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開設10周年!(2018/10/4)日記と音楽感想、アニメ感想を中心に更新しています。リンク&トラックバックなどはフリーです。

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さて、SS『Love Ling』vol.3です。
俊のコトがだんだんと明らかになって・・・アテネと俊は再会する。

まあ、内容性は今回は・・・薄いのかな?とにかく、ボリュームは前回程度です。
このvol.3はいわゆるつなぎっぽいトコロ。

それでは、繋ぎのvol.3をどうぞ!
~SELL 4 Home of Shun~

 俊に連れられたナギたち。
 俊が乗せた車の中は、まるで夢のような空間らしいのだが。
 「あ、あの・・・そんなに感激のあまりに凝視しなくてもいいのですが。」
 俊は苦笑い。車の中は車の中でないような豪華さ。こやつ、なかなかやるなと思う歩。夢のような人にあったと思うヒナギク。それぞれいろいろな想いが胸に秘めていた。
 「でも、鈴宮邸がここで出てくるとはな・・・なるほど、財閥が敵になるなら、財閥を味方にしろというコトなんだな。」
 「いえ・・・私たち鈴宮家では、そのような財閥というものは考えていません。単に、庶民的な目で見たというだけであり、特別な事業などは昔からはやっていないんですよ。これが。」
 「なるほど・・・財閥の主といえど、この落ち着き様は・・・どこかのどいつに比べると、偉く立派なヤツに思える。」
 その、引きこもりがちなナギに言われたどこかのどいつの主とは・・・ナギの目線は、関西弁のナギの同い年の女性に目をむいていた。
 「な、なんやって!ウチと比べるんかい!!」
 「だって、そんな役が務まるのはサクしかいないだろ。」
 「・・・あとで、この黒髪さんの家に行ったら、しごいてやるからな。このサク姉さんが。」
 「・・・やっちまった。」
 そんなコトを言うナギたちを見ても、ただ微笑むばかりの俊を見ると、だれでも心が揺らぐのが俊の最高の魅力だと、どこかの雑誌に書いてあった。
 さすがのヒナギクやマリアでさえ頬を少し赤くするほどなのだから、日本で人気沸騰中の有名人であることはすぐに分かる。その人に、今こうして車の中で一緒にいるとなれば、誰にでも自慢できることだった。
 「まあまあ、そんなに喧嘩はせずに。」
 「そういえば、シュンくんは一人で住んでいるのですか?」
 「えっ?」
 さりげなく俊の隣に座っていたマリアは、俊に訊いていた。
 「ええ。中学を卒業してからは、ずっと別宅で一人で暮らしています。あ、親に勘当されたとかではなくて、俳優という職業をしていると、どうしても一人で遠くに行ってしまわなければならないんです。その時のためにって。まあ、一年ぐらい暮らしているので、もうすっかりと慣れてしまいましたが。」
 「へえ、どこかのわがままお嬢様とは偉く違って、尊敬したい人物ですね。」
 「いえいえ。そんな・・・それに、一般的に言う彼女という人もいませんし・・・まあ、昔から告白とかはされ続けていましたが・・・まあ、断り続けて今に・・・至っちゃったんですよね。ははは。」
 髪を少しかき分けながら話す俊の姿は、マリアの心に響いたのだろうか。
 「へえ、じゃあ・・・ハヤテくんと同じですわね。」
 「・・・綾崎ハヤテさんと?」
 「だって、ハヤテくん・・・恋がらみでナギに執事を首にさせられたコトが幾多もありましたから。うふふ。」
 と、そこに待ったをかけるナギ。
 「マリア!さりげなくそんなコトを言うな!しかも、“幾多”ではなくて“幾度”だと思うんだけどな!」
 (どっちにしろ、自分は認めるんだ・・・三千院ナギさんって。)
 そんな風に言い合っているナギとマリア。それを、ただ黙って俊は見ていた。
 「だいたいな、ハヤテは浮気性なのだ!伊澄のトコロにも行ったこともあったし・・・それに、第一・・・今回のコトだってハヤテは浮気性なのだ!!浮気性が原因で今みたいな状況になっているのだ!」
 「そ、そんなにひどいコトを言わなくてもいいんじゃないかな!?」
 「ど、どうしてそこにハムスターが出てくる!」
 「ハ、ハヤテくんを・・・わ、悪く言ったら・・・この私が許さないんだからねっ!」
 微妙に涙を流すっぽい感じになってきた歩。
 「う・・・うるさい!第一に、ハムスターとハヤテがどんなに私と出会う前にいちゃいちゃしていてもな・・・今、ひとつ屋根の下で暮らしている私の方が、絶対にハヤテとは近い関係になっているんだからな!」
 その時、俊はくすくすと笑っていた。
 「は、はははっ・・・」
 「な、なにがおかしいのだ!」
 「いえ、アテネと話しているときも・・・そんなフレーズを言っていたので。いやっ、おかしくて・・・」
 「お、おまえ・・・まさか!盗聴していたのか!?」
 一気に、周りの視線は鋭い視線に変わる。
 「そうですよ。だから、さっきも言ったじゃないですか・・・財閥関係の情報は、いやでも入ってくるって。」
 「おまえ・・・おまえ、なぜ私の屋敷を盗聴したんだ!」
 「・・・君たちを助けるためですよ。たしかに、盗聴はしたくなかったのですが・・・確定が確信するまで、俺は三千院家の正門前でずっと待機していたんですよ。」
 俊はスーツのポケットからイヤホンを取り出した。
 「これを左耳につけて・・・ね。」
 「なんだと・・・」
 「昨日、一本の電話があったんです。そう、もちろんそれは・・・鈴宮家のSPです。天王州家の動きがあるというコトで。」
 コホンと一回咳を入れながら、
 「そう、三千院家ほどの大きな財閥との取引・・・そして、それを動かすためには、大きく動くしか天王州家には方法はなかったんです。それを、鈴宮家のSPがつかんで・・・俺のトコロに。そして、俺はSPに三千院家の屋敷内に忍びを入れされて、盗聴器を仕掛けた。本当に、天王州家は三千院家及び・・・桂家などを本当に自分の手中に収めてしまったのかが、疑惑があったのでね。」
 そして、車は減速する。
 「あっ、そろそろ俺の別宅に到着ですね。」
 「・・・おい、まだ話は終わっていない。その先を話せ。」
 ナギの眼は、完全に真剣な眼差しだった。
 「・・・分かりました。その後・・・三千院家に仕掛けた盗聴器は、鈴宮邸のコントロールセンターで制御されて、このイヤホンに届いたというわけです。」
 「・・・おまえ、自分が何をやっているのか分かっているのか!」
 「・・・すまないとは思っていますよ。三千院ナギさん。しかし、俺にも君たちを守る義務というものがあるんです。それは、君たちのためでもあり・・・そして、アテネのためにでもあるんですよ。」
 俊は、ナギの頭をなでた。気を和らげてほしかったという気はなくて、素直に頭をなでたくて。
 「そして、案の定・・・アテネは三千院家などなど、自分の手中に収めてしまった。目的は、まだ分かりませんが・・・盗聴していて分かったことがあります。」
 「・・・それは、何なの?」
 誰も答えないときに、ヒナギクはぽつりと訊いた。
 「盗聴を仕掛けてもらったと同時に、君たちのコトを調べました。もちろん、一線を越えない程度に。アテネは綾崎ハヤテという男性がどれだけ大きな存在か。それが、あの盗聴で分かったんですよ。それは、周りのいる全ての綾崎ハヤテを想っている女性をどんな手で引き裂こうとしても、絶対にいたかったという・・・その、アテネの純情な女心が。」
 「・・・」
 しかし、俊は優しい笑顔で言った。
 「アテネのコトをかばっているつもりはありません。別に、俺の最大の目的は・・・君たちの生活を早く元に戻すというコトです。その・・・恋愛関係に対しては、俺は何とも言えません。アテネに・・・綾崎ハヤテと決別をしろとも言えません。アテネも、女の子ですから。」
 「シュン・・・」
 「大丈夫ですよ。アテネは・・・寂しがっているだけですから。・・・この後、俺はアテネに直接会ってきます。」
 「えっ!あ、会いに行くのか!?」
 「ええ。もしかしたら、アテネに・・・何か心の中で動くかもしれませんしね。そう、綾崎ハヤテさんより前に出会った・・・この俺と出会えば。」
 「そうか・・・」
 そして、車が止まる。
 「シュン様。家に着きました。」
 「・・・ごくろうさま。あとは、俺で何とかするから・・・今日は、自分の時間に使ってください。」
 「・・・ありがとうございます。それでは、そちらのお嬢様方降ろしたら・・・私も自由時間とさせていただきます。」
 俊の執事だろうか。その若い男性執事は、颯爽と運転席から出ると・・・次の瞬間には、ナギたちが入ってきたドアを開けていた。
 「さあ、三千院ナギお嬢様方・・・お降りになってください。シュン様の家に着きましたので。」
 「ど、どうも・・・」
 丁重に話す俊の執事に、つい敬語になってしまうナギ。ゆっくりと俊の執事の開けるドアから外に出た。
 「こ、これは・・・」
 ナギは、その俊の家を見て言葉が出ない。
 「なに?ナギ・・・そんなにすごいの?・・・えっ。」
 ヒナギクも同じく声が出ない。
 「えええっ、そんな・・・ヒナさんも声が出ないのかな。・・・えっ。」
 歩も出ない。まあ、歩だったら出ないのは確実か。
 「さあ、ここが・・・俺の家ですよ。って、そんな・・・普通より少し豪華版といったトコロじゃないですか。三千院ナギさんは、驚く必要はないんじゃないんですか?」
 「・・・その、“三千院ナギさん”はやめてくれ。ナギでいいから。」
 「・・・そうですか。ナギさん。」
 「うむ。それでいいのだ。」
 立場逆転・・・と言ったところだろうか。とりあえず、俊の家には着いた・・・しかし、俊は再び三千院家に行く。とりあえずは、ナギたちを中に入れようと、俊はゆっくりと家の中へと連れて行くのであった。

~SELL 5 落ち着き~

 俊は、ナギたちを家の中に招き入れる。
 「さて、ナギさん。ここが、俺の家です。」
 「・・・ほう、なかなかだな。綺麗に手入れされているし・・・これは、全て・・・運転してきたあいつがやっているのか?」
 「・・・いえ。あいつではありません。大抵は俺一人で手入れをしています。一人暮らしの身なので、掃除洗濯などなど、家事全般は全て俺がやっています。」
 「本当に、シュンは苦労しているんだな。」
 「まあ、俳優業を兼ねていますからね。苦労あってこそ、今の自分の生活があると思っているので、嫌と思ったことはありません。まあ、彼女という人ができれば・・・その喜びは、2倍にも3倍にもふくれあがるかもしれませんが。」
 と、そう言うと自分でくすっと笑った。
 「じゃあ、私が彼女になってあげようか?」
 「・・・ナギさんが?・・・お気持ちだけで嬉しいです。あなたたちは、綾崎ハヤテという人がいる。こんな俺と一緒になったとしても、俺が俳優というためか、注目されつづけ・・・静かな時が過ごせなくなるかと。」
 「えっ?シュンは・・・静かに彼女と過ごしたい派とかなのか?」
 「・・・やはり、彼女というモノができたからには・・・その人と、静かに過ごしたい時間がほしくなると思います。ですが、その彼女という人の性格もありますが・・・俺は、そっちの方がいいですね。」
 絶対にとまどって、言葉が詰まって話すかと思ったこの質問。しかし、俊は丁重かつ迅速に話の答えを出した。
 「へ、へえ・・・」
 「やっぱり、この人が人気な理由が分かるね。ヒナさん。」
 「そ、そうね。大抵の主って、自分勝手な人ばかりだと思っていたけれど・・・シュンくんみたいに、優しい人もいるのね。」
 やはり、ヒナギクと歩は俊に対してほわあん状態になっている。
 「せやけど、なんか黒髪さんの家はめっちゃ綺麗な造りなんやな・・・そうや、さっき言ってたDVDBOX。はよ、見せて~な・・・めっちゃ見たいんや。」
 「えっ、そうですか・・・それでは、俺の部屋にご招待します。」
 俊の後についてくるナギたち。咲夜にそんなコトを言われた俊も少し驚いたが、DVDBOXが見たかったナギの方がもっと驚いていた。
 階段を上がり、ところどころにハイテクな部分も見せられながら、とある一つのドアの前に立った。
 「ここが、俺の部屋の前のドアです。」
 「・・・見れば分かるだろ。」
 「・・・そうですね。」
 「・・・そんなボケいらんから、早く開けてみい。」
 俊は、咲夜に言われるとドアをゆっくりと開けた。
 「うわあああっ・・・えっ。」
 期待していたが・・・案外普通の部屋だった。
 「ちょ、ちょっと・・・期待していたんだが、案外普通の部屋なんだな。」
 「ええ。もちろん・・・この家に越すまでは、普通の一般家庭と同じような生活をしていたので、その時の心を忘れまいと・・・このように設計してもらったのです。」
 しかし、そこにはDVDBOXやフィギュアやCDなどなど・・・まあ、常人よりは多いアニメグッズはたくさん置いてあった。
 「うわあっ・・・アニメグッズがこんなに。しかし、ナギの部屋よりは・・・すごく綺麗に置かれていますね。」
 「いえいえ。それほどでも。ちょっと、芸能界の中ではアニメ好きだと知れ渡っているので、たぶん・・・何かと知る機会はあったような。まあ、いいんですが。」
 「しかも、ほこりひとつありませんよ・・・これは、ナギに負けないぐらいのアニメ好きですね。」
 「あ、ありがとうございます。」
 羞恥心というモノをあまり表に出さない俊は、あまり動揺もせずに・・・ナギやマリアたちに事細かに部屋の中を見られても焦りは全然なかった。
 「それで、DVDBOXはどこにあるんや?」
 「DVDBOX・・・ちょっと待ってください。」
 俊は、フィギュアが置いてある棚の下の部分を見る。
 「あ、あああっ・・・これですね。・・・はい。」
 「おお、おおきに。」
 「しかし、咲夜さんはこのようなものにご趣味があったとは。調べたところによると、不動のお笑い好きとか。」
 「ああ、それもあるんやけど・・・ナギの見ているアニメを一緒に見ていたらな、なんか私も興味がわいてきたんや。しかも、先行販売とかは目が離せないんねん。」
 「なるほど。素晴らしい友情物語ですね。令嬢同士となると、感動の度合いが一段と違ってきますよ。」
 そう言うと、にこっと笑顔を見せた。
 「それでは、私は三千院家に行きます。アテネに・・・話したいことがあるので。」
 「シュン・・・」
 「大丈夫です。ナギさんたちを傷つけるようなコトはしません。・・・今は、君たちの執事みたいなモノですからね。」
 「シュン・・・」
 できるだけ笑顔にしてやるんだ・・・それが、今の俊の心情だった。とにかく、何かをしなければならないから。
 「・・・待ってくれ!」
 「・・・なんですか?」
 ナギは、手をかじかんで・・・それを口に当てて。顔を赤くして・・・そして、ナギは小さな声で訊いた。
 「ど、どうして・・・」
 「・・・?」
 「どうして・・・私たちをそこまで守ってくれるんだ?」
 「・・・」
 ナギが訊いたこと・・・それは、全員が訊きたいコトだった。俊は、ナギのそばに立って、
 「・・・アテネのやったことは、もしかしたら全ては俺の責任かもしれない。それの罪滅ぼし。しかし、それ以上に・・・」
 そして、にこりと笑った。
 「君たちには・・・何か守りたいモノがあるんですよ。もしかしたら、昔・・・俺が好きだった人に似ているからかな?まあ、それは関係ありませんが・・・とにかく、あの場で助けてあげられるのは、俺しかいないと思ったので。大丈夫。安心してください。俺が何とかするので。」
 「そ、そうか・・・じゃあ、頼む。」
 そして、俊は部屋を出て行こうとした・・・だが、一つだけ訊いた。
 「君たちは・・・綾崎ハヤテさんのコトが好きですか?」
 それは、確信したかったから。全てを振り切っても・・・守るべき人たちなのか。それを、あえてはっきりと訊いてみた。
 そして、その答えは・・・全員、頭を縦に振った。
 「・・・そうですか。分かりました。それでは、みなさんはそのDVDBOXでも見ていてください。俺は、アテネに会ってくるんで。」
 そう言って・・・俊は三千院家にゆくのであった。

~SELL 6 アテネと再会~

 俊は三千院家の前に。
 「アテネ・・・」
 それだけ。俊の頭にはアテネしかなかった。それは、三千院家の屋敷に近づくたびに膨らんでいった。
 「さて、入りますか。」
 正門を開き・・・三千院家の敷地に入る。
 そこは、自然が多く・・・正門から玄関までどのくらいあるのか想像できないほど長かった。
 「ど、どこになったら玄関に着くんだ・・・」
 少しイライラし始めたその時、やっと正門に着いた。
 「よし、堂々と入ろう。こそこそ入ってもどうせ見つかるのはオチなんだから・・・」
 そして、三千院家の屋敷の中に入る。
 どこにいるのか?すぐに分かった。ハヤテとアテネの声がしたから。盗聴のおかげで、ハヤテとアテネの声も認識していた俊には、判断のする時間などはかからなかった。
 「・・・アテネ。」
 そう言うと、俊は部屋の中に入っていった。
 「シュ、シュン・・・お、おまえ・・・」
 「久しぶり・・・だね。10年ぶりになるのかな。」
 「な、なぜ・・・ここに私がいるって分かったの?・・・シュン。」
 俊が現れたことに、アテネは驚きを隠せなかった。逆にハヤテは「誰ですか?この人は。」みたいな表情になっていた。
 「あ、あのさ・・・アーたん。このかっこいい男性は誰なんですか?」
 「えっ、ハヤテ。私はあなたと10年前に・・・前に出会った人がいたの。それが、この人。鈴宮俊よ。」
 「す、すずみや・・・?」
 「ええ。」
 「へ、閉○空間とかを作ってしまうんですか・・・?」
 「・・・俺は作りません。というか、作れません。そのような空間は。」
 アテネといちゃついていた・・・いや、はっきり言うといちゃつかれていたハヤテは、俊を凝視しながら存在を確認していた。
 「アテネ。ようやく会えたね。」
 「シュン・・・どうして!どうしてあなたがここにいるの!」
 「・・・分かってるくせに。」
 「・・・ハヤテ。」
 「な、なに?」
 「ちょっと、この部屋から出てなさい。私、この美青年さんとお話がしたいから。」
 「う、うん・・・」
 と、ハヤテが出て行こうとした瞬間だった。
 「綾崎さん。」
 「・・・えっ?」
 「・・・」
 不意に、俊はハヤテの手をつかんでいた。
 「な、なんですか?」
 「・・・ナギお嬢様たちは、私が保護してあります。それだけは、直接俺の口からあなたに伝えたかったんで。それだけです。」
 「・・・ありがとうございます。」
 そう言うと、ハヤテは部屋を出て行った。
 「・・・それで、アテネ。あの後・・・綾崎ハヤテと出会ったんだね。・・・アーたんか。かわいらしい愛称だ。そして、アテネも相当気に入っている人らしい。」
 「・・・そうよ。あなたと同じ過ちをした・・・でも、ハヤテの方が私の話を絶対に聞いてくれたから。だから、私は今・・・ハヤテと一緒に暮らしているの。」
 「・・・それにしては、俺のコトを覚えてくれていたんだ・・・」
 「何言ってるのよ!・・・あなたは、シュンは・・・やんちゃなお子様だったじゃない!どこかの御曹司かは知らないけど、自分のわがままを突き通して・・・でも、ハヤテは苦労人。そして、私もずっと守りたいって思って・・・」
 アテネは。右手を自分の手を右腕にあてて言った。
 「あなたとは違うんだから!ハヤテは・・・優しくて、優しくて・・・」
 「分かってる。だから、綾崎さんの周りには・・・ああいう風に思っていてくれている人がたくさんいるんだよ。それを、アテネは・・・勝手に金の力で自分のモノにしたんだ。人のこと・・・言えないよ。」
 真剣な表情で、そしてゆっくりとアテネに近づく俊。
 「アテネ・・・昔のアテネだったら、絶対に今みたいなコトはしないと思うよ。だから、もう・・・やめてほしいんだ。せめても、あの三千院ナギたちを元の生活に戻してほしい。だから、お願い。こんなコトは、アテネだって苦しいはずだろ・・・?」
 必死に訴える。それは、アテネの心にも少なからず響いていた。アテネは声を震わせながら言った。
 「・・・あなたのせいよ!あなたが・・・あなたが、あの時に私を・・・!もし、あんなコトがなければ、私と一緒にいたら・・・ハヤテだって好きになってなかった!今みたいなことだってなかったはずよ!そうよ、シュン・・・シュンのせいなんだから!」
 「・・・ごめん。でも、それでも・・・今、アテネのやっているコトは許せないんだ!きっと・・・綾崎さんだって、そして・・・ナギお嬢様たちだって。」
 「なによ、なによ・・・私だって、私だって・・・!」
 アテネは足で床を蹴った。
 「私だって、シュンがいなくなったとき・・・ハヤテがいなくなったときに、寂しい想いをしたんだから!それを、10年間も!だから、あの人たちにも分かってほしいの・・・好きな人が、突然奪われて悲しい気持ちになることを!」
 「・・・アテネ。だったら・・・」
 「その先はやめて。あなたとは付き合わない。あなたは、今・・・日本で人気を集めている有名人よ。そのくらい、あなただったら分かっているはず。」
 その先は、答えることができなかった・・・
 「でも、アテネ。今、自分がやっていること・・・その意味の大きさを考えてくれ。本当に綾崎さんが好きなら、もっと他の方法だって良かったはずだ。それなのに、ナギお嬢様たちをあんな目に遭わせるなんて。俺は、絶対にアテネ・・・君を許さない。」
 「あらあら・・・初対面のあの人たちに、そんなに優しくするなんて・・・心が随分と優しくなったのね。」
 「・・・ふっ、アテネのおかげだよ。」
 「まあいいわ。あなたが三千院ナギたちを助けること・・・すでに、予想済みでしたから。昨日の取引の際に。」
 「そうか。俺も、天王州家がこの三千院家及び、綾崎ハヤテに好意を持つ女性たちの家を全て乗っ取ること・・・取引の際にSPが察知してくれていたんでね。」
 口がにやり。声がほろり。俊の表情は笑みへと変化していた。
 「さすがシュンね・・・全てがお見通しってコト。ふうん・・・」
 「これだけは言っておく。あの人たちは・・・今でも、綾崎ハヤテをあきらめてはいない。気持ちだけは・・・アテネとまともに戦えると思う。」
 「そう。でも、意味ないわよ。」
 「・・・えっ?なんだって・・・?」
 「それは、また後で・・・分かるコトですから。ほら、さっさと出て行きなさい。じゃまですわよ。ハヤテとの愛に満ちた時間を・・・」
 「・・・それは悪かった。」
 俊は、ゆっくりと歩き始めドアの前に立つ。
 「じゃあ、また・・・アテネ。」
 「・・・」
 「・・・あ、これだけは言っておくよ。」
 「・・・なに?」
 「・・・アテネのこと、今でも・・・ちゃんと想ってるから。」
 それだけを言い残して・・・三千院家を去った。
 そのアテネが覚悟しておくようにと言ったコト・・・それが気になる俊だったが、とりあえずは・・・ナギたちの待つ自分の家に戻るのであった。

vol.4に続く。夜となって、ナギたちはそれぞれにハヤテへの恋心をあらわにする。
そして、アテネが言った覚悟しておくコトとは・・・?vol.4お楽しみに!

なんとか、ペースは少し落ちただけで公開はできています。
最後まで、ごゆるりとご堪能あれ!
それでは、また明日。それか、次のvolで。
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