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さて、SS『Love Ling』vol.2です。
10年ぶりに再会したアテネとハヤテ。アテネの10年越しの想いとは。

そして、アテネによってそれぞれの居場所を失ったナギたち。
そこに一人の美青年(オリキャラ)が現れる。そして、その美青年の正体とは。

話がついに動き出してくるvol.2・・・愛の駆け引きは見物かも?

それでは、衝撃のvol.2どうぞ!
~SELL 2 奪った場所~

 ハヤテの前にアテネが現れた・・・本当に、それはあり得ない・・・そう思っていた。しかし、ここにいる。会いたかった『アーたん』がここにいた。
 「アーたん・・・」
 「ハヤテ。あなた・・・三千院家の執事をやっていたのね。」
 「うん。そうだよ。僕、この人に仕えているんだ。三千院ナギお嬢様に・・・」
 「・・・」
 アテネはハヤテの言葉を聞いた後、まるでナギを下で見るかのように、鋭い視線で見つめていた。
 「アーたん、それよりも・・・これってどういうこと?」
 「なにが・・・ですの?」
 「この人たちを、どうして・・・後ろにいる、多分・・・天王州家のSPだと思うけど、どうして強引な手段を使って、ここまで運んできたの?ねえ、理由はちゃんとあるよね。」
 「・・・」
 アテネは口をにやりとさせる。
 「な、何がおかしいんだよ!アーたん・・・これは、すごくひどいことだよ!」
 「ハヤテ。あなた・・・親に捨てられて、学校も退学になって・・・あなたはすごくひどい経験をしてきたはずよ。それなのに、こんなちっぽけなコトで・・・すごくひどいって言うの。ふうん・・・」
 「なんだって・・・アーたん!アーたんだって分かってるはずだよ!」
 「ハヤテ。もっとひどいことになっているのは・・・気づいていないのかしら?」
 「なんだって・・・?」
 アテネはハヤテのすぐ前に立ち、右手で頬をなでる。
 「ねえ、どうして三千院家に簡単に入れたと思う?」
 「そ、それは・・・君が、天王州家の令嬢だから・・・」
 「ふ、ふふふっ・・・やっぱり、ハヤテはそこまでの答えが精一杯なのね。ふふふっ・・・笑いすぎて物が言えないわ。」
 アテネは静かに・・・ハヤテの耳元でくすくす笑う。その吐息は、ハヤテの顔にかかっていた。
 「おまえ・・・さっきから、ハヤテに気安く話しかけて・・・それに、おまえの仕業なんだな!伊澄や咲夜や・・・ヒナギクやハムスターなどをここに無理やり連れてきたのは!」
 「三千院ナギ・・・良いことを教えてあげる。私とハヤテは、一緒にベッドで寝た中なのよ。そして、キスだって何度もしたわよ。そう、こういう風に、ね。」
 すると、アテネはナギたちに見せつけるかのように・・・ハヤテと口を重ねた。それは、2秒、3秒・・・10秒以上そのままの状態が続いた。
 「アーたん・・・」
 「そう、10年前だって・・・今だって、この気持ちは変わっていないわ。ハヤテ。」
 「僕は・・・」
 答えられない・・・ハヤテは、今の自分の気持ちに正直になれない。
 「僕は・・・僕は・・・!」
 「ハヤテ。今はいいから。・・・でも、絶対に私を好きになってほしい。というより、もう好きにならなくちゃだめ。」
 「えっ・・・どうして!どうしてなの!」
 「さっきの問いかけの答え・・・それは、この三千院家の屋敷、そして三千院家・・・全てをこの天王州家が買い占めたから。だから、この屋敷は私の物になったの。ハヤテ、どういうコトか・・・分かる?」
 「えっ・・・」
 ハヤテも・・・そして、ナギたちも言葉が詰まった。だが、ナギは・・・
 「なんだと・・・そんなこと、誰からも聞いていないぞ!そんな、三千院家の全てを天王州家に支配される?ふざけるな!」
 「三千院ナギ・・・綾崎ハヤテはあきらめなさい。綾崎ハヤテは、今から・・・私の恋人、いえ・・・婚約者になってもらいますわ。」
 「それは認めない!」
 ナギは少し涙目になっていた。
 「そんなの・・・私が許さない!私は・・・私はハヤテのコトが好きなんだから!それに、出会ったときから・・・おまえがベッドで一緒に寝た中でも、キスをした中でも・・・今、私と暮らしているんだから私の方が好きなはずだ!」
 「お、お嬢様・・・」
 「ハヤテ・・・そんな女のコトに上手く乗せられるな。おまえは、はめられたんだ・・・絶対にそうだ!三千院家が天王州家の支配下にあるなんて信じられるか!」
 「そんなコトを言っていられるのは今のうちよ・・・三千院ナギ。これを見なさい。」
 アテネはナギに一つの書類を見せた。
 「う、嘘だろ・・・」
 衝撃だった。
 『三千院家の全ての財産、資産・・・全ての権限を天王州家に譲る。』
 そして、成立してしまった。
 「嘘だろ・・・うわあああっ!!」
 ナギは床に倒れ込んだ。そして、泣き崩れる・・・
 「で、でも・・・大丈夫よ。私の家だってあるんだし・・・」
 ヒナギクは倒れ込んだナギを必死に慰めていた。しかし、
 「残念だけどね。桂ヒナギク。それにも・・・私たち天王州家が既にしきっているの。桂家も西沢家も。そして、愛沢家、鷺ノ宮家、瀬川家・・・もね。」
 「なんですって・・・!あなた、ふざけないでよ!どうして、どうしてそんなコトをするの!?私たちには関係ないじゃない!」
 「・・・なによ。ハヤテと一緒にいたくせに・・・わがままなんて言っているんじゃないのよ!」
 アテネの気迫こもった言葉に、一同は圧倒されてしまった。
 「私は・・・ずっと一人だった!信じれる男性は・・・ハヤテしかいない。10年間もあっていない。本当にハヤテとずっと一緒にいたかったの!悲しいのは・・・こっちのほうなんだから!」
 「アーたん・・・」
 「私は、あの時にハヤテに言ってしまった言葉・・・それがすごく後悔しているの。それに、それに・・・!!ハヤテと一緒にいられるなんてずるかった!ハヤテしか想わない・・・誰かに捕られそうだから・・・」
 アテネはずっと泣いたままだ・・・しかし、ハヤテは思わぬ決断をした。
 「アーたん・・・」
 ハヤテはアテネのコトを抱きしめた。
 「アーたん・・・僕、今からでも遅くないかもしれない。僕、アーたんのコト・・・愛していいかな。」
 「ハヤテ・・・」
 「アーたん・・・でも、元に戻して。僕、アーたんのコトを好きになるから。アーたんだけをずっと好きになるから。」
 「ハヤテ・・・」
 しかし、ナギ、ヒナギク、歩が・・・
 「だめえええっ!!」
 「・・・」
 「なんでなのだ!ハヤテ・・・どうして、そんな風になってしまうんだ!今のこの書類だって・・・嘘かもしれないだろ!!」
 「・・・もう、誰もが幸せにするには・・・これしかないんです。」
 ハヤテはアテネをずっと抱いたままだ。
 「お嬢様たちが、この屋敷で・・・それぞれの家で生活できること。そして、アーたんが少しでも寂しがらずにいられること。それは・・・僕がアーたんを愛するコトしか、答えはないと思うんですよ。」
 ナギは歯を食いしばって・・・必死に訴える。
 「・・・私は幸せじゃない!」
 「お、お嬢様・・・」
 「私は・・・ハヤテが好きだって思えるから幸せに感じているんだ!なのに、誰かのそばによって・・・それに、こんなヤツを好きになるなんて。私は幸せなんかになれない!」
 ナギの言葉に・・・ひどく心をつつかれる。それは、ハヤテにもつらかった・・・本当はそばにいたかった。でも、それは・・・
 「お嬢様。お嬢様には・・・僕なんかより、ずっと・・・ずっといい人が現れますから。僕・・・お嬢様にずっと迷惑かけてしまって、それに・・・」
 「ハヤテ・・・そんなコトを言うな!ハヤテ・・・私だって、ハヤテのコトを愛しているんだ!」
 「・・・ありがとう。でも、お嬢様・・・これは、お嬢様のためです。・・・アーたん。これで、いいよね。だから、元に戻してほしいんだ・・・」
 しかし、アテネは・・・
 「嫌。」
 「えっ・・・」
 「さっきの三千院ナギの意見と同じコトですわ。今の言葉は・・・全て嘘だったかもしれない。そうね・・・ハヤテが私と結婚を約束するまでは、絶対にこの屋敷とその他いろいろは返さない。」
 「アーたん・・・」
 アテネはハヤテの顔を見つめた。
 「ハヤテ。これからは・・・ずっと、私たちの2人きりよ。私だけを・・・ずっと見つめて、ずっと好きになる。」
 「うん・・・アーたん。そう呼べる日が来て・・・今、僕・・・とても嬉しいよ。」
 ハヤテはもう・・・ナギを見ることはなかった。そして、アテネは、
 「今すぐ・・・この屋敷から出て行きなさい。あなたたちは、全て・・・もう住む宛のない人。いわば、ホームレス。ふふふっ・・・」
 「でも、僕の願いを聞いてくれる?」
 「なあに?」
 「あの人たちのコト・・・あんまりひどく言わないで。」
 と、そう言ってアテネにキス。
 「・・・分かったわよ。愛するハヤテの言うことだから・・・でも、もう話すこともないし。」
 「ありがとう。」
 「じゃあ、SPたち・・・早く、この人たちをつまみ出しなさい。」
 そして、黒スーツの男たちは動き始めた・・・
 「おい!ハヤテ!これが・・・これがおまえの望んだ恋愛なのか!なあ、答えろ!ハヤテ!!」
 「そうよ!ハヤテくん・・・!!」
 「ハヤテくんは、こんなコトで心を売るような人だとは思ってないよ!」
 必死の叫びは届かず・・・そして、三千院家からつまみ出されてしまうのであった。

 屋敷からつまみ出されてしまったナギたち。それは、絶望の始まりかと思った。
 「ハヤテ・・・どうして、あんな女と・・・」
 「きっと私のコトを・・・救おうって思ったんだわ。なのに、あの人・・・許せないわ!」
 ナギとヒナギクは完全にアテネへ怒りを感じていた。
 「でも・・・でも・・・!」
 ナギは泣き崩れる。マリアがそれを必死に慰める。
 「ナギ・・・ハヤテくんも必死なんでしょう。大丈夫です。ハヤテくんも・・・絶対に考えがあると思いますから。」
 「・・・違った。私には見せてくれない・・・優しい眼をしていた。本当に、あいつは・・・あの女が好きなのかもしれない。」
 「ナギ・・・」
 「もう、ハヤテは・・・ハヤテは戻ってこないんだあああっ・・・」
 ナギは完全に泣き崩れていた。伊澄も咲夜もこれには言葉が出せずじまいだった。そして、お気楽な泉も真面目な表情になっていた。しかし、その泉だった。
 「ねえ、私たち・・・これからどこで暮らせばいいの?」
 「・・・」
 「私たちの家・・・全部、あの金髪の女の人に支配されているんでしょ?だったら・・・どこにも行けない、よね。」
 泉の声は文末になっていくに従って、次第に声が小さくなっていた。それも無理はない。本当にないのだから。
 誰もかもが絶望をしているときだった・・・しかし、一人の男性の声が。
 「あなたが・・・三千院ナギさんですね。」
 「えっ・・・?」
 ナギたちの前に現れた・・・一人の美青年。
 「大丈夫。俺は君たちを救おうとしている・・・ただの高校生ですよ。安心してください。怪しい者ではありません。」
 その美青年の手によって、ナギは体勢を立て直した。
 この美青年の名前は・・・?そして、どんな人物なのか・・・?それが謎に包まれるナギたちなのであった。

~SELL 3 Beautiful Actor~

 ナギの前に現れた美青年。
 黒髪の長髪で、ナギたちのコトをただ見ていた。
 黒を基調とした高額そうな生地を使ったスーツを身にまとい、そして彼の右の腕輪がたまに日光でまぶしく感じる。
 「・・・あなたたちは、きっと・・・天王州アテネによって全てを失ってしまった女性たち。それは、俺は承知済みです。」
 「・・・」
 「今、何をするべきか・・・先が見えない。違いますか?」
 その美青年は、ナギたちに意表をつくことを言う。
 「綾崎ハヤテは・・・このままだと本当に天王州アテネと結婚をしてしまうコトになってしまいます。それでいいんですか?」
 美青年は優しく・・・背はこの場にいた誰よりも高かった。しかし、この美青年は何を考えているのだろうか。
 「おまえは・・・?いったい、何者なんだ・・・?」
 「・・・俺ですか?申し遅れました・・・鈴宮俊(すずみやしゅん)と申します。そうですね・・・白皇学院に通っていて、まあ・・・片方では俳優などもやっているんですが。」
 「・・・その俳優がどうして、この三千院家の屋敷の前にいるんだ?」
 「はははっ、ここはもう三千院家のものではありません。」
 「な、なんだと!」
 美青年・・・俊は分かり切った口調で言った。
 「天王州家は三千院家に関わる物を全て、自分の権限におくものとする。それは、つまり・・・三千院家の物は全て、天王州家の物になってしまうというコトなんですよ。」
 「つまり、天王州家はそこまで甘くはないと・・・そう言いたいんだな?」
 「・・・さすがは、三千院家の令嬢の三千院ナギさん。あの白皇学院の特待生だけあって、物分かりが速いようだ・・・」
 俊は、ナギを見てくすくすと笑う。
 「おい!何がおかしいんだ・・・さっきから好き勝手なコトを言って・・・!」
 「でも、今俺が言ったことは・・・真実です。それに、あなたたちはどこにも行く宛がないと伺っている。」
 「な、なんだって・・・?おまえ、どうしてそこまで知っているんだ!」
 「・・・なあに、俺は鈴宮家の主みたいなものも肩書きとしてはあるんで。財閥関係の情報は、嫌でも手に入ってしまうんですよ。」
 「鈴宮家・・・?たしかに、聞いたことがある・・・庶民的な目線から見て、芸能界を中心に羽振りをきかせている財閥・・・」
 「さすがです。ゲームやアニメ好きの三千院ナギさんでも、俺たち鈴宮家の存在を認識してくれていたとは。いやっ、感激ですね。あっ、俺もゲームやアニメ・・・大好きですよ。この前、ア○メイトで先行販売のDVDBOX・・・買っちゃいました。」
 「ま、まさか・・・あれか!」
 「・・・」
 その答えが分かったようで・・・俊はにこりと微笑んだ。
 「あれですよ。三千院ナギさん。」
 「うわっ!すごいではないか!」
 「はははっ・・・俺も、あなたほどではありませんが・・・ゲームやアニメ好きなんですよ。それに、三千院ナギさん・・・あなたの同人誌のマジカル・デストロイを読ませていただきました。あなたらしい、独特の表現法で高い完成度を誇っていますね。いやっ、さすが三千院家のご令嬢!!」
 「いやっ、それほどではない。」
 ナギと俊は何気なく話が盛り上がっている・・・それを、ただ・・・マリアたちは不思議に眺めていた。
 「ど、どういうコトなんですか?マリアさん・・・ナギが初めて出会った男性に対してあそこまで楽しく話すなんて・・・」
 「・・・あのヒト、ただ者じゃありませんね。鈴宮俊・・・たしかに、私の耳にも鈴宮家という財閥は私も知っています。」
 やはり、ナギの異変を口にしたのはヒナギクだった。
 「あのヒト、ナギの心を完全につかんでいます・・・悪い人には見えませんね。さりげなく、ハヤテくんのようなオーラを出しています。あのヒト、何かしらの経験者でしょうね。ナギにあんなコトが言えるなんて・・・ハヤテくん以来ですわ。」
 「ですよね・・・」
 「でも、あの人・・・どこかで見たコトない?」
 俊は俳優らしい・・・やはり、ここは一番普通な女・歩が始めに気づいた。
 「えっ、あの人・・・?そうかしら。どこかで・・・あああっ!!」
 「な、なになに?気づいた?」
 「クイズ・ヘキ○ゴンでいっつもトップに立つ人よ!」
 俊は白皇学院に通っているほど頭がいいので、クイズ番組でもいつもトップに躍り出ている。
 「・・・たしかに、一人かっこいい人がいるなあって思ったら、あの人なんだ。じゃあ、私たち・・・人気俳優さんを生で見れているってコト?こ、これってすごいことなんじゃないのかな!?」
 「ええ。でも・・・さっきの感じだと、あのシュンっていうヒトから、私たちの方に来たように感じるんだけど。」
 「それでも、あの人に会えたんだよ!ほわあん・・・かっこいいなあ・・・」
 歩は完全に俊にメロメロ状態だった。それを、ヒナギクが必死に止める。
 「だ、だめよ・・・ハヤテくんのコトが好きなんじゃないの?」
 「でも、好きな人はハヤテくんだけど・・・憧れの人っていうのでは、あの人のイメージにピッタリなんだけど。」
 「・・・たしかに、歩の言うことに一理・・・いえ、十理あるわ!」
 歩の言葉にすっかりと納得をしてしまったヒナギクは、歩と共にほわあんとなる。俊はそのコトに気づいていたのだろうか。ヒナギクと歩の前に立った。
 「その赤い髪の女の子が桂ヒナギクさんで・・・それで、黒髪でちょこんとツインテールな君が、西沢歩さんですね。」
 「ふえええっ!!な、なんでそんなコトを知っているのかな!?」
 「はははっ。もちろん、三千院ナギ及び綾崎ハヤテに関わっている人間を調べていくウチに、あなた方の名前ももちろん出てきたからですよ。」
 「す、鈴宮俊さんですか!」
 「まあ、さっきからそうだと言っているんですが・・・」
 「サ、サインください!!」
 「サインねえ・・・それもいっぱいやってきましたからね・・・」
 少し頭をかきながらヒナギクと歩を見る俊。そして、ヒナギクも・・・
 「わ、私もせっかくなんで・・・サインください。」
 「・・・サインね。それくらいならいくらあげても俺は構いません。しかし、これからは・・・あなたたちだけ味わえるプランをご用意してあるんで。」
 「プ、プランですか・・・?」
 「さて、本題に戻りましょうか。君たちは天王州家に全てを支配された。実際問題、奪われたといっても過言ではありません。」
 そこで、また・・・空気が悪くなった。
 「アンタ、空気を悪くすることは得意なんやな・・・」
 「おっと、あなたが愛沢咲夜さん。なあるほど。で、その横にいる和服のお嬢さんが鷺ノ宮伊澄さんというわけですか。なるほど・・・財閥の令嬢が勢揃いですね。」
 「まあ、ハムスターは例外だけどな。」
 「よ、余計なお世話かな!!」
 「まあまあ。」
 ナギと歩の間に華麗に仲裁をする俊。どうやら、俊はかなりの平和主義のようだ。
 「それから・・・あなたが瀬川泉さん。いや・・・本当に類は友を呼ぶというのは、こういうときに使うんでしょうね。」
 「で、なんなのだ・・・?その、お楽しみなプランとは・・・」
 「いえいえ。これから、我が鈴宮家にあなたたちをご招待しようとするだけです。と言っても、俺が一人住んでいる別宅なのですが。」
 そして、周りは「えええっ!!」の叫びに包まれる。
 「いえ、俳優としてみるならば夢のようなプランですが・・・一般の普通の高校生から見れば、単に寝るところを貸してあげようというだけのコトです。そ、そんなに驚かなくても。」
 「で、でも・・・な、なぜ・・・す、すずみや・・・」
 「シュンで構いませんから。」
 「そうだ。どうして・・・シュン。おまえは、私たちを助けようとしてくれるんだ?そ、そんな・・・初めてであったのに。しかも、俳優から見れば有名人と一般人の何のつながりも感じられない、この私たちに。」
 「・・・なぜ?・・・ちょっと待ってください。」
 俊はスーツのポケットから携帯を取り出す。
 「ああ。俺だ・・・今すぐに三千院家の前に車を1台用意してきてくれ。ええと・・・そうだな。10人ぐらい乗れるのがいいかな。じゃあ、お願いするよ。」
 明らかにどこかの御曹司かと思わせるような行動・・・しかし、最低限・・・ヒナギクと歩にとっては、テレビで見る人気俳優でしか見えなかった。
 「さて、ここに今から俺が用意する車がやってきます。それまで、少しお話ししましょうか。」
 「ああ。それで・・・どうして、私たちを助けてくれるんだ・・・?シュン。」
 「・・・第一に、今回の出来事がなぜ起こってしまったのか・・・それをまず考えましょう。」
 どうやら、まだ言うことができないらしい。俊は、アテネのコトについて話し始めた。
 「そもそも・・・なぜ、あの天王州アテネと綾崎ハヤテがあんな関係なのか・・・絶対に謎だと思いますよね。」
 「ああ。まったくだな。この私以外に・・・好きな人間がいるとはな。」
 「いや、それは・・・違うでしょう。ここにいる全員が・・・彼・綾崎ハヤテのコトが好きな人ばかりだと思いますが?」
 俊は、分かり切った表情で全員の顔を見た。
 「そこまで動揺しなくていいんですよ。人を好きになることは、とても良いことなんです。大丈夫、想いがぶつかることだってあります。」
 見ると、全員の顔が少し赤く染まっているのが分かった。どうやら、全員ハヤテのコトに想いを寄せていると俊は認識する。
 「そうよ。私はハヤテくんのコトが好き。・・・シュンくん。」
 そうヒナギクに言われると・・・俊はにやりとした。
 「ヒナギク・・・おまえ・・・」
 「ずっと言えなかったけど・・・でも、私だってナギや歩と同じで、ハヤテくんのコトが好きな人の一人だと思っているわ。」
 「そうか・・・」
 何気ないときに・・・何気ない告白。しかし、状況が状況だったためにあまりナギたちも衝撃はうけなかったんだろう。
 「そう、彼を想う人は多くいる・・・天王州アテネは10年前に綾崎ハヤテと共に生活した期間がありました。2,3ヶ月というトコロですが。綾崎ハヤテは両親が小さな犯罪をしているとは気づかずに生活していました。しかし、幼稚園の給食費袋を捕られた事件。それは、彼に大きなショックを与えました。犯人は父親だったからです。そして、走り続けて・・・そして、天王州アテネがいた場所、ロイヤル・ガーデンに綾崎ハヤテは入ってしまった。」
 長いセリフを・・・必死で聞いているナギたち。泉はもう分かんないよ・・・状態に突入していたが。
 「そこで出会ったのが、天王州アテネでした。綾崎ハヤテはそこで、アテネの執事となり能力を著しく伸ばした。そんな中で恋仲に発展をして・・・そう、きっと聞いたか見たかはしたでしょう。綾崎ハヤテとアテネは・・・そう、キスをする仲。そこまで彼たちは発展してしまったんです。そして、綾崎ハヤテは天王州家に伝わる指輪をもらった。しかし、綾崎ハヤテはそれを売ってしまった・・・ついに、決別です。そのまま、10年の時が過ぎてしまったんですよ。」
 「それが・・・“さみしかった”に繋がるんだな。」
 「ええ。そういうコトです。」
 俊の手は気づけば拳へと変化していた。
 「・・・」
 「ど、どうかしたのか?シュン・・・」
 「いえ。それから10年・・・天王州アテネは綾崎ハヤテと共に過ごすために、今・・・こうしているというわけです。」
 しかし、
 「じゃあ、本題に入ってください。シュンくん。」
 すっかり「シュンくん」呼ばわりされてしまう、人気な人物である俊。ついに、マリアまでにも呼ばれた。
 「はい。・・・そう、ここでただ一つだけ言えることがあります。」
 「・・・それは?」
 「・・・アテネをこんな風にさせてしまったのは、俺のせいかもしれない。それだけのことです。」
 「・・・?」
 「彼女には綾崎ハヤテと出会う前に、一人の少年と出会っていた。しかし、その少年も・・・綾崎ハヤテと同じように。」
 その先は言わなかった。もう、既に分かっているだろうと思ったから。
 「ま、まさか・・・シュン!お、おまえが・・・」
 「そう、綾崎ハヤテより前に出会った少年は・・・この俺だったんですよ。」
 「そ、そうだったのか・・・」
 「だから、アテネのコトをずっとSPに情報を伝えるように言ってあり・・・そして、今回のコトも知っていたんです。」
 俊は、頭を深く下げた。
 「申し訳ありませんでした。俺のせいで・・・こんなコトになってしまい。本当に申し訳ありませんでした。」
 「・・・べ、別に私はもう起こってしまったものはしょうがないと思う方だからな。それに、おまえがハヤテを助けてくれるんだろ?」
 「・・・はい。」
 「ならば、私はおまえを許す。そして、シュンと・・・こいつらと一緒に、ハヤテと私たちの住む場所を取り戻してみせる。・・・な?」
 ナギは周りの皆に同意を求める。すると、笑顔で頷く者しかいなかった。
 「・・・あっ、来たみたいですね。」
 すごく高級車のような・・・というか、実際に高級車なのが三千院家の前に止まった。
 「シュン様。ただいま、お迎えに上がりました。」
 「ごくろうさまです。今から、この人たちを連れて・・・俺の暮らしている別宅へご案内してほしい。」
 「かしこまりました。では、シュン様から伺っております。三千院様ご一行・・・この車に乗車してください。」
 いかにも執事・・・ではない。紳士的な運転手がナギたちを迎え入れた。
 「それでは、三千院ナギさん。マリアさん。桂ヒナギクさん。西沢歩さん。鷺ノ宮伊澄さん。愛沢咲夜さん。瀬川泉さん。こちらへどうぞ。」
 俊は車のドアを開き・・・次々に中へ入れた。
 「それでは、今から・・・俺の家へ。よし、車を発進させてください。」
 「・・・かしこまりました。」
 そして、ナギたちを乗せた車は・・・救世主であるシュンの別宅へと向かうのであった。
 
 それを、眺める・・・アテネ。
 「ふ、ふふふっ・・・シュン。絶対にあなたが来ると思っていたわ・・・やっぱり、三千院ナギたちを助けたのね。」
 「えっ・・・お嬢様たち、その人に助けられたの?」
 「ハヤテ。あの人のコトをお嬢様と言ってはダメよ。ほら、おしおきで・・・」
 アテネはハヤテに向かってキスをする。それは、息はできないほどに激しく・・・そして、ずっと。
 「うん・・・あああっ。」
 「ハヤテとこうしていられる日を・・・ずっと待っていたんだから。」
 「・・・愛してるよ。アーたん。」
 「私も・・・ハヤテのコトは愛してる。」
 しかし、ハヤテの眼は・・・アテネはないどこかに、視線が向いているのであった。

vol.3に続く。果たして、俊と出会ったナギたちはどうやって突破口を見つけるか。
次回は、俊がアテネと会って・・・。その先は言えませんね。vol.3をお楽しみに。

ちなみに、俊の設定はシリーズ『セカコン』と全く関係ありませんので。
ちょっと、イメージは紳士的になったかな?

SSのアクセス数も順調のようです。ありがとうございます!まだまだ続くのでごゆるりとw
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