっと座っていた。どうやら、イライラしていたのは咲夜だけで、天然さんな泉やおっとりしている伊澄は時間にルーズと見えた。
 「シュンくんだって大変そうだから・・・咲夜ちゃん。」
 「まあ、それは認めてあげるけどな。ツッコミは待ってくれへんからな。」
 「なぜに、そこでツッコミが入ってくるのかは分からないのですが・・・とにかく、待たせてすみませんでした。」
 俊はナギたちを自分の部屋に招き入れて・・・その送られてきたDVDを見てみることにした。
 「でも、どんなコトが映っているんだろうか・・・」
 「さあ、それは見てみないと分かりませんよ。」
 DVDをプレーヤーに入れ・・・そして、映像がディスプレイに映し出される。そこには、ハヤテとアテネの姿があった。
 「ハヤテ!」
 「ハヤテくん!」
 ハヤテが映る・・・それに、不意に呼んでみてしまった。
 『鈴宮家に身を潜めている女性のみなさん・・・たぶん、このDVDを見るときはおはようの時間ね。』
 ハヤテは執事服で、アテネの服装も出会ったときの服装であった。
 『シュンにお世話になっているみたいだけど・・・どう?美青年さんに優しくされる気分は・・・気持ちいい?私も、ハヤテとずっといられて・・・とても嬉しいわ。ね、ハヤテ。』
 『うん、アーたん。僕は、君といられて幸せだよ。』
 DVDに映っているハヤテは、それは本当に嬉しそうで・・・ナギたちの期待を見事に裏切っているように見えた。
 『あなたたちは・・・ハヤテと出会ってどのくらい経つの?どうせ、半年もないんでしょ?でも、私とハヤテの愛は・・・10年の時を経ているの。そう、ハヤテとの愛は・・・もう、完成に近づいているの・・・』
 「か、完成だって!!ど、どういうコトなのだ!!」
 「ま、まあ・・・ナギさん。落ち着いて。とにかく、続きを見なければ分かりませんよ。」
 俊は手をナギの肩に添えて、ディスプレイをじっと見つめる。
 『私はハヤテと10年前に別れて・・・そして、誰とも男性とは一線を越える関係は作らなかった。でも、ハヤテのいるコトに大切さに気づいた・・・だから、今・・・ここに戻ってきた。だけど、そこには壁があった。そう、あなたたちよ。三千院ナギ。桂ヒナギク。マリア。西沢歩。鷺ノ宮伊澄。愛沢咲夜。瀬川泉。この壁を乗り越えなければならない・・・そうしないと、ハヤテは私の元に来ない。そして、私を愛さない。』
 そんな言葉に、じっと聞いているナギたち。しかし、俊はなぜか笑顔になっていた。しかも、話が進むに連れて。
 『だから、今回の計画を実行した。三千院家たちを・・・自分の手中に収めること。そして、シュンがあなたたちを助けることも。今回の予想には当てはまっていた。しかし、一つだけ予想外のコトがあるの。』
 すると、ディスプレイの中にアテネはハヤテの唇に・・・自分の唇をゆっくりと重ねた。
 『ハヤテが予想以上に私を愛してくれること・・・私も、計算外だった。もしかしたら、嫌われるかもしれない。そんな風に・・・不安だったこともあったのよ。でも、ハヤテは優しいのね。あなたたちが好きになってしまう理由が分かるわ。』
 『アーたん。言ったよね・・・今はもうないけど、あの指輪をはめられるような関係になっていましょうねって。今、僕とアーたんは・・・そんな関係だって思ってるんだ。だから、僕とアーたんは・・・結婚します。』
 “結婚”・・・その言葉は少女たちには重すぎる言葉だった。
 『ハヤテ・・・』
 『僕は、あの時から・・・ずっと、アーたんのコトが好きだった。それは、ナギお嬢様に仕えているときでも、絶対にその気持ちは無くさなかったよ。』
 その言葉は・・・どうやら、アテネにとっても予想外のコトだったらしい。ディスプレイ上のアテネは気づかない間に涙を流していた。
 『ハヤテ・・・』
 『ここに、アーたんとの愛を誓うよ。』
 『・・・ばかっ。』
 アテネは頬の色を少し朱にしながら・・・ハヤテのコトを見つめて、唇同士を重ねている。それは、ずっと・・・。
 『ナギお嬢様。それに・・・みなさん。今まで、ありがとうございました。僕は、アーたんと結婚します。・・・それに、鈴宮くんでしたか。・・・僕が、アーたんを幸せにするので。』
 ナギは、隠せない・・・悲しい想いで心が一杯になっていく。それは、ハヤテがことばを発するにしたがって。
 「う、うううっ・・・」
 『あの時のお嬢様のご厚意に・・・感謝します。』
 映像のハヤテも・・・涙を流していた。
 『では、失礼いたします。』
 そして、映像は終わった。
 「・・・これが、DVDの内容です。」
 俊はそれ以上は言えなかった。ナギたちにとっては、とても・・・重い内容だったから。好きだった人が、急にどこかに遠くに去ってしまうような・・・さみしくて、悔しい・・・そんな気分が、それぞれの胸の中でこみ上げた。
 「アテネはどうやら・・・一つの想いを形として、ここに一つになることを・・・決めたようです。しかも、綾崎くんが・・・それを決断した。」
 それだけを言って・・・俊は部屋を去ろうとドアを開けた。だが、その時だった。
 「うえええん!!ハヤテえええっ!!」
 ナギは走って・・・部屋を飛び出してしまった。それを、俊は追いかけずに・・・そして、振り返って・・・ただ、見つめることだけをしていた。

~SELL 8 気持ち~

 ただ、部屋の中を見つめるだけの美青年・・・そう、何も動揺もしない。それを、一番に反応したのはヒナギクだった。
 「どうして・・・ねえ、どうして!ハヤテくん・・・どうして結婚しちゃうの!ねえ、どうしてなの!教えて!」
 「・・・」
 「ねえ、シュンくんは言ったわよね。今のこの状況を・・・元に戻してくれるって!ねえ、助けてよ・・・ハヤテくんを元に戻してよ!」
 しかし、俊は眼を隠すように・・・髪を下ろして、しかも何も答えようとしない。
 「・・・」
 「答えて・・・答えなさい!」
 ヒナギクは俊の両腕をつかんで、勢いよく揺さぶった。そして、俊は勢いよくヒナギクを振り払った。
 「きゃあっ!!」
 ヒナギクはしりもちをつき・・・歩がそばによる。
 「シュンくん!なんで・・・ヒナさんにそんな態度をとるんですか?昨日のシュンくんはどうしちゃったんですか!」
 「・・・」
 「あなたがハヤテくんに似ている優しさがあるから・・・だから、私たちはシュンくんのコトを信じてきたんだよ!なのに、こんな風にヒナさんを払って・・・何にも謝らないなんてひどいじゃないですか!」
 「・・・すみません。」
 しかし、その声は優しい声ではなかった。ヒナギクのことを見ずに・・・それは、俊の方が逆に大きかった。
 「・・・今、綾崎くんが結婚する・・・そう言わせたのは、俺で・・・全部が俺のせいだと思っているんですか?」
 「・・・そうだよ。全部シュンくんが悪いんだよ!」
 「・・・だいたい、俺は綾崎くんとアテネの関係を壊すために・・・君たちを助けたワケじゃない!俺はあくまでも・・・君たちの生活を元に戻すために、それまでの間だけ俺の家に泊めてあげているだけです。」
 俊は・・・歩が怒った以上に、静かに怒りをあらわにしていた。
 「なによ!シュンくん・・・」
 「第一に・・・俺は、歩さんが言うようにやりたかった・・・それだってありますよ。でも、人の心に俺が口出ししても・・・どうにもならないんですよ。」
 「だからって、なに・・・」
 「歩さん・・・それに、全てを俺に任せているような口ぶりでは・・・綾崎さんをこちらの方に眼を向かせることは難しいでしょうね。それに、たしかに悲しいのは分かりますよ。」
 そして、俊の表情は一瞬に笑顔に変わった。
 「それに・・・今の綾崎さんの発言は、確実に言うと分かっていたんですから。」
 「えっ・・・?それって、どういうこと・・・?」
 「俺が、何もせずに・・・三千院家に行くとは思いますか?実は、綾崎さんに・・・とあるコトを頼んでいたんですよ。」
 俊はヒナギクの元に駆け寄って・・・
 「さっきはすみませんでした。」
 「・・・ごめん。シュンくんの言うとおりだったかもしれないから・・・全てを、シュンくんに任せてたって気がしていたわ。」
 「いえ。それに・・・あなたたちの家を元に戻す以上のことを、俺だって既に実行しかけているんですよ。」
 「えっ・・・?」
 「もしかしたら、綾崎くんは本当にアテネと結婚したいかもしれません。しかし、これだけは約束してくれましたよ。“絶対に元に戻す”ってね。」
 その言葉に、ヒナギクと歩は笑みを取り戻し始めた。
 「本当に?」
 「本当です。ヒナギクさん。歩さん。」
 俊はヒナギクと歩の頭をゆっくりとなでた。
 「さっきはすみません・・・絶対に、綾崎くんを元の場所に戻してあげますからね。」
 「・・・シュンくん。」
 そして、マリアが言った。
 「・・・シュンくんのコト、信じて良いんですよね?」
 その単純で・・・そして、意味の深い一言に・・・俊は淡々と答えた。
 「・・・信じてください。そのためには・・・あなたたちの協力が必要なのです。そう、全ては君たちとアテネのために・・・」
 ゆっくりと歩き出す。俊は棚の中をあさって・・・ビデオカメラを取り出した。
 「そう、これを使って・・・まずは、撮影でもしましょう。」
 「な、何に使うの?」
 「それは、やってみてのお楽しみですよ。」
 そのビデオカメラに疑問を抱くヒナギクたち。そして、背後から・・・さっき聞いた鳴き声が戻ってきた。
 「シュン・・・シュン・・・」
 「・・・ナギさん。」
 俊は泣いているナギと同じ目線になるまで、足を折り曲げた。
 「ハヤテは・・・ハヤテは・・・」
 「大丈夫ですよ。心配しなくても大丈夫です。」
 そして、俊はナギを優しく抱いた。
 「だって・・・ハヤテは、アテネと結婚するって言ったんだぞ!なのに、私は・・・ハヤテに本当の気持ちで好きだって言ってない・・・」
 「・・・ナギさん。」
 「・・・悲しいんだよ。アテネに先を越された気分で・・・それに、何も言えない自分が悔しいんだよ!」
 その言葉を真摯に受け止めて、そして抱きながら言った。
 「ナギさんが悲しんでいるときは・・・俺がベールとなってあなたを包んであげましょう。そして、ナギさんが何かに立ち向かうときは・・・喜んで、俺はあなたの剣となりましょう。・・・あなたは、一人ではありません。メイドのマリアさん・・・友人のヒナギクさんや歩さん。伊澄さん、咲夜さん、泉さん・・・そして、俺がいるじゃないですか。大丈夫です。アテネと闘うコトは・・・考えています。」
 ナギはそう言われると、涙を流した。それは、俊のシーツに染み渡るぐらいに・・・大粒の涙を。
 そして、ナギはマリアなどの顔を見る。すると、笑顔が戻ってくる。
 「シュン・・・」
 「大丈夫です。俺を信じてください・・・そして、アテネと闘いましょう。」
 悲しさよりも嬉しさの方が募って・・・ナギは俊の顔を見た。そこには、ハヤテと同じような優しい顔がそこにあった。
 「うん。」
 「・・・ナギさん。とりあえずは、俺の作った朝食を食べてくれませんか?」
 「・・・分かった。」
 涙をゆっくりと拭いてあげて・・・俊たちは部屋を出た。そして、一つの作戦を元に・・・アテネと闘うことを決意したのであった。

vol.6に続く。果たして、どうやってアテネと正面から闘うのか?
そして、俊がハヤテに言ったこととは・・・。vol.6をお楽しみに!
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